ー夏休み編ー技と力と策
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その頃、東京都副都心池袋のアンダーグラウンドバーでは異常な熱を放出していた。ぶっ続けで歌っていたリッカと、ドラムを叩きつづけていた本郷のふたりはライヴを頃合いのタイミングで切り上げてVIPルームに集合していた。大画面のスクリーンに投影されているのは小鳥遊悠と摩耶、秋葉原の二大ランカーの一騎打ち映像だ。
それは一階だけでは無い。VIPルームには巨大円卓の上に無数に並べられたノートブックパソコンにも同じ動画が映っている。こちらは一階の大画面よりいくぶん迫力は落ちるが別のアングルや、別の場所の映像も映っていた。卓上から離れ床に座り込んでひとりで三台のパソコンを操作している禅に崇がいった。
「順調か?」
真夏でも全身を覆う黒いパーカ姿のハッカーは肩をすくめた。たぶん、ちいさくうなずいたのだろう。彼は擦れた声を出す。
「動画……サイト……にも……生放送……と……良い……シーン……のピッ……クアップを…配信…してい……ます。削除……されて……いくも…のより……コピーされ……増えてい……くほうが……。多い……でしょうね。もう……止ま……りません」
僅かながら普段より声に熱が籠っていた類を見ない大仕事に興奮しているのだろう。
「それでいい。」
崇はパンっと手を叩いた。VIPルームにいる全員の視線が王へと向いた。数人しか居なかったここも今や十数人になっている。
「さぁ、パーティはここからが本番だ。皆、目に焼き付けておけ、小鳥遊悠の闘い方とやり口をな」
演説が終わるや否や拳二がいった。
「こんなことして意味があんのかぁ?」
「あるさ。この喧嘩を観た全ての奴が……世界中の奴らが知ることになる闘路の存在を、そしてやがて……なにを賭けて闘っているのかを知り、真の意味で「最強」という称号を奪い競い合ってることを知るだろう。悠は火種だ。下のやらを見てみろ既にアイツの火に触れて燃え移りだしている。」
「お前……荒れるぞ?」
「くくっ、荒れる?いいや、違う。世界を変えるのさ。そして、いい加減決めるべきだ。本当の最強をな。」
拳二は大ジョッキ並々に注がれた黄金色の液体を一気に飲みほした。豪快なげっぷをして質問の矛先を変える。
「見ねえ顔が何人かいるが誰だ?」
「あぁ、お前も見たことがなかったか、ついでだ紹介しておいてやる八番、九番。ちょっと来い」
崇に呼ばれて来たのはなぜかひとりだけだった。それも女だが、言葉を選んでも第一印象は薄汚い女。首にはゴーグルのようなものを提げていて、枯芝色の煤けたツナギで上半身は暑いので脱いで袖を腰の辺りでひと縛りしている。ツナギもそうだがランニングシャツも肌も油で所々黒く汚れているしかなり油臭い。
「ハイタカシヨビマシタ?」
表情も硬い何をいったか聞き取れなかった。
「日本人じゃないのか?」
「いいや、日本人だが……まぁ、自己紹介してみろ」
「キカイイジリブンカイサイコウチクコウコウセイナンバーハチセイベツヘイケクルルオンナエスウルフショジョ」
「……あぁ?」
眉間にしわを寄せてドスを効かせて唸るヤクザにも顔色一つ変えずにボリボリと頭をかく自己紹介を終えたらしい女。ノーブラなのか腕を動かすと胸が弾んで突起がランニングを押し上げている。崇は笑いを含みながらいった。
「くくっ、そいつは腕は良いんだが言葉の文法が無茶苦茶でな。他の奴らもイライラして中々会話にならないんだ。」
「文法もなにも……今のが日本語かぁ?」
崇はパチンと指を鳴らす。禅がタブレットを拳二の前へと差し出した。画面に文字の羅列が浮かぶ。
【S・ウルフ№8。平家枢(へいけくるる)、性別女、高校生処女。趣味機械いじり分解再構築改造。】
「……こういったのか?」
「らしいな。うちのチームが使ってる武器は全部コイツの店(ファクトリー)から卸されてる。紅の特製バットやさっき炎が使った高周波閃手榴弾もそうだ。」
№9はダルそうにうなずいた。汚れを落としてシャンとさせればそこそこ良い女なのが非常にもったいない。
拳二はやや小馬鹿にした風にいった。
「はっ、こんな奴が本当に武器なんて作れるのか?」
「筋肉馬鹿丸出しのお前に馬鹿にされる筋合いなんかない」
炸裂する見事な毒舌。枢がいったようだ。
「コイツ今普通に喋ったぞ!!」
崇は笑っていった。
「はは、そうだ。普通に喋れるだが、ふだんは無茶苦茶なだけだ」
それは一階だけでは無い。VIPルームには巨大円卓の上に無数に並べられたノートブックパソコンにも同じ動画が映っている。こちらは一階の大画面よりいくぶん迫力は落ちるが別のアングルや、別の場所の映像も映っていた。卓上から離れ床に座り込んでひとりで三台のパソコンを操作している禅に崇がいった。
「順調か?」
真夏でも全身を覆う黒いパーカ姿のハッカーは肩をすくめた。たぶん、ちいさくうなずいたのだろう。彼は擦れた声を出す。
「動画……サイト……にも……生放送……と……良い……シーン……のピッ……クアップを…配信…してい……ます。削除……されて……いくも…のより……コピーされ……増えてい……くほうが……。多い……でしょうね。もう……止ま……りません」
僅かながら普段より声に熱が籠っていた類を見ない大仕事に興奮しているのだろう。
「それでいい。」
崇はパンっと手を叩いた。VIPルームにいる全員の視線が王へと向いた。数人しか居なかったここも今や十数人になっている。
「さぁ、パーティはここからが本番だ。皆、目に焼き付けておけ、小鳥遊悠の闘い方とやり口をな」
演説が終わるや否や拳二がいった。
「こんなことして意味があんのかぁ?」
「あるさ。この喧嘩を観た全ての奴が……世界中の奴らが知ることになる闘路の存在を、そしてやがて……なにを賭けて闘っているのかを知り、真の意味で「最強」という称号を奪い競い合ってることを知るだろう。悠は火種だ。下のやらを見てみろ既にアイツの火に触れて燃え移りだしている。」
「お前……荒れるぞ?」
「くくっ、荒れる?いいや、違う。世界を変えるのさ。そして、いい加減決めるべきだ。本当の最強をな。」
拳二は大ジョッキ並々に注がれた黄金色の液体を一気に飲みほした。豪快なげっぷをして質問の矛先を変える。
「見ねえ顔が何人かいるが誰だ?」
「あぁ、お前も見たことがなかったか、ついでだ紹介しておいてやる八番、九番。ちょっと来い」
崇に呼ばれて来たのはなぜかひとりだけだった。それも女だが、言葉を選んでも第一印象は薄汚い女。首にはゴーグルのようなものを提げていて、枯芝色の煤けたツナギで上半身は暑いので脱いで袖を腰の辺りでひと縛りしている。ツナギもそうだがランニングシャツも肌も油で所々黒く汚れているしかなり油臭い。
「ハイタカシヨビマシタ?」
表情も硬い何をいったか聞き取れなかった。
「日本人じゃないのか?」
「いいや、日本人だが……まぁ、自己紹介してみろ」
「キカイイジリブンカイサイコウチクコウコウセイナンバーハチセイベツヘイケクルルオンナエスウルフショジョ」
「……あぁ?」
眉間にしわを寄せてドスを効かせて唸るヤクザにも顔色一つ変えずにボリボリと頭をかく自己紹介を終えたらしい女。ノーブラなのか腕を動かすと胸が弾んで突起がランニングを押し上げている。崇は笑いを含みながらいった。
「くくっ、そいつは腕は良いんだが言葉の文法が無茶苦茶でな。他の奴らもイライラして中々会話にならないんだ。」
「文法もなにも……今のが日本語かぁ?」
崇はパチンと指を鳴らす。禅がタブレットを拳二の前へと差し出した。画面に文字の羅列が浮かぶ。
【S・ウルフ№8。平家枢(へいけくるる)、性別女、高校生処女。趣味機械いじり分解再構築改造。】
「……こういったのか?」
「らしいな。うちのチームが使ってる武器は全部コイツの店(ファクトリー)から卸されてる。紅の特製バットやさっき炎が使った高周波閃手榴弾もそうだ。」
№9はダルそうにうなずいた。汚れを落としてシャンとさせればそこそこ良い女なのが非常にもったいない。
拳二はやや小馬鹿にした風にいった。
「はっ、こんな奴が本当に武器なんて作れるのか?」
「筋肉馬鹿丸出しのお前に馬鹿にされる筋合いなんかない」
炸裂する見事な毒舌。枢がいったようだ。
「コイツ今普通に喋ったぞ!!」
崇は笑っていった。
「はは、そうだ。普通に喋れるだが、ふだんは無茶苦茶なだけだ」