ー夏休み編ー技と力と策
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先に摩耶の治療を優先してくれと言って、駒理はしぶしぶ了承した。ここで嫌といっても絶対に悠は引かないと分かったていたのだ。だから、早急かつ丁寧に摩耶に処置を施す。肉体的な損傷はいってしまえば顔だけだ。厄介なのは鼻の骨折だけ。
それでも駒理は勇敢だった。曲がっている鼻をつまんで正しい位置に折り直した。ゴキッと絵にもいわれるググもった音におれもデコもカゲコも顔をしかめる。しかも、よっぽど痛かったのだろう意識を失っていた摩耶がぎゃっと悲鳴をあげて目を覚ます。
「あ……僕……生きてる。」
おれは摩耶を見下ろしていった。
「生きてるよ。っか、おれと約束しただろ。おれが死ぬまで死なないって」
血まみれの顔をくしゃくしゃにして笑う。
「そっか……悠くん、覚えててくれたんだ……。」
「おれは嘘もつくし逃げも隠れもするけど約束は守る男って、いつもいってるだろ」
「あは、あはははっ。うん、そうだったね。」
泣き笑い顔の摩耶。おれはいった。
「さて、昔話をするのは今度にしよう。おれは行くぞ。行っていいよな?」
「うん。悠くんの勝ちだから行っていいよ。ちょっとしたら追いかけるから」
「あぁ。」
さっきと同じように拳と拳をコツンとぶつけあっていると間に居る駒理が叫んだ。
「だ、ダメですよ!悠くん、ストップですドクターストップ。これ以上はダメです!!治療もしてないし!」
必死に止めようとしておれの腕を掴む駒裡の手をそっと退けた。おれは首を左右に振っていった。
「駒裡さん……おれの身体は限界が来てるっそう思ってるんだろ?」
「思ってるんじゃなくて、もう限界なんです!!悠くんは翠龍の毒がまわって……立ってるのだって」
おれはその場で飛び跳ねた。拳を打って、足を振り上げて大丈夫だと動いてアピールする。
「最後、摩耶の寸剄がおれの体内で淀んだ翠龍の毒を弾き飛ばしてくれた。おかげで全然大丈夫だ。いや、まぁ、全然はウソになるけど。へいきだ。だから、駒裡さん、摩耶のことを頼む。摩耶が動けるようになったら追ってきてくれ。まぁ、その頃には柏のボケを叩き潰してると思うけどな。」
サムズアップサインを向けて笑った。何か言いたげな目でおれの全身を見てようやくうなずいてくれた。
「お願いですから……無理と思ったら辞めてくださいね。」
「あぁ、大丈夫だ。それじゃあな……デコ。着いて来い」
「はいですやよ!」
近くに突き立っている刀を一本ぬいてデコは腰に携えておれの前をかけ出した。着いて来いといったのにいきなり先頭に立って行こうとするのであわてておれもその後を追いかけた。たぶん、カゲコも着いてきてるだろう。
駒理はぽつりと言った。
「……大丈夫でしょうか。」
「平気かどうかで聞かれたら……平気じゃないだろうけど悠君だからね。結局同じだよ」
駆けていく悠の背中ではなく摩耶は足を見ていた。きっと気がついたのは自分だけだ。悠くんの上半身の被害に集中し過ぎていたから仕方がない。だが、摩耶は見てしまっていた。うっすらとズボンの所々に滲みが出来て、シューズに血が滴っていたことを……。恐らくさっきの武器勝負、いや、もしかしたらもっと前から既に筋肉の限界を超えていた。彼は今……その「命」を燃やして走っている。
それでも駒理は勇敢だった。曲がっている鼻をつまんで正しい位置に折り直した。ゴキッと絵にもいわれるググもった音におれもデコもカゲコも顔をしかめる。しかも、よっぽど痛かったのだろう意識を失っていた摩耶がぎゃっと悲鳴をあげて目を覚ます。
「あ……僕……生きてる。」
おれは摩耶を見下ろしていった。
「生きてるよ。っか、おれと約束しただろ。おれが死ぬまで死なないって」
血まみれの顔をくしゃくしゃにして笑う。
「そっか……悠くん、覚えててくれたんだ……。」
「おれは嘘もつくし逃げも隠れもするけど約束は守る男って、いつもいってるだろ」
「あは、あはははっ。うん、そうだったね。」
泣き笑い顔の摩耶。おれはいった。
「さて、昔話をするのは今度にしよう。おれは行くぞ。行っていいよな?」
「うん。悠くんの勝ちだから行っていいよ。ちょっとしたら追いかけるから」
「あぁ。」
さっきと同じように拳と拳をコツンとぶつけあっていると間に居る駒理が叫んだ。
「だ、ダメですよ!悠くん、ストップですドクターストップ。これ以上はダメです!!治療もしてないし!」
必死に止めようとしておれの腕を掴む駒裡の手をそっと退けた。おれは首を左右に振っていった。
「駒裡さん……おれの身体は限界が来てるっそう思ってるんだろ?」
「思ってるんじゃなくて、もう限界なんです!!悠くんは翠龍の毒がまわって……立ってるのだって」
おれはその場で飛び跳ねた。拳を打って、足を振り上げて大丈夫だと動いてアピールする。
「最後、摩耶の寸剄がおれの体内で淀んだ翠龍の毒を弾き飛ばしてくれた。おかげで全然大丈夫だ。いや、まぁ、全然はウソになるけど。へいきだ。だから、駒裡さん、摩耶のことを頼む。摩耶が動けるようになったら追ってきてくれ。まぁ、その頃には柏のボケを叩き潰してると思うけどな。」
サムズアップサインを向けて笑った。何か言いたげな目でおれの全身を見てようやくうなずいてくれた。
「お願いですから……無理と思ったら辞めてくださいね。」
「あぁ、大丈夫だ。それじゃあな……デコ。着いて来い」
「はいですやよ!」
近くに突き立っている刀を一本ぬいてデコは腰に携えておれの前をかけ出した。着いて来いといったのにいきなり先頭に立って行こうとするのであわてておれもその後を追いかけた。たぶん、カゲコも着いてきてるだろう。
駒理はぽつりと言った。
「……大丈夫でしょうか。」
「平気かどうかで聞かれたら……平気じゃないだろうけど悠君だからね。結局同じだよ」
駆けていく悠の背中ではなく摩耶は足を見ていた。きっと気がついたのは自分だけだ。悠くんの上半身の被害に集中し過ぎていたから仕方がない。だが、摩耶は見てしまっていた。うっすらとズボンの所々に滲みが出来て、シューズに血が滴っていたことを……。恐らくさっきの武器勝負、いや、もしかしたらもっと前から既に筋肉の限界を超えていた。彼は今……その「命」を燃やして走っている。