ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あれ…?」
ザックリと切れていたはずの傷からはすでに血は止まってリンパ液の瘡蓋が張っている。
見間違いかと目を擦り、もう一度確認してみるがやはり塞がっていた。
コマリはポツリと溢した…。
「どうして…」
快復が早すぎる。
確かに擦り傷やかすり傷なら物の数分でリンパ瘡蓋ができることはある。
だが、それは傷が浅いからで刃を握りしめたような傷がそう簡単に塞がるわけがなかった。
コマリが不思議そうに悠を見上げていった
「悠さん…いったい何をしたんです?傷が…」
「あぁ…俺は昔から傷口が塞がるの早いんだよなんでも血中のなんとかいう物質が多いらしくてな、ただそのかわり、一度流血したらリンパ液が排出されて落ち着くまで血が止まらないらしい。だから採血とかしたら針抜いたあとすぐに押さえないと洒落にならんくらい血がでるんだけどな。なんか問題あるか?」
コマリは首を横に振った。何も問題ない、大丈夫といって、悠の手に包帯を巻こうとしたが急に手を引っ込めた。
「悠さん?」
「包帯はいいや。こっからさき、どんな奴がいるか解らないし。少しでも余分な物を身に付けたくない」
布というものは衝撃をまともに通す性質がある。
いくら傷が塞がっているとはいっても、元通りに完全に治ってる訳ではない。
この先、手のひらで何かを止めたりすれば今までの非ではない。
もちろん、布を挟まずにといっても、完全に痛みが消えるわけでもないのだが…。
悠がそれでも治療を受けないのは、この先に潜んでいる敵に対する本気の決意なのか、ダメージを受けることを省みない苦肉の策なのか…。
あるいは……もっと別に何かが変わってしまったのか…。
コマリには解らなかった。ただ、ひとつだけ……このまま、小鳥遊悠をひとりにしてはいけないという事を感じ取っていた。
引っ込められていく手を目線で追いながら、悠の顔を見た。
視線に気がついたのか笑顔を返していった。
「俺は大丈夫だから。それより……カゲコ。」
彼女は涙で頬をべたべたにして呆然と立ち尽くしていた。まるで、寿命を迎えた木のように枯れている。
悠に呼ばれて濡れた瞳だけを動かした。
もう、名前を否定する元気も無い様子だ。
「お前はどうする?」
唇の端をわずかに吊り上げ、自傷気味にいった。
「あたいは破棄されたんだ…どうもこうもない、見捨てられたんだよ。居場所が…無くなったんだ」
かける言葉が見つからないとコマリが表情を曇らせると悠がいった。
「それで?泣き寝入りして全部諦めるのかよ。俺はお前と柏の関係がなんなのかは知らないけどさ、破棄ってたのはウォーケンだろ?柏に言われた訳でも無いのに確かめもせずに受け入れるのかよ。」
カゲコは叫んだ。
「じゃあ、どうしろっていうのよ!アンタを倒してみろとでもいうの?!なんでも軽口を叩かないでよ!」
ザックリと切れていたはずの傷からはすでに血は止まってリンパ液の瘡蓋が張っている。
見間違いかと目を擦り、もう一度確認してみるがやはり塞がっていた。
コマリはポツリと溢した…。
「どうして…」
快復が早すぎる。
確かに擦り傷やかすり傷なら物の数分でリンパ瘡蓋ができることはある。
だが、それは傷が浅いからで刃を握りしめたような傷がそう簡単に塞がるわけがなかった。
コマリが不思議そうに悠を見上げていった
「悠さん…いったい何をしたんです?傷が…」
「あぁ…俺は昔から傷口が塞がるの早いんだよなんでも血中のなんとかいう物質が多いらしくてな、ただそのかわり、一度流血したらリンパ液が排出されて落ち着くまで血が止まらないらしい。だから採血とかしたら針抜いたあとすぐに押さえないと洒落にならんくらい血がでるんだけどな。なんか問題あるか?」
コマリは首を横に振った。何も問題ない、大丈夫といって、悠の手に包帯を巻こうとしたが急に手を引っ込めた。
「悠さん?」
「包帯はいいや。こっからさき、どんな奴がいるか解らないし。少しでも余分な物を身に付けたくない」
布というものは衝撃をまともに通す性質がある。
いくら傷が塞がっているとはいっても、元通りに完全に治ってる訳ではない。
この先、手のひらで何かを止めたりすれば今までの非ではない。
もちろん、布を挟まずにといっても、完全に痛みが消えるわけでもないのだが…。
悠がそれでも治療を受けないのは、この先に潜んでいる敵に対する本気の決意なのか、ダメージを受けることを省みない苦肉の策なのか…。
あるいは……もっと別に何かが変わってしまったのか…。
コマリには解らなかった。ただ、ひとつだけ……このまま、小鳥遊悠をひとりにしてはいけないという事を感じ取っていた。
引っ込められていく手を目線で追いながら、悠の顔を見た。
視線に気がついたのか笑顔を返していった。
「俺は大丈夫だから。それより……カゲコ。」
彼女は涙で頬をべたべたにして呆然と立ち尽くしていた。まるで、寿命を迎えた木のように枯れている。
悠に呼ばれて濡れた瞳だけを動かした。
もう、名前を否定する元気も無い様子だ。
「お前はどうする?」
唇の端をわずかに吊り上げ、自傷気味にいった。
「あたいは破棄されたんだ…どうもこうもない、見捨てられたんだよ。居場所が…無くなったんだ」
かける言葉が見つからないとコマリが表情を曇らせると悠がいった。
「それで?泣き寝入りして全部諦めるのかよ。俺はお前と柏の関係がなんなのかは知らないけどさ、破棄ってたのはウォーケンだろ?柏に言われた訳でも無いのに確かめもせずに受け入れるのかよ。」
カゲコは叫んだ。
「じゃあ、どうしろっていうのよ!アンタを倒してみろとでもいうの?!なんでも軽口を叩かないでよ!」