ー夏休み編ー技と力と策
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一方その頃、医療施設内はてんやわんやの大騒ぎだった。次々に運び込まれてくる重軽傷者の数と医者の数がまるで合っていない。ベッドは既に埋まって、ほとんどのけが人は床に寝かされている。野戦病院のような惨状のなか、赤黒い染みで飾った白衣を着た女医が咥え煙草で闊歩している。患者の上を平然とまたいでいきポロポロ灰もこぼしている。患者のほうが避けないと踏みつけていきそうな歩き方だ。
重病人が優先して使っているベットに腰掛けて唸っている男のひとりをマジマジと観察した。
「こりゃ酷いわね。一生残るワ、この傷。」
元からそういう柄じゃないかと間違いそうな血染めの白衣のポケットから茶色い小瓶を取り出した。ラベルも巻いていない怪しげな小瓶を軽く振る。チャポチャポッと中身が入っているのを音で確認して、蓋を取る。ゴム手袋をつけた右手に中の液体を荒々しく振り出した。半ジェル状の怪しげな薬を手のなかで広げて直後、患者の傷をぐりぐりと撫でた。
「んぐっぅぅぅぅ!!」
傷を乱暴に触れられたのが痛かったのか、薬が滲みたのかは解らない。そのの両方の可能性もあるが悲鳴をあげる患者。女医は顔色一つ変えずに傷口から傷口へ薬を塗りたり、あらかた終わると手袋を脱ぎすてていう。
「そこのお前、どうせ腕が折れてるだけなんだろ。コイツに包帯巻いとけ」
近くで顔を蒼白にしていた男に命令して女医はまた病室内を闊歩し始める。治療というには荒々しすぎる行為。その彼女の顔は艶々として笑っていた。薬品と血と汗の臭いに興奮し楽しんでいたのだ。そんな彼女を呼びとめる人物がいた。
「マリアンはん、用法と用量を守って投与してくださいっていうてますやろっ!!濃度二倍であんなもん注射したら死んでまいますやろっ!!」
「死んだら私が生き返らせるわよ。脳だけでも」
「五体満足でっ!!」
声を荒げているのは夏喜空、夏喜海の姉。彼女は機械や武器を柏に補充し、用意する役割で雇われているが同時に医療にも精通している。なのでマリアンと一緒に地上から運び込まれてくる怪我人の治療を手伝っていたが、マリアンの無茶苦茶な施術に待ったをかけた。このままだと余計病人が増え兼ねない。
「いいじゃないの。若いんだから適量より少しサービスしてあげても」
「お惣菜のオマケとちゃうんですから……。」
マリアンに悪びれた様子はまったくなかった。こんな彼女でも最先端医療をこなす技才があるというのだから世の中は恐ろしいと空は気持ちを暗くした。
「ま、医療資格は無いのだけどね」
「知っとります。」
そう、マリアンは医師免許は持っていない。所謂、闇医者。もとはアメリカのどこかの警務病棟と臨床室で死因解剖医として立派に働いていたが、あるとき脳死状態の患者を好き勝手人体実験しているところを見つかりそのまま逮捕された犯罪者。どりだけの被害者と犠牲者がいたのかは不明。その時の裁判でマリアンはこう自供した「自分も正確な数は覚えちゃいない。けど、どうせ看取りの無い死人だ。これからの医療の為に貢献すればいいじゃないか」との事だった。判決は無期懲役……だが柏はそのマリアンをスカウトした。どのような裏の取引をしたのかは誰も知らない知っているのはマリアンと柏だけだ。
「お取り込み中すいませんにゃん」
ふたりに声をかけたのは数時間前に此処へと撤退してきたAAAのひとり猫気こと山子狛だ。
「どないしてん?」
「それがにゃあー、弩躬君がちょっと出ていくっていって聞かないのにゃー」
「あら、いいわね。ひとり分スペースが出来るわ」
マリアンを無視して空がいった。
「あきませんて、ウチらはもう撤退命令が出てますゃん。」
「その命令ももうめちゃくちゃになってるけどね。匣のお嬢ちゃんも何処行ったんだか分かんないし。」
「そうやけど……鳥居はん、腕粉砕骨折してはるんやで?」
一番初めにここにやってきたのは彼だった。自分の足で帰っては来たけれど、指の先から肩の付け根まで腕の骨が木っ端みじんになっていたのだった。
重病人が優先して使っているベットに腰掛けて唸っている男のひとりをマジマジと観察した。
「こりゃ酷いわね。一生残るワ、この傷。」
元からそういう柄じゃないかと間違いそうな血染めの白衣のポケットから茶色い小瓶を取り出した。ラベルも巻いていない怪しげな小瓶を軽く振る。チャポチャポッと中身が入っているのを音で確認して、蓋を取る。ゴム手袋をつけた右手に中の液体を荒々しく振り出した。半ジェル状の怪しげな薬を手のなかで広げて直後、患者の傷をぐりぐりと撫でた。
「んぐっぅぅぅぅ!!」
傷を乱暴に触れられたのが痛かったのか、薬が滲みたのかは解らない。そのの両方の可能性もあるが悲鳴をあげる患者。女医は顔色一つ変えずに傷口から傷口へ薬を塗りたり、あらかた終わると手袋を脱ぎすてていう。
「そこのお前、どうせ腕が折れてるだけなんだろ。コイツに包帯巻いとけ」
近くで顔を蒼白にしていた男に命令して女医はまた病室内を闊歩し始める。治療というには荒々しすぎる行為。その彼女の顔は艶々として笑っていた。薬品と血と汗の臭いに興奮し楽しんでいたのだ。そんな彼女を呼びとめる人物がいた。
「マリアンはん、用法と用量を守って投与してくださいっていうてますやろっ!!濃度二倍であんなもん注射したら死んでまいますやろっ!!」
「死んだら私が生き返らせるわよ。脳だけでも」
「五体満足でっ!!」
声を荒げているのは夏喜空、夏喜海の姉。彼女は機械や武器を柏に補充し、用意する役割で雇われているが同時に医療にも精通している。なのでマリアンと一緒に地上から運び込まれてくる怪我人の治療を手伝っていたが、マリアンの無茶苦茶な施術に待ったをかけた。このままだと余計病人が増え兼ねない。
「いいじゃないの。若いんだから適量より少しサービスしてあげても」
「お惣菜のオマケとちゃうんですから……。」
マリアンに悪びれた様子はまったくなかった。こんな彼女でも最先端医療をこなす技才があるというのだから世の中は恐ろしいと空は気持ちを暗くした。
「ま、医療資格は無いのだけどね」
「知っとります。」
そう、マリアンは医師免許は持っていない。所謂、闇医者。もとはアメリカのどこかの警務病棟と臨床室で死因解剖医として立派に働いていたが、あるとき脳死状態の患者を好き勝手人体実験しているところを見つかりそのまま逮捕された犯罪者。どりだけの被害者と犠牲者がいたのかは不明。その時の裁判でマリアンはこう自供した「自分も正確な数は覚えちゃいない。けど、どうせ看取りの無い死人だ。これからの医療の為に貢献すればいいじゃないか」との事だった。判決は無期懲役……だが柏はそのマリアンをスカウトした。どのような裏の取引をしたのかは誰も知らない知っているのはマリアンと柏だけだ。
「お取り込み中すいませんにゃん」
ふたりに声をかけたのは数時間前に此処へと撤退してきたAAAのひとり猫気こと山子狛だ。
「どないしてん?」
「それがにゃあー、弩躬君がちょっと出ていくっていって聞かないのにゃー」
「あら、いいわね。ひとり分スペースが出来るわ」
マリアンを無視して空がいった。
「あきませんて、ウチらはもう撤退命令が出てますゃん。」
「その命令ももうめちゃくちゃになってるけどね。匣のお嬢ちゃんも何処行ったんだか分かんないし。」
「そうやけど……鳥居はん、腕粉砕骨折してはるんやで?」
一番初めにここにやってきたのは彼だった。自分の足で帰っては来たけれど、指の先から肩の付け根まで腕の骨が木っ端みじんになっていたのだった。