ー夏休み編ー技と力と策
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ホテルの中へ先行した卯天が四方を見渡して、オッケーのハンドサインをだした。二人はそれを確認してから自動ドアのガラスをくぐる。さっきと変わらず荒果てたロビーと意識を失っている兵士。卯天はいった。
「ひとの気配はまったくないですけど……亮さんはどこに居たんです?」
ともきはこっちだといって、さっき座らせたソファまで駆けたが、そこには影も形も残っていなかった。
「居ない……亮、何処だっ!どこかに居るんだろっ!」
叫んでみても広いロビーにこだまして返事は無かった。
「少し手分けして探してみましょう。もしかしたらトイレかもしれないし」
なぜか居ないのが皆分かってしまっていたがトイレや部屋を訪れたが……やはり何処にも居なかった。ちよっとして、現状を整理しようと再度、亮が消えたソファーの前に集合した。ともきがぽつりと言う。
「どういうことだろう……なんで、亮が消えたんだ……?」
「現状から考えてさらわれたんじゃないかしら。」
なんのためらいもなく稲葉はそういって続ける。
「たぶん、その方が安全といえば安全なはずよ。柏さんにとって悠以外は邪魔なわけだし、さらって事が済むまで適当に監禁しておけばいいんだから。別に殺したり拷問するようなことしても得は無いし」
ともきは納得できた。きっと、柏は最初はこのホテルともう片側のホテルにひと晩、悠以外の人間を缶詰め状態にするつもりで居たんだろう。だから、抵抗さえしなければ今でも普通に遊んでるか寝てるかだったはずだ。だけど、簡単に血の気の多い紅たちが閉じ込められるわけがない。結果全員外に飛び出て行ってしまった……。それでも、手の内だったんだろう。さっき見たタブレットでは見事にバラバラに散ってしまっていた。閉じ込め無くても各個撃破(捕獲)していけばいい……。そう考えると一人になった亮は負傷しているし簡単に捕まってしまったと推理できる。
稲葉はまたもタブレットを操作していった。
「ま、このくらいは私も想定内だったから思いっきり刺客を放ったんだけどね。」
「どういうことだ?」
彼女は笑う、今度はハッキリとにんまり唇の端を釣り上げて三日月型に開いた口の笑顔でいった。
「私ね、柏さん側に着くつもりだったの……だけど、私は味方にしないといわれたから中立でいたのよ。それで、彼の望む通りに昨日までは動いた。だから、今日からは柏側でも悠側でもなく、私側で動く事にしたの……けれど、かといって私には二人の喧嘩に割り込む武力なんて無い。だから、別の手を思いついたのよ……横合いから思いっきり殴りつける。」
稲葉は自分の左手に右こぶしをパチンッとぶつける。なにかは分からないが、何か仕掛けているしかももう既に実行していると、中山ともきは肌で感じ取った。稲葉が楽しんでいると……。敵でも味方でもない第三軍団長はいった。
「この島に来たがっている人を二人……いえ、卯天君を含めて三人連れて来たの。ひとりは氷室さん、そして……もうひとりは摩耶君。」
「日本に帰ってきてたのか!?」
卯天がいった。
「皆さんには黙っていたみたいですけど少し前から帰国してたんですよ」
「そうなんだ…………けど、それは悠の味方じゃないか」
「それはどうかしら」
稲葉は鋭くともきの声を遮っていった。
「二人とも別に悠の味方をしに来たんじゃなく修業の成果を試しに来ただけよ。そして、摩耶君はその相手を……悠にするといってたわ」
「……ジョウダンだろ?」
稲葉と卯天は顔を見合わせて首を横に振った。
「冗談でも嘘でもないんです。摩耶さんの目的は悠さん、そしてついでに金剛三さんと柏さん……。」
「待て、待てよ。悠はともかく金剛さんと柏さんなら……二人で組んだらいいじゃないか」
