ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
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「一度だけしか聞かない……本当にお前は久保ちゃんの事をなにも知らないんだな」
嘘をつく余裕はもう無いのだろう。
必死に首をたてに振りながら早口にいった。
「あぁ、知らない。なにも知らない……俺は最初アナタじゃなく久保田に復讐するつもりだった。だが、地位も名誉も何もかも失った俺は奴の情報を掴むすべはなかった……そんなとき出逢ったのがミスターカシワだった。そして、私は彼に雇われたんだ」
悠は眉間にシワを寄せていった。
「どういう事だちゃんと説明しろ!」
「こ、ここに居る兵の大半はカシワに雇われた引退した元軍人や現役の傭兵、それに私も知らないような奴ら…ガキもいる…。金で動いてるのが大半だが…私は君をどうにか出来たなら久保田の情報を貰えるのを条件に参加した…。」
「久保ちゃんの情報だと!それは本当か!本当に柏がそういったのか!」
悠はウォーケンの襟首を掴んで上半身を無理矢理起こして揺さぶった。
そのたびにヒィッ!っと悲鳴をあげている。
「本当だ…本当だからもぅやめてくれぇ、これ以上は俺はなにも聞かされてないし、もうアナタにも久保田にも関わらないと誓うから…」
その言葉を最後に聞いて、掴んでいた襟首を離して悠は立ち上がった。
振り返りながら、ずっとライトを照らしていたウォーケンの手下と思われる奴等にいった。
「お前らもこうなりたいならかかってこい……来るなら容赦しないがな。けど、この男を連れて退くなら俺からはなにもしない……どうする?」
答えは聞くまでもなかった。
もはや戦線には復帰できないほど心も身体も痛め付けられたウォーケンを担いで兵たちは早々に撤退していった。
小鳥遊悠
vs
ウォーケン(再起不能)
一気に傭兵達が引き上げた後に残ったのは悠とコマリとカゲコだった。
殺伐とした雰囲気が一転し、静かな夏の夜に戻る。
夢から現実へと目覚めたばかりのように物語が半端に終わってしまったような後味の悪さがジワジワと広がる。
誰も口を開かない中で一番最初に声を出したのは悠だった。
「コマリさん…」
「は、はい!なんでしょうか!」
「こんな事に巻き込んでごめんな。けど、どうしても最後までつき合ってもらうしか無くなっちゃったよ。俺は今からさっきみたいな事を繰り返すかも知れないし…軽蔑してくれてもいいだけど…」
コマリはソッと悠の右手に脱脂綿をあてがって握った。
スポンジが水を吸うように白い塊が血を蓄えて赤く染まる。
コマリの手も赤く汚れていくが、そんな事は気にした様子なく、慈愛で包むように優しい声でいった。
「少し怖かったですけど、軽蔑なんかしないですよ。だって、悠さんはカゲコちゃんを助けたじゃないですか。とりあえず、止血しましょう。このままだと拳も握れないですよ」
パタパタとメディカルセットを出して、悠の手のひらに止血剤を塗ろうと傷口を見た。
嘘をつく余裕はもう無いのだろう。
必死に首をたてに振りながら早口にいった。
「あぁ、知らない。なにも知らない……俺は最初アナタじゃなく久保田に復讐するつもりだった。だが、地位も名誉も何もかも失った俺は奴の情報を掴むすべはなかった……そんなとき出逢ったのがミスターカシワだった。そして、私は彼に雇われたんだ」
悠は眉間にシワを寄せていった。
「どういう事だちゃんと説明しろ!」
「こ、ここに居る兵の大半はカシワに雇われた引退した元軍人や現役の傭兵、それに私も知らないような奴ら…ガキもいる…。金で動いてるのが大半だが…私は君をどうにか出来たなら久保田の情報を貰えるのを条件に参加した…。」
「久保ちゃんの情報だと!それは本当か!本当に柏がそういったのか!」
悠はウォーケンの襟首を掴んで上半身を無理矢理起こして揺さぶった。
そのたびにヒィッ!っと悲鳴をあげている。
「本当だ…本当だからもぅやめてくれぇ、これ以上は俺はなにも聞かされてないし、もうアナタにも久保田にも関わらないと誓うから…」
その言葉を最後に聞いて、掴んでいた襟首を離して悠は立ち上がった。
振り返りながら、ずっとライトを照らしていたウォーケンの手下と思われる奴等にいった。
「お前らもこうなりたいならかかってこい……来るなら容赦しないがな。けど、この男を連れて退くなら俺からはなにもしない……どうする?」
答えは聞くまでもなかった。
もはや戦線には復帰できないほど心も身体も痛め付けられたウォーケンを担いで兵たちは早々に撤退していった。
小鳥遊悠
vs
ウォーケン(再起不能)
一気に傭兵達が引き上げた後に残ったのは悠とコマリとカゲコだった。
殺伐とした雰囲気が一転し、静かな夏の夜に戻る。
夢から現実へと目覚めたばかりのように物語が半端に終わってしまったような後味の悪さがジワジワと広がる。
誰も口を開かない中で一番最初に声を出したのは悠だった。
「コマリさん…」
「は、はい!なんでしょうか!」
「こんな事に巻き込んでごめんな。けど、どうしても最後までつき合ってもらうしか無くなっちゃったよ。俺は今からさっきみたいな事を繰り返すかも知れないし…軽蔑してくれてもいいだけど…」
コマリはソッと悠の右手に脱脂綿をあてがって握った。
スポンジが水を吸うように白い塊が血を蓄えて赤く染まる。
コマリの手も赤く汚れていくが、そんな事は気にした様子なく、慈愛で包むように優しい声でいった。
「少し怖かったですけど、軽蔑なんかしないですよ。だって、悠さんはカゲコちゃんを助けたじゃないですか。とりあえず、止血しましょう。このままだと拳も握れないですよ」
パタパタとメディカルセットを出して、悠の手のひらに止血剤を塗ろうと傷口を見た。