ー夏休み編ー技と力と策
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一台のテーブルが叩き潰された。大きな液晶画面が一瞬砂嵐になったがすぐに映像は元に戻った。
「なんだ……これは。」
そういったのは柏。小鳥遊柏だった。スリーディに映し出される無数の小窓には悠と摩耶が闘っている映像や、弩躬との一戦、氷室と颯天の映像なども流れていた。目もとには黒いテープを張りつけたような簡単なモザイク処理は施されているが、見る者が見たら誰が誰と闘っているかは一目瞭然。柏の荒れ方に金剛と光臣は何も口を出さなかった。自分たちはその分野のことは力になれないから、せめて邪魔しないようにと黙っていた。
柏はぶるぶると数秒肩を震わせて怒っていたが、震えはすぐに止まってキャスターつきの椅子に腰を落としていった。
「そうか……あの女、稲葉の仕業か」
悪魔は怒りに身を任せるほど愚かでは無い。緻密な頭脳で自分側から事の全貌を見出していた。
恐らく島中に設置されたカメラをハッキングしているのは稲葉ではなく別の奴…………。恐らくは崇の飼い犬烏哭禅、稲葉その手伝いをしているだけだ。あの女の本当の目的、本当の狙いは第三勢力としての参戦。だから、わざと遅れて来た。横槍として摩耶と氷室をぶち込むために……。そして奴らは見事なことに成功した。ガーディアンとして配置したウェイポンマスターの明瞭器を退け、悠へと王手をかけた。台無し、素敵に台無しにしてくれる。
間をおいて柏はキーボードを叩く。部屋中のスピーカーから電話の発信音が鳴り、ワンコールで繋がった。
『はい、こちら結……』
取り次ぎを無視して静かに怒鳴りつけた。
「さっさと匣を出せ」
『……少々お待ちを』
訝しむ態度で電話を代わった。静かな女の声から不健康そうな女の声に変わる。
『きひひ、大変なことになってるねぇ。』
どこまで分かっていて「大変」といったのか……。
「匣、どういうことだ。なぜ、この島の映像が流出している」
『いゃあ……ボクも驚いているんだよ本当にきひひ。いつの間にかシステムに侵入されていてね。やっぱりボクはシステム関係には弱いのかなぁ。この島中のカメラはもう共有してしまっている。強制的にシャットアウト……すれば、まぁ、向こうもこっちも映像は消せるけど?』
「……今さら必要ない。それよりお前は何処で何をしている。」
『もう避難させてもらってるよ。結ちゃんと颯天がやられた時点でボクの手札は無くなったからね。』
もちろん、柏はその様子も確認していた。匣は智恵こそあるが個人で何か出来る出来る体力は無い。
『それよりどーするんだい。イトコ柏。君の愛しの悠はもう目と鼻の先だよ?』
「お前が心配する必要はない、余計な事はするなっ。」
通信を切った。椅子から立ちあがってふり返っていう。
「恐らく匣は裏切っている。」
「はぁ?!」
「やはり……ですか。」
驚く金剛と予期していたとうなずく光臣。柏はふたりの反応を無視して立体ヴィジョンマップを操作した。二つの窓が開いて、片方に映るのは進軍している悠と楓子。そして、もう片方は稲葉達。バラバラに散っていた炎銃、宮塚、戌塚、ローガンも集合している。どうやら氷室と稲葉が連絡をまわしあったのだろう。それを観て金剛が大きな首を振って声を漏らした。
「あれ……」
「どうした。」
「稲葉、氷室、卯天、ローガン、炎銃、宮塚……それに捕まっている颯天。こっちには駒裡と摩耶……。」
ひとりひとりの名前をいって指折り数えていく金剛。その行動に苛立ちが来たのか黙っていた光臣がチンッと刀を抜いて切っ先を突き付けた。
「貴様……何がいいたい。それとも貴様も裏切り者か?」
「紅と千夜と亮は何処だ?」
「なんだ……これは。」
そういったのは柏。小鳥遊柏だった。スリーディに映し出される無数の小窓には悠と摩耶が闘っている映像や、弩躬との一戦、氷室と颯天の映像なども流れていた。目もとには黒いテープを張りつけたような簡単なモザイク処理は施されているが、見る者が見たら誰が誰と闘っているかは一目瞭然。柏の荒れ方に金剛と光臣は何も口を出さなかった。自分たちはその分野のことは力になれないから、せめて邪魔しないようにと黙っていた。
柏はぶるぶると数秒肩を震わせて怒っていたが、震えはすぐに止まってキャスターつきの椅子に腰を落としていった。
「そうか……あの女、稲葉の仕業か」
悪魔は怒りに身を任せるほど愚かでは無い。緻密な頭脳で自分側から事の全貌を見出していた。
恐らく島中に設置されたカメラをハッキングしているのは稲葉ではなく別の奴…………。恐らくは崇の飼い犬烏哭禅、稲葉その手伝いをしているだけだ。あの女の本当の目的、本当の狙いは第三勢力としての参戦。だから、わざと遅れて来た。横槍として摩耶と氷室をぶち込むために……。そして奴らは見事なことに成功した。ガーディアンとして配置したウェイポンマスターの明瞭器を退け、悠へと王手をかけた。台無し、素敵に台無しにしてくれる。
間をおいて柏はキーボードを叩く。部屋中のスピーカーから電話の発信音が鳴り、ワンコールで繋がった。
『はい、こちら結……』
取り次ぎを無視して静かに怒鳴りつけた。
「さっさと匣を出せ」
『……少々お待ちを』
訝しむ態度で電話を代わった。静かな女の声から不健康そうな女の声に変わる。
『きひひ、大変なことになってるねぇ。』
どこまで分かっていて「大変」といったのか……。
「匣、どういうことだ。なぜ、この島の映像が流出している」
『いゃあ……ボクも驚いているんだよ本当にきひひ。いつの間にかシステムに侵入されていてね。やっぱりボクはシステム関係には弱いのかなぁ。この島中のカメラはもう共有してしまっている。強制的にシャットアウト……すれば、まぁ、向こうもこっちも映像は消せるけど?』
「……今さら必要ない。それよりお前は何処で何をしている。」
『もう避難させてもらってるよ。結ちゃんと颯天がやられた時点でボクの手札は無くなったからね。』
もちろん、柏はその様子も確認していた。匣は智恵こそあるが個人で何か出来る出来る体力は無い。
『それよりどーするんだい。イトコ柏。君の愛しの悠はもう目と鼻の先だよ?』
「お前が心配する必要はない、余計な事はするなっ。」
通信を切った。椅子から立ちあがってふり返っていう。
「恐らく匣は裏切っている。」
「はぁ?!」
「やはり……ですか。」
驚く金剛と予期していたとうなずく光臣。柏はふたりの反応を無視して立体ヴィジョンマップを操作した。二つの窓が開いて、片方に映るのは進軍している悠と楓子。そして、もう片方は稲葉達。バラバラに散っていた炎銃、宮塚、戌塚、ローガンも集合している。どうやら氷室と稲葉が連絡をまわしあったのだろう。それを観て金剛が大きな首を振って声を漏らした。
「あれ……」
「どうした。」
「稲葉、氷室、卯天、ローガン、炎銃、宮塚……それに捕まっている颯天。こっちには駒裡と摩耶……。」
ひとりひとりの名前をいって指折り数えていく金剛。その行動に苛立ちが来たのか黙っていた光臣がチンッと刀を抜いて切っ先を突き付けた。
「貴様……何がいいたい。それとも貴様も裏切り者か?」
「紅と千夜と亮は何処だ?」