ー夏休み編ー技と力と策
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所変わって、ひと騒ぎあった地下から戻ってきた二人組はロビーを見て絶句した。机やソファーはもちろん、壁や床に至るまでボロボロになっていた。それ以上に素人目に見ても鍛えられた兵士の男たちが完全に意識を失って倒されていることだ。ともきに肩を借りてい立っている岡崎亮がいった。
「これ……千夜達が倒したのか。やっぱ、すげぇなあいつ等」
口のなかが切れてるのだろう。喋りにくそうに呟くとペッと床に唾を吐いた。数十分前だったら怒られそうな行動だが……今なら関係ない。血混じりの唾液が大理石の白い床で広がっているのを横目にともきは自分の携帯をポケットから抜いた。
「九時前か……悠は大丈夫かな」
「アイツは平気……だよ。」
「なんでわかる?」
「なんでかな……なんとなくっていうしかないけど、分かるんだよ。アイツが本当に負けて動けなくなってたなら、きっと……ともきにも分かるはずだ。超能力とかじゃないけど……感覚ってやつかな。」
亮が、いいたいことを何となく、本当にただなんとなくともきも分かっていた。言葉では言い表せない、説明できない何か繋がりみたいなものをもっているのだと。亮は息を大きく吐いていった。
「悪い、ちょっとどっか座りたい」
「あ、あぁ、ちょっと待てよ」
ひっくり返っているソファを足で起こして、ボロボロのサンドバックみたいな男を座らせた。突かれた喉の痣は内出血を起こして腐ったブドウいろに変色していた。控え目にいっても重傷な男はしゃがれた声でいう。
「電話」
「えっ?」
「さっきの電話……の相手。誰だったんだ?」
答えようとしたそのとき、携帯の着信音が鳴った。亮は左手でどうぞっとジェッチャーする。ともきはうなずいてポケットから携帯を抜いて通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『外に出てきて』
名乗りもせずに用件だけをぶつけてくる。顔をしかめていることに気づいて、亮は声を出さずに口を動かした。どうした?と……。ともきは何でも無い。ちょっと待っててくれと亮に伝えて出入り口まで歩いていった。人の動きをセンサーが感知してぶ厚目のガラス戸が自動で左右に開いた。すっかりと夜になったそとから潮の香りを含んだ夏の夜風がサッと頬を撫でる。現状が現状でなかったら夜の散歩も悪くない雰囲気だった。ホテルのライトアップが届く範囲まで外に歩みだして、まだ繋がったままの電話にいった。
「外に出たぞ。何処にいる?」
受話口からの声と実際に話す声が僅かなラグを起こして聞こえて来た。
「こっちよ。久しぶりね。」
薄明かりの中から二つの人影が出て来た。なぜか銀のパンツスーツに白いシャツ姿でショルダーバックをさげた稲葉と、上下白のカンフーシャツとカンフーパンツの卯天君だ。例えて言うなら裏世界の要人と警護人。ともきは一拍おいていった。
「何が久しぶりなんだか……。こっちはえらい騒ぎになっているんだぞ」
稲葉はクスクスと笑う。魔女の微笑だ。
「私に言われても仕方ないわ。まぁ、でも思い切り邪魔をしに来たから無関係者ではないけどね」
ともきが何をいっている?顔に稲葉は微笑を張りつけたまま言った。
「私なりの推理という全貌図なんだけどね。今回の旅行はもともと悠と柏さんの喧嘩旅行だったのよ」
「そんなことは……みんな口に出さないだけで気がついてただろ」
「そうね。だとしたら普通に考えて邪魔……よね?悠以外の人間は」
言葉を切って稲葉は手慣れたしぐさで長い後ろ髪をひと括りして、肩にかけた藍色のショルダーバックからA5ノートサイズのタブレット端末を取りだした。サッサッと細い指さきで撫でながらいった。目線はタブレットを見たまま。
「もちろん、柏さんも邪魔になるのは分かってて行動してるだろうから互いに手の内はバラし合ってる。というか……悠と柏さん以外の人らが何か策があって動いてるとは到底考えられないし………………はい、そこで、稲葉先生の猿でも理解(わ)かる。元状況とこれからの行動講座はっじまーるよ♪」
タブレット端末をこちらにむけて急に教育番組の体操のお姉さんみたいなテンションになった稲葉にともきはなんの反応も出来なかった。
「これ……千夜達が倒したのか。やっぱ、すげぇなあいつ等」
口のなかが切れてるのだろう。喋りにくそうに呟くとペッと床に唾を吐いた。数十分前だったら怒られそうな行動だが……今なら関係ない。血混じりの唾液が大理石の白い床で広がっているのを横目にともきは自分の携帯をポケットから抜いた。
「九時前か……悠は大丈夫かな」
「アイツは平気……だよ。」
「なんでわかる?」
「なんでかな……なんとなくっていうしかないけど、分かるんだよ。アイツが本当に負けて動けなくなってたなら、きっと……ともきにも分かるはずだ。超能力とかじゃないけど……感覚ってやつかな。」
亮が、いいたいことを何となく、本当にただなんとなくともきも分かっていた。言葉では言い表せない、説明できない何か繋がりみたいなものをもっているのだと。亮は息を大きく吐いていった。
「悪い、ちょっとどっか座りたい」
「あ、あぁ、ちょっと待てよ」
ひっくり返っているソファを足で起こして、ボロボロのサンドバックみたいな男を座らせた。突かれた喉の痣は内出血を起こして腐ったブドウいろに変色していた。控え目にいっても重傷な男はしゃがれた声でいう。
「電話」
「えっ?」
「さっきの電話……の相手。誰だったんだ?」
答えようとしたそのとき、携帯の着信音が鳴った。亮は左手でどうぞっとジェッチャーする。ともきはうなずいてポケットから携帯を抜いて通話ボタンを押した。
「もしもし?」
『外に出てきて』
名乗りもせずに用件だけをぶつけてくる。顔をしかめていることに気づいて、亮は声を出さずに口を動かした。どうした?と……。ともきは何でも無い。ちょっと待っててくれと亮に伝えて出入り口まで歩いていった。人の動きをセンサーが感知してぶ厚目のガラス戸が自動で左右に開いた。すっかりと夜になったそとから潮の香りを含んだ夏の夜風がサッと頬を撫でる。現状が現状でなかったら夜の散歩も悪くない雰囲気だった。ホテルのライトアップが届く範囲まで外に歩みだして、まだ繋がったままの電話にいった。
「外に出たぞ。何処にいる?」
受話口からの声と実際に話す声が僅かなラグを起こして聞こえて来た。
「こっちよ。久しぶりね。」
薄明かりの中から二つの人影が出て来た。なぜか銀のパンツスーツに白いシャツ姿でショルダーバックをさげた稲葉と、上下白のカンフーシャツとカンフーパンツの卯天君だ。例えて言うなら裏世界の要人と警護人。ともきは一拍おいていった。
「何が久しぶりなんだか……。こっちはえらい騒ぎになっているんだぞ」
稲葉はクスクスと笑う。魔女の微笑だ。
「私に言われても仕方ないわ。まぁ、でも思い切り邪魔をしに来たから無関係者ではないけどね」
ともきが何をいっている?顔に稲葉は微笑を張りつけたまま言った。
「私なりの推理という全貌図なんだけどね。今回の旅行はもともと悠と柏さんの喧嘩旅行だったのよ」
「そんなことは……みんな口に出さないだけで気がついてただろ」
「そうね。だとしたら普通に考えて邪魔……よね?悠以外の人間は」
言葉を切って稲葉は手慣れたしぐさで長い後ろ髪をひと括りして、肩にかけた藍色のショルダーバックからA5ノートサイズのタブレット端末を取りだした。サッサッと細い指さきで撫でながらいった。目線はタブレットを見たまま。
「もちろん、柏さんも邪魔になるのは分かってて行動してるだろうから互いに手の内はバラし合ってる。というか……悠と柏さん以外の人らが何か策があって動いてるとは到底考えられないし………………はい、そこで、稲葉先生の猿でも理解(わ)かる。元状況とこれからの行動講座はっじまーるよ♪」
タブレット端末をこちらにむけて急に教育番組の体操のお姉さんみたいなテンションになった稲葉にともきはなんの反応も出来なかった。