ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
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体内時計で約六分三十三秒。ただただ、真っ直ぐに走り続けた。
既に道という物はなくなり、闇と木々の繁った森の中、もう自分がどの辺りにいるのかはわからない。
それ以前に土地勘の無い場所なので当たり前だった。
あと、どのくらい走り続けようかと思っていると、真後ろからシャリリと鉄の擦れる音が急速に近づいてくるのが聞こえて、宮塚は身体をひねり、地面を突いて側転でソレを避けた。
目の前の木の枝がメギリッと音を立ててへし折れる。
ソレが飛んできた方から声がする。
「夜の鬼ごっこなんて、流行らないから止めとこうじゃない。」
宮塚は腰に提げた巾着から鞭を抜いた。
ゆっくりととぐろを巻いた蛇が身を解いていくようにシュルシュルと地面に延びていく。
「やっぱりね…最初に会ったときからピンときたわ。間合いの取り方が私と同じタイプの得物を得意とするって…ね。」
声の主は宮塚から数メートルの間合いまで近づいて来た。
さっきのワカメ頭の片割れは女だった。
右手を引くとジャラジャラと地面を擦りながら鎖が手元に戻っていく。
追跡者はいった。
「互いに得物は特殊。けど、鎖とゴム…物理的に考えて旗は此方にあがる。だから逃げ出した。そうじゃない?」
くすりと笑う女。
宮塚は何もいわなかった。ただ、ジッと鎖を見つめる。
その反応のなさが、気に入らなかったか、つまらなかったのか追跡者は右手を振るった。
鎖が波をつくりあげて、木の枝や若草を払い飛ばしながら、生き物のようにうごめいた。
同時に、宮塚も腕を振り上げる。
足元に待機していた蛇が銀の波に食らいつく。
鉄とゴムがぶつかる音は形容しがたい物だった。
双方の得物の先端が地に落ちたのは一瞬で、既に手元に回収された。
鎖使いの女がいった。
「いい反応ね。まさか、先端にぶつけ返してくるとは思わなかった。」
宮塚は何もいわなかった。
「喋るのは嫌い?まぁ、寡黙な男の方がいいわよね…。それで、おとなしく投降してくれないかしら、私もボスの命令で相手が大人しくするなら拘束するだけで済むし。」
宮塚はやはり黙ったままだった。
落ち着いた物腰だった追跡者もその態度が癪だったらしく怒気を滲ませながらいった。
「無視、無視…どうせ逃げる算段でもしてるつもりでしょうが…もう遅いわよ。さっきのアンタの片割れも可哀想よね相方がひとりで逃げ出したあげく、得意な得物を使って惨敗するんだから!」
早口にまくし立てながら、鎖を振り回す。
がむしゃらにむちゃくちゃにではなく、宮塚を的確に狙っている。
攻め立てる追跡者に宮塚は後手にまわる一方だが、手首の最小限の動きだけ鞭を操って鎖を弾き飛ばしてガードする。
広範囲に伸び、跳ね、抉り、暴れる銀と黒の蛇は互いの主人には傷ひとつ付けれはしないが、辺りに傷痕を残して暴れまくる。
既に道という物はなくなり、闇と木々の繁った森の中、もう自分がどの辺りにいるのかはわからない。
それ以前に土地勘の無い場所なので当たり前だった。
あと、どのくらい走り続けようかと思っていると、真後ろからシャリリと鉄の擦れる音が急速に近づいてくるのが聞こえて、宮塚は身体をひねり、地面を突いて側転でソレを避けた。
目の前の木の枝がメギリッと音を立ててへし折れる。
ソレが飛んできた方から声がする。
「夜の鬼ごっこなんて、流行らないから止めとこうじゃない。」
宮塚は腰に提げた巾着から鞭を抜いた。
ゆっくりととぐろを巻いた蛇が身を解いていくようにシュルシュルと地面に延びていく。
「やっぱりね…最初に会ったときからピンときたわ。間合いの取り方が私と同じタイプの得物を得意とするって…ね。」
声の主は宮塚から数メートルの間合いまで近づいて来た。
さっきのワカメ頭の片割れは女だった。
右手を引くとジャラジャラと地面を擦りながら鎖が手元に戻っていく。
追跡者はいった。
「互いに得物は特殊。けど、鎖とゴム…物理的に考えて旗は此方にあがる。だから逃げ出した。そうじゃない?」
くすりと笑う女。
宮塚は何もいわなかった。ただ、ジッと鎖を見つめる。
その反応のなさが、気に入らなかったか、つまらなかったのか追跡者は右手を振るった。
鎖が波をつくりあげて、木の枝や若草を払い飛ばしながら、生き物のようにうごめいた。
同時に、宮塚も腕を振り上げる。
足元に待機していた蛇が銀の波に食らいつく。
鉄とゴムがぶつかる音は形容しがたい物だった。
双方の得物の先端が地に落ちたのは一瞬で、既に手元に回収された。
鎖使いの女がいった。
「いい反応ね。まさか、先端にぶつけ返してくるとは思わなかった。」
宮塚は何もいわなかった。
「喋るのは嫌い?まぁ、寡黙な男の方がいいわよね…。それで、おとなしく投降してくれないかしら、私もボスの命令で相手が大人しくするなら拘束するだけで済むし。」
宮塚はやはり黙ったままだった。
落ち着いた物腰だった追跡者もその態度が癪だったらしく怒気