ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
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宮塚は女の頭元に立った。見下ろすというより死体でも確認するようにただ視界に納めていった。
「いい格好だな。」
「くっ…」
女は苛立ったように眉間にシワを寄せて、なんでもいいから抵抗したかったのか唾をペッと吐き出した。
宮塚は冷静に一歩下がりそれを避けると、鞭を振り上げる。
襲い来る痛みを覚悟し、目を閉じた。
ヒュンッと風を切る音が女のすぐ側を走る。
「……え?」
「ふん…」
宮塚はそのひと振りで張りめぐっていた黒の糸を解き、元通りの鞭に戻すと女に背を向けた。
低木の茂った獣道へと歩きはじめる。
女は糸の束縛が無くなりある程度自由になった身体をもごつかせて叫んだ。
「待ちなさい!このまま済むと思ってるの!」
「……」
遥か遠くにいて声は届いていないかのように宮塚は無反応に歩いていく。
「このっ…こんな屈辱、トドメをさせ!そうしないと私はお前をまた狙うぞ!」
「……ひとついっておく、アンタは何もかも見当違いだ」
「なに…」
「まず、俺は炎とあのワカメ頭とアンタを分断させたかった訳じゃない。本当に面倒だったから逃げただけだ。休暇で来てるのに暴れたいのはバカだけだからな。命令も無しに働く気にはならない。アンタがどういうつもりで動いてるかは知らないが……俺は小鳥遊の二人に興味はない。」
女は宮塚の背中を睨みながらいった。
「……ひとつだけ、最後に聞かせて…なんでこんな回りくどい真似を?」
「…俺の仕事(役割)は処理係。あのバカ(炎銃や紅)の後始末だ。そんな俺まで暴れたら意味がない。それに初めにいっただろ。俺は休暇なんだ。お前らの邪魔をする気はない。だから、俺の邪魔もするな……」
宮塚はそれが本心だったのだろう。
武装を解除して、鎖の檻に絡まってズタズタのボロ雑巾のようになった上服を引きちぎった。
自分がいた証拠を回収して暗い林道に消えていっていった。
後ろ姿が見えなくなると、女は伸ばしていた首を倒して深いため息を吐き出した。
文字通り敗北からの落胆。だが、それよりも自分のチカラ(戦闘能力)を過信し、結果的に一枚も二枚も有利な状況を打破されてしまったことに深く己を呪った。
だが、同時に冷静さも取り戻し拘束が解けない以上に自分のところに颯天が来るのを待つしかないと悟り無駄な足掻きを止めた。
すでに宮塚は見えなくなっていた。
視線を下げると月明かりに何かが反射して光っているのを見つけた。
「これは…」
落ちているのは、銀ムクの小さな棒。
この手錠の鍵だった。
「……完敗だわね」
女はひとりそう呟いた。
森を抜けて歩道まで、戻ってきた宮塚は三方の道を見回した。
炎銃がいるはずの道からは猛烈に嫌な冷たい気配。
紅が向かったはずの道からは絡み付くような粘着質な気配。
長年の経験から、その異の空気が肌へ伝える情報を感じ取っていた。
宮塚は迷いなくホテルへと続く第三の道を選んだ。
宮塚:戦闘離脱
vs
鎖使い:拘束により戦闘不能
「いい格好だな。」
「くっ…」
女は苛立ったように眉間にシワを寄せて、なんでもいいから抵抗したかったのか唾をペッと吐き出した。
宮塚は冷静に一歩下がりそれを避けると、鞭を振り上げる。
襲い来る痛みを覚悟し、目を閉じた。
ヒュンッと風を切る音が女のすぐ側を走る。
「……え?」
「ふん…」
宮塚はそのひと振りで張りめぐっていた黒の糸を解き、元通りの鞭に戻すと女に背を向けた。
低木の茂った獣道へと歩きはじめる。
女は糸の束縛が無くなりある程度自由になった身体をもごつかせて叫んだ。
「待ちなさい!このまま済むと思ってるの!」
「……」
遥か遠くにいて声は届いていないかのように宮塚は無反応に歩いていく。
「このっ…こんな屈辱、トドメをさせ!そうしないと私はお前をまた狙うぞ!」
「……ひとついっておく、アンタは何もかも見当違いだ」
「なに…」
「まず、俺は炎とあのワカメ頭とアンタを分断させたかった訳じゃない。本当に面倒だったから逃げただけだ。休暇で来てるのに暴れたいのはバカだけだからな。命令も無しに働く気にはならない。アンタがどういうつもりで動いてるかは知らないが……俺は小鳥遊の二人に興味はない。」
女は宮塚の背中を睨みながらいった。
「……ひとつだけ、最後に聞かせて…なんでこんな回りくどい真似を?」
「…俺の仕事(役割)は処理係。あのバカ(炎銃や紅)の後始末だ。そんな俺まで暴れたら意味がない。それに初めにいっただろ。俺は休暇なんだ。お前らの邪魔をする気はない。だから、俺の邪魔もするな……」
宮塚はそれが本心だったのだろう。
武装を解除して、鎖の檻に絡まってズタズタのボロ雑巾のようになった上服を引きちぎった。
自分がいた証拠を回収して暗い林道に消えていっていった。
後ろ姿が見えなくなると、女は伸ばしていた首を倒して深いため息を吐き出した。
文字通り敗北からの落胆。だが、それよりも自分のチカラ(戦闘能力)を過信し、結果的に一枚も二枚も有利な状況を打破されてしまったことに深く己を呪った。
だが、同時に冷静さも取り戻し拘束が解けない以上に自分のところに颯天が来るのを待つしかないと悟り無駄な足掻きを止めた。
すでに宮塚は見えなくなっていた。
視線を下げると月明かりに何かが反射して光っているのを見つけた。
「これは…」
落ちているのは、銀ムクの小さな棒。
この手錠の鍵だった。
「……完敗だわね」
女はひとりそう呟いた。
森を抜けて歩道まで、戻ってきた宮塚は三方の道を見回した。
炎銃がいるはずの道からは猛烈に嫌な冷たい気配。
紅が向かったはずの道からは絡み付くような粘着質な気配。
長年の経験から、その異の空気が肌へ伝える情報を感じ取っていた。
宮塚は迷いなくホテルへと続く第三の道を選んだ。
宮塚:戦闘離脱
vs
鎖使い:拘束により戦闘不能