ー夏休み編ー技と力と策
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さらに歩みを進めていくと無骨な建物が見えて来た。ビオプラートドームの裏に位置して、本来は倉庫という名目で一般客は立ち入り禁止施設。コンクリートうちっぱなしで320枚組のティッシュ箱を大きくして雨雲色に塗ったような長方形の建物だった。高い位置には部分部分に窓があって光を発している。こんな時間に人が働いている訳がない、やつはあそこにいる。
確信をもったおれの足は自然とスピードを増した近づいていくうちにに雨と風が大人しくなってきていた。台風ではなくとも目のなかに入ったようだ。それか、もしくは……無骨な建物の出入り口の前に立つ強大で巨大な漢の気迫に負けたのかもしれない。夏草が茂る獣道から、整地された舗装道に一変する。おれはその境界で一瞬立ち止まって、左右にいる楓子とカゲコの肩を叩いた。
「ひゃんっ」
カゲコの艶声を気にせずにいった。
「ここで待ってろ。こっからはおれとアイツのステージだ。」
「はいっ、ご武運を……!」
デコの声援を背に進もうとしたら、呼びとめられた。意外にもカゲコにだ……。ふり返りはしないが背中に声を投げてくる。
「む、無理すんなよ。負けたって生き延びれるけど、死んだら何にもなくなるんだからな!」
立場上の不器用な声援は聞いた。おれは右手を軽く振って返事をしておいた。個人的には、この言葉をお前にささげよう!Luck(幸運を)そして君の未来へこれを持って行け!PLUCK(勇気を)!っと、黒騎士ブラフォードみたいなセリフを送ってくれたら更に元気になったんだけどな。腹のなかで馬鹿なことを考えれる程度には落ち着いてきているらしい。
おれは出入り口の前で仁王立つドデカイ男にいった。
「よう、金剛。何年ぶりかな。少し、大きくなったんじゃないか?」
やつは金剛力士像が笑ったらこんな顔だろうという顔をした。頬がつり上がるだけで首の筋がモコモコと連動して動く。好き者が見たらヨダレものの筋質だ。
「冗談で繕っているが……ボロボロだな。」
「濡れてて色っぽいだろ?」
上着もインナーも襤褸切れにジョブチェンジしてしまったので、おれが身にまとってるのは長年苦難を乗り越えて来た軍パンと、一夜にして擦り切れ寸前まで追い込まれた黒いナイキのシューズだけだった。止血に巻いていた包帯などは雨の水気を吸って気持ち悪く張りついてきたから来る途中に捨てた。雨風にさらされて乾いた血も流れ落ちたので後に残るのは己の四肢。痣と裂傷と火傷でまみれた身体が建物から零れる灯りの下に曝される。
おれの質問を無視して金剛はいった。
「摩耶はどうだった?」
「強かったよ。第5部のラストで「矢」に貫かれたことで進化したスタンド並に」
生命を生み出したり、行動しようとする意志をゼロに戻す能力を実際に使われた訳じゃないがあれはまさしくゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)だった。金剛は肩を揺らして唸った。たぶん、笑っているのだろうけどぐぐもった音は唸るようにしか聞こえない。
「悠、そのぐらいにしとけ……緊張してるのは分かるけどよ。ことさらに「普段通り」を強調してもみっともねーぞ。……やたら声が甲高いぜ……?」
「っ……て、テメぇこそ普段は摩耶のパンツがめくれてる時しか反応しねぇ癖に!」
「アホかぁ!!どんな状況だよパンツがめくれるって!!しかも、そこで、摩耶を引き合いに出すなっ!!」
おれの必殺囁き戦術でペースを掴もうとしたが金剛の頭の中ではスイッチが即切り替わった。
「摩耶……か。まったく、ずるいよな。俺が待ちに待っていたお前を横からかっさらおうとしてくれるんだから。まぁ、秋葉原の№的には摩耶に優先権があるのは事実だけど…………それでもズルイよな?」
金剛は丸太みたいな腕を肩からまわしたり、上半身をのけぞったりして、その場で柔軟体操を始める。その体躯からは想像できない軟らかさだ。少し前までは決してそんな柔軟性は無かった。摩耶もそうだが……この男もどれだけの成長を遂げているのか見積もれない。巨体が動くたびにブォンブォンと空が揺れる。この嵐の目の外は荒れているが、この中でもハリケーンが出来上がりつつある。
柔軟に満足したのか研磨されて僅かな滑らかさを得た石がたくさん集まって構成されたような両手でパンパンに膨れ上がっている自分の太ももを叩いた。もっと距離が近かったら鼓膜が破裂していたかもしれないくらいの破裂音。おれは退じろんだ。ペースを掴むどころか握られている。
確信をもったおれの足は自然とスピードを増した近づいていくうちにに雨と風が大人しくなってきていた。台風ではなくとも目のなかに入ったようだ。それか、もしくは……無骨な建物の出入り口の前に立つ強大で巨大な漢の気迫に負けたのかもしれない。夏草が茂る獣道から、整地された舗装道に一変する。おれはその境界で一瞬立ち止まって、左右にいる楓子とカゲコの肩を叩いた。
「ひゃんっ」
カゲコの艶声を気にせずにいった。
「ここで待ってろ。こっからはおれとアイツのステージだ。」
「はいっ、ご武運を……!」
デコの声援を背に進もうとしたら、呼びとめられた。意外にもカゲコにだ……。ふり返りはしないが背中に声を投げてくる。
「む、無理すんなよ。負けたって生き延びれるけど、死んだら何にもなくなるんだからな!」
立場上の不器用な声援は聞いた。おれは右手を軽く振って返事をしておいた。個人的には、この言葉をお前にささげよう!Luck(幸運を)そして君の未来へこれを持って行け!PLUCK(勇気を)!っと、黒騎士ブラフォードみたいなセリフを送ってくれたら更に元気になったんだけどな。腹のなかで馬鹿なことを考えれる程度には落ち着いてきているらしい。
おれは出入り口の前で仁王立つドデカイ男にいった。
「よう、金剛。何年ぶりかな。少し、大きくなったんじゃないか?」
やつは金剛力士像が笑ったらこんな顔だろうという顔をした。頬がつり上がるだけで首の筋がモコモコと連動して動く。好き者が見たらヨダレものの筋質だ。
「冗談で繕っているが……ボロボロだな。」
「濡れてて色っぽいだろ?」
上着もインナーも襤褸切れにジョブチェンジしてしまったので、おれが身にまとってるのは長年苦難を乗り越えて来た軍パンと、一夜にして擦り切れ寸前まで追い込まれた黒いナイキのシューズだけだった。止血に巻いていた包帯などは雨の水気を吸って気持ち悪く張りついてきたから来る途中に捨てた。雨風にさらされて乾いた血も流れ落ちたので後に残るのは己の四肢。痣と裂傷と火傷でまみれた身体が建物から零れる灯りの下に曝される。
おれの質問を無視して金剛はいった。
「摩耶はどうだった?」
「強かったよ。第5部のラストで「矢」に貫かれたことで進化したスタンド並に」
生命を生み出したり、行動しようとする意志をゼロに戻す能力を実際に使われた訳じゃないがあれはまさしくゴールド・エクスペリエンス(黄金体験)だった。金剛は肩を揺らして唸った。たぶん、笑っているのだろうけどぐぐもった音は唸るようにしか聞こえない。
「悠、そのぐらいにしとけ……緊張してるのは分かるけどよ。ことさらに「普段通り」を強調してもみっともねーぞ。……やたら声が甲高いぜ……?」
「っ……て、テメぇこそ普段は摩耶のパンツがめくれてる時しか反応しねぇ癖に!」
「アホかぁ!!どんな状況だよパンツがめくれるって!!しかも、そこで、摩耶を引き合いに出すなっ!!」
おれの必殺囁き戦術でペースを掴もうとしたが金剛の頭の中ではスイッチが即切り替わった。
「摩耶……か。まったく、ずるいよな。俺が待ちに待っていたお前を横からかっさらおうとしてくれるんだから。まぁ、秋葉原の№的には摩耶に優先権があるのは事実だけど…………それでもズルイよな?」
金剛は丸太みたいな腕を肩からまわしたり、上半身をのけぞったりして、その場で柔軟体操を始める。その体躯からは想像できない軟らかさだ。少し前までは決してそんな柔軟性は無かった。摩耶もそうだが……この男もどれだけの成長を遂げているのか見積もれない。巨体が動くたびにブォンブォンと空が揺れる。この嵐の目の外は荒れているが、この中でもハリケーンが出来上がりつつある。
柔軟に満足したのか研磨されて僅かな滑らかさを得た石がたくさん集まって構成されたような両手でパンパンに膨れ上がっている自分の太ももを叩いた。もっと距離が近かったら鼓膜が破裂していたかもしれないくらいの破裂音。おれは退じろんだ。ペースを掴むどころか握られている。