ー夏休み編ー技と力と策
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「よくこんな女を№Sに入れてるな……」
「言っただろ腕は良いんだ」
「色んなものを、得意なのよ。組み直してたからね。機械いじりは。昔から分解して(昔から色んなものを分解して、組み直してたからね。機械いじりは得意なのよ。)」
さぞかし分解は得意なのだろう。文章もめちゃくちゃに分解されてる。もう少し酒が入っているか機嫌が悪かったら殴っていたかもしれない。その気を紛らわすために話しの矛先を変えた。
「8は分かったが九はどうした?」
「九番……おい、九番、クーロン。こっちに来い」
崇が声を張って呼びかけたが一向にこっちへ向かう人影はなかった。周りの連中も首を振って九番を探しているようだ。更に二度三度と呼びかけても反応は無い。一階はギャンギャンと騒ぎ続けているがVIPルームにはピリピリとした空気が漂いだした。無視している崇のことを……。ヤバいと誰もが思っていた。崇は立ちあがると円卓の端に沿って歩いていき、自分が居た場所から真反対側に奴の肩を叩いた。何かを耳打ちして戻ってくる。
連れて来たのは男、それもデカイ。身長もだが胸板が厚く手足も太くただのデブじゃなくガチガチ系の身体。頭からケープ(マフラー?)みたいな布を被っていて顔が見えない。崇はいった。
「コイツが№9の「クーロン」だ。」
「……」
わざわざ崇に連れてこられ、紹介までされたのになんの反応もしない。ふてぶてしい態度。
「おい、コラ。何かいったらどうだ?」
「…………」
完全無視。拳二の額に青筋がぷっくり浮かび上がってきた。怒鳴りつけようと口を開けた瞬間、クーロンは腕を伸ばして、円卓の上のノートパソコンの画面を指差していった。
「死ぬぞ」
その場にいた全員がポカンとした。クーロンは指さしたまま言い続ける。
「翠龍の毒がまわり過ぎている。関節疲労で歩くだけでも筋がすりつぶされている。歩き方からして、関節痛だけでなく既に筋肉も限界になっているんだろう出血が外部までに出ている。内臓もボロボロだ特に右半身への内臓系統は傷を負っているさっきの様子から肝機能は今も停止して発汗機能にも障害を及ぼしてきている。背中の汗が証拠だ。走るだけでも負担が心臓へダイレクトに掛かっていき心不全で死ぬ可能性、殴られ過ぎて脳血管が委縮するか、脳溢血で……」
べらべらと死を連呼する横っ面に塊りが飛んで来た。拳二の剛拳。どれが理由か、どれも理由だったのか分からないが切れたらしく。拳が発射されてしまった。ドッ……!風の無い地下空間に空気を震わせる衝撃が走った。ハタハタとクーロンの被っている布が靡いく。拳は……当たっていない寸止め。指先一本挟まるかどうかのすき間を残して止まっていた。
拳二は腕を引いて自分の拳を見つめた。グッ、パー、グッ、パーと閉じたり開いたりする。
「お前……何もんだ?今……何した。」
また、無視するかと思った拳二。しかし、その期待は大きく裏切られる。クーロンは顔を向けていった。
「あれ、もしかして……もしかして呼びました?すいません、聞こえてなかった。」
「あぁん?」
今の今まで自分には話しかけていなかっただろうという態度。それは演技とか嫌味とかじゃなく本心から初めて話しかけて返す人間の態度と声だった。拳二は再び怒りが込み上がってくるが、崇が割りこんでソレを阻止した。
「やめろ。クーロンはこーいう奴なんだ。」
「どーいう奴だよ!!」
喰いかかる勢いで詰め寄る獣。崇は軽やかにワンステップで距離を開ける。説明するから近づくなという無言の行動。だが、口を開いたのはもうひとりの問題児だった。
「一切受け付けない。本当に心の壁とでもいうのかな。彼は判断したら自分には耳と目を物理的にじゃなく不必要とそういう心の壁とでもいうのかな。聞こえなくなる。見えないし(彼は耳と目を塞いでいるんだよ。物理的にじゃなくそういう心の壁とでもいうのかな。自分には不必要と判断したら一切受け付けない。そうなると本当に見えないし聞こえなくなる)」
拳二は話を聞き終えて懐からタバコを抜いた。口に一本咥えて火をつける。ひと息でほとんどを灰にして火山が噴火したような煙を鼻の穴から噴射した。灰皿で火をもみ消して、ソファーにドスっと巨体を落として両手で顔を覆った。
「わからねぇ……もう、全然わからねぇよ。」
破壊の魔神と呼ばれた男の心が折れかけた瞬間だった。
「言っただろ腕は良いんだ」
「色んなものを、得意なのよ。組み直してたからね。機械いじりは。昔から分解して(昔から色んなものを分解して、組み直してたからね。機械いじりは得意なのよ。)」
さぞかし分解は得意なのだろう。文章もめちゃくちゃに分解されてる。もう少し酒が入っているか機嫌が悪かったら殴っていたかもしれない。その気を紛らわすために話しの矛先を変えた。
「8は分かったが九はどうした?」
「九番……おい、九番、クーロン。こっちに来い」
崇が声を張って呼びかけたが一向にこっちへ向かう人影はなかった。周りの連中も首を振って九番を探しているようだ。更に二度三度と呼びかけても反応は無い。一階はギャンギャンと騒ぎ続けているがVIPルームにはピリピリとした空気が漂いだした。無視している崇のことを……。ヤバいと誰もが思っていた。崇は立ちあがると円卓の端に沿って歩いていき、自分が居た場所から真反対側に奴の肩を叩いた。何かを耳打ちして戻ってくる。
連れて来たのは男、それもデカイ。身長もだが胸板が厚く手足も太くただのデブじゃなくガチガチ系の身体。頭からケープ(マフラー?)みたいな布を被っていて顔が見えない。崇はいった。
「コイツが№9の「クーロン」だ。」
「……」
わざわざ崇に連れてこられ、紹介までされたのになんの反応もしない。ふてぶてしい態度。
「おい、コラ。何かいったらどうだ?」
「…………」
完全無視。拳二の額に青筋がぷっくり浮かび上がってきた。怒鳴りつけようと口を開けた瞬間、クーロンは腕を伸ばして、円卓の上のノートパソコンの画面を指差していった。
「死ぬぞ」
その場にいた全員がポカンとした。クーロンは指さしたまま言い続ける。
「翠龍の毒がまわり過ぎている。関節疲労で歩くだけでも筋がすりつぶされている。歩き方からして、関節痛だけでなく既に筋肉も限界になっているんだろう出血が外部までに出ている。内臓もボロボロだ特に右半身への内臓系統は傷を負っているさっきの様子から肝機能は今も停止して発汗機能にも障害を及ぼしてきている。背中の汗が証拠だ。走るだけでも負担が心臓へダイレクトに掛かっていき心不全で死ぬ可能性、殴られ過ぎて脳血管が委縮するか、脳溢血で……」
べらべらと死を連呼する横っ面に塊りが飛んで来た。拳二の剛拳。どれが理由か、どれも理由だったのか分からないが切れたらしく。拳が発射されてしまった。ドッ……!風の無い地下空間に空気を震わせる衝撃が走った。ハタハタとクーロンの被っている布が靡いく。拳は……当たっていない寸止め。指先一本挟まるかどうかのすき間を残して止まっていた。
拳二は腕を引いて自分の拳を見つめた。グッ、パー、グッ、パーと閉じたり開いたりする。
「お前……何もんだ?今……何した。」
また、無視するかと思った拳二。しかし、その期待は大きく裏切られる。クーロンは顔を向けていった。
「あれ、もしかして……もしかして呼びました?すいません、聞こえてなかった。」
「あぁん?」
今の今まで自分には話しかけていなかっただろうという態度。それは演技とか嫌味とかじゃなく本心から初めて話しかけて返す人間の態度と声だった。拳二は再び怒りが込み上がってくるが、崇が割りこんでソレを阻止した。
「やめろ。クーロンはこーいう奴なんだ。」
「どーいう奴だよ!!」
喰いかかる勢いで詰め寄る獣。崇は軽やかにワンステップで距離を開ける。説明するから近づくなという無言の行動。だが、口を開いたのはもうひとりの問題児だった。
「一切受け付けない。本当に心の壁とでもいうのかな。彼は判断したら自分には耳と目を物理的にじゃなく不必要とそういう心の壁とでもいうのかな。聞こえなくなる。見えないし(彼は耳と目を塞いでいるんだよ。物理的にじゃなくそういう心の壁とでもいうのかな。自分には不必要と判断したら一切受け付けない。そうなると本当に見えないし聞こえなくなる)」
拳二は話を聞き終えて懐からタバコを抜いた。口に一本咥えて火をつける。ひと息でほとんどを灰にして火山が噴火したような煙を鼻の穴から噴射した。灰皿で火をもみ消して、ソファーにドスっと巨体を落として両手で顔を覆った。
「わからねぇ……もう、全然わからねぇよ。」
破壊の魔神と呼ばれた男の心が折れかけた瞬間だった。