もっともな意見。仮に悠と摩耶が喧嘩することになったとしても、それなら金剛と柏をどうにかした後で、改めて決着を付けたらいい。なにも今わざわざどうし打ちするような真似をする必要はまったくないのだ。
「ひとの気配はまったくないですけど……亮さんはどこに居たんです?」
ともきはこっちだといって、さっき座らせたソファまで駆けたが、そこには影も形も残っていなかった。
「居ない……亮、何処だっ!どこかに居るんだろっ!」
叫んでみても広いロビーにこだまして返事は無かった。
「少し手分けして探してみましょう。もしかしたらトイレかもしれないし」
なぜか居ないのが皆分かってしまっていたがトイレや部屋を訪れたが……やはり何処にも居なかった。ちよっとして、現状を整理しようと再度、亮が消えたソファーの前に集合した。ともきがぽつりと言う。
「どういうことだろう……なんで、亮が消えたんだ……?」
「現状から考えてさらわれたんじゃないかしら。」
なんのためらいもなく稲葉はそういって続ける。
「たぶん、その方が安全といえば安全なはずよ。柏さんにとって悠以外は邪魔なわけだし、さらって事が済むまで適当に監禁しておけばいいんだから。別に殺したり拷問するようなことしても得は無いし」
ともきは納得できた。きっと、柏は最初はこのホテルともう片側のホテルにひと晩、悠以外の人間を缶詰め状態にするつもりで居たんだろう。だから、抵抗さえしなければ今でも普通に遊んでるか寝てるかだったはずだ。だけど、簡単に血の気の多い紅たちが閉じ込められるわけがない。結果全員外に飛び出て行ってしまった……。それでも、手の内だったんだろう。さっき見たタブレットでは見事にバラバラに散ってしまっていた。閉じ込め無くても各個撃破(捕獲)していけばいい……。そう考えると一人になった亮は負傷しているし簡単に捕まってしまったと推理できる。
稲葉はまたもタブレットを操作していった。
「ま、このくらいは私も想定内だったから思いっきり刺客を放ったんだけどね。」
「どういうことだ?」
彼女は笑う、今度はハッキリとにんまり唇の端を釣り上げて三日月型に開いた口の笑顔でいった。
「私ね、柏さん側に着くつもりだったの……だけど、私は味方にしないといわれたから中立でいたのよ。それで、彼の望む通りに昨日までは動いた。だから、今日からは柏側でも悠側でもなく、私側で動く事にしたの……けれど、かといって私には二人の喧嘩に割り込む武力なんて無い。だから、別の手を思いついたのよ……横合いから思いっきり殴りつける。」
稲葉は自分の左手に右こぶしをパチンッとぶつける。なにかは分からないが、何か仕掛けているしかももう既に実行していると、中山ともきは肌で感じ取った。稲葉が楽しんでいると……。敵でも味方でもない第三軍団長はいった。
「この島に来たがっている人を二人……いえ、卯天君を含めて三人連れて来たの。ひとりは氷室さん、そして……もうひとりは摩耶君。」
「日本に帰ってきてたのか!?」
卯天がいった。
「皆さんには黙っていたみたいですけど少し前から帰国してたんですよ」
「そうなんだ…………けど、それは悠の味方じゃないか」
「それはどうかしら」
稲葉は鋭くともきの声を遮っていった。
「二人とも別に悠の味方をしに来たんじゃなく修業の成果を試しに来ただけよ。そして、摩耶君はその相手を……悠にするといってたわ」
「……ジョウダンだろ?」
稲葉と卯天は顔を見合わせて首を横に振った。
「冗談でも嘘でもないんです。摩耶さんの目的は悠さん、そしてついでに金剛三さんと柏さん……。」
「待て、待てよ。悠はともかく金剛さんと柏さんなら……二人で組んだらいいじゃないか」
もっともな意見。仮に悠と摩耶が喧嘩することになったとしても、それなら金剛と柏をどうにかした後で、改めて決着を付けたらいい。なにも今わざわざどうし打ちするような真似をする必要はまったくないのだ。