ー夏休み編ー命を燃やせ、今がその時だ
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熱と轟音が広まっていた地下のラスタ・ラヴに水を打ったような静寂が広まっていた。同時にVIPルームでは並々ならぬ殺気が火に放りこまれた栗のように破裂する寸前だった。
原因は当然小鳥遊悠、あの一連の映像を個々に居る皆、否……ネットを通じてありとあらゆる人間が見ていたのだ。各ノートパソコンのモニターには『自殺動画』『アホの極』『www』などとコメントが画面を覆い尽くすほど流れていた。はっきりいって誰か笑い飛ばせばきっと一気に空気が変わるのだろうが……そういう場面にしたらいけないのだ。
真っ先に口火を開いたのは寅だった。こぶしをテーブルに叩きつけるとノートパソコンが僅かに跳ねた。
「あの野郎……なにしてんだ。おい、コイツはいったいどこに居る。今からいってぶっ飛ばしてくる。」
冗談ではなく本気でキレているのだと全員が悟った。無理もない打ちあって負けるのならまだしも相手をぶん投げて、その隙に進もうとした結果、ドアにぶつかってダウン……。S・ウルフでなくとも、武闘派で有名な右京山寅のプライドが許せなかったのだろう。
「誰もしらねぇわけ無いだろ。こうなったら左近のやつに……」
携帯を抜いて立ちあがろうとした猛獣の左右の肩に別々の手が伸びた。
「「お(ち)つ(け)よ。」」
ふたつの声が一文字ずつ発音して一つの文章となった声。独特というか、どこか不気味で頭が痛くなるような喋り方をする。寅は肩から両手を払い落して右左と声の主を睨みつけた。
「なんだぁ、風太郎、雷太郎」
世界広しといってもこんな芸当が出来るのは疾迅風太郎と疾迅雷太郎だけだった。この二人も超のつく武闘派コンビ、名前は通り名で兄弟でも親戚でもない赤の他人同士だが……繰り出されるコンビネーション技術が同一人物が二人いるのではないかと勘違いするほどの性能を持つ。また、単身でも戦闘能力の高さは折り紙つきで十神将がひとり鬼の化身、百目鬼雲水を師に持ち「鬼状態」をも会得している闘士の二人だ。
寅と風太郎、雷太郎はけっして中のいい友達ではない。むしろ因縁ある関係だが、この三人にはある共通点があった。それは全員が小鳥遊悠と関わりがあること、同時に敗北の経験があるのだ。雷太郎が言った。
「今さら何かができる」
言葉を切るのを分かっていたように風太郎が続けた。
「訳でもない俺たちは」
そしてつぎのタイミングで二人は声を揃えた。
「「事の成り行きを最後まで見るのが大事だろ。文句をつけて喧嘩ふっかけるのは帰ってからでいい」」
「……ちっ」
なにか言いかけた寅だったが大きく深いため息を吐いてソファーに身体を投げ出した。この男も頭が悪いわけではないのだ。
一連のやり取りや他に集まった面々も口々に悠を罵る雑談を始める中、キング崇は静かに笑った。
「くくっ。」
『ご機嫌だねぇ』
匣という自称悠の婚約者からの通話はまだ繋がっていた。崇は隠す気もなく笑いを含んだ声で冷たい息を吐いた。
「あぁ、実に愉快だ。あのバカは本当に笑わせてくれるよ。お前もああいう男が好んでそういうことをいってるんだろ?」
『きひひひっ、ボクと彼の関係は金魚すくいのポイよりも薄いよ。けれど、濃いんだよ。』
「そうか。惚気話には興味がない。それ以外でまだ何か話したいのか?」
王の決断は即効だ。イエスorノー、有益でも不益でも相手の出方も関係なく判断されるのだ。禅は側で居てひしひしと王の威圧を感じていた。楽しんでいると……。
『さてさて、困ってしまったねぇ。ボクはそろそろ実験に取り掛からないといけないのに……。』
「いい加減に出し惜しみは辞めたらどうだ?」
『そうだねぇ。じゃあ~特別にボクの実験内容を教えてあげよう。それは……悪魔を倒す』
悪魔……そのワードで脳裏に浮かぶのは小鳥遊柏だ。しかし、そうなると話しがおかしくなる匣は柏側の人間のはずだ。
『ボクはついさっきイトコカシワを裏切ってねぇ。刺客を三人ほど送り込んだんだよ。えーとね今そっちに画像を送ってあげる』
禅のパソコン画面にメールが送られてきて、ソレを開くと予告通りに画像が添付されている。何処だろうか倉庫のような場所……ただ、それ以上に注目したのが写っている人物だ。
紅、和辰千夜、岡崎亮の三人と……小鳥遊柏。いったいいつの間にこんな事になったのだろうか最短の真向ルートで進んでいた悠を出し抜いて、敵の親玉に喰らいついているのだから。
「ほぅ、これは……中々面白いな」
『だろう、ボクは今からイトコカシワと闘う』
「お前「が」じゃないだろ」
『ボク「は」だよ。きひひひっ。ぉっと、フィアンセの方に動きがあったよ』
原因は当然小鳥遊悠、あの一連の映像を個々に居る皆、否……ネットを通じてありとあらゆる人間が見ていたのだ。各ノートパソコンのモニターには『自殺動画』『アホの極』『www』などとコメントが画面を覆い尽くすほど流れていた。はっきりいって誰か笑い飛ばせばきっと一気に空気が変わるのだろうが……そういう場面にしたらいけないのだ。
真っ先に口火を開いたのは寅だった。こぶしをテーブルに叩きつけるとノートパソコンが僅かに跳ねた。
「あの野郎……なにしてんだ。おい、コイツはいったいどこに居る。今からいってぶっ飛ばしてくる。」
冗談ではなく本気でキレているのだと全員が悟った。無理もない打ちあって負けるのならまだしも相手をぶん投げて、その隙に進もうとした結果、ドアにぶつかってダウン……。S・ウルフでなくとも、武闘派で有名な右京山寅のプライドが許せなかったのだろう。
「誰もしらねぇわけ無いだろ。こうなったら左近のやつに……」
携帯を抜いて立ちあがろうとした猛獣の左右の肩に別々の手が伸びた。
「「お(ち)つ(け)よ。」」
ふたつの声が一文字ずつ発音して一つの文章となった声。独特というか、どこか不気味で頭が痛くなるような喋り方をする。寅は肩から両手を払い落して右左と声の主を睨みつけた。
「なんだぁ、風太郎、雷太郎」
世界広しといってもこんな芸当が出来るのは疾迅風太郎と疾迅雷太郎だけだった。この二人も超のつく武闘派コンビ、名前は通り名で兄弟でも親戚でもない赤の他人同士だが……繰り出されるコンビネーション技術が同一人物が二人いるのではないかと勘違いするほどの性能を持つ。また、単身でも戦闘能力の高さは折り紙つきで十神将がひとり鬼の化身、百目鬼雲水を師に持ち「鬼状態」をも会得している闘士の二人だ。
寅と風太郎、雷太郎はけっして中のいい友達ではない。むしろ因縁ある関係だが、この三人にはある共通点があった。それは全員が小鳥遊悠と関わりがあること、同時に敗北の経験があるのだ。雷太郎が言った。
「今さら何かができる」
言葉を切るのを分かっていたように風太郎が続けた。
「訳でもない俺たちは」
そしてつぎのタイミングで二人は声を揃えた。
「「事の成り行きを最後まで見るのが大事だろ。文句をつけて喧嘩ふっかけるのは帰ってからでいい」」
「……ちっ」
なにか言いかけた寅だったが大きく深いため息を吐いてソファーに身体を投げ出した。この男も頭が悪いわけではないのだ。
一連のやり取りや他に集まった面々も口々に悠を罵る雑談を始める中、キング崇は静かに笑った。
「くくっ。」
『ご機嫌だねぇ』
匣という自称悠の婚約者からの通話はまだ繋がっていた。崇は隠す気もなく笑いを含んだ声で冷たい息を吐いた。
「あぁ、実に愉快だ。あのバカは本当に笑わせてくれるよ。お前もああいう男が好んでそういうことをいってるんだろ?」
『きひひひっ、ボクと彼の関係は金魚すくいのポイよりも薄いよ。けれど、濃いんだよ。』
「そうか。惚気話には興味がない。それ以外でまだ何か話したいのか?」
王の決断は即効だ。イエスorノー、有益でも不益でも相手の出方も関係なく判断されるのだ。禅は側で居てひしひしと王の威圧を感じていた。楽しんでいると……。
『さてさて、困ってしまったねぇ。ボクはそろそろ実験に取り掛からないといけないのに……。』
「いい加減に出し惜しみは辞めたらどうだ?」
『そうだねぇ。じゃあ~特別にボクの実験内容を教えてあげよう。それは……悪魔を倒す』
悪魔……そのワードで脳裏に浮かぶのは小鳥遊柏だ。しかし、そうなると話しがおかしくなる匣は柏側の人間のはずだ。
『ボクはついさっきイトコカシワを裏切ってねぇ。刺客を三人ほど送り込んだんだよ。えーとね今そっちに画像を送ってあげる』
禅のパソコン画面にメールが送られてきて、ソレを開くと予告通りに画像が添付されている。何処だろうか倉庫のような場所……ただ、それ以上に注目したのが写っている人物だ。
紅、和辰千夜、岡崎亮の三人と……小鳥遊柏。いったいいつの間にこんな事になったのだろうか最短の真向ルートで進んでいた悠を出し抜いて、敵の親玉に喰らいついているのだから。
「ほぅ、これは……中々面白いな」
『だろう、ボクは今からイトコカシワと闘う』
「お前「が」じゃないだろ」
『ボク「は」だよ。きひひひっ。ぉっと、フィアンセの方に動きがあったよ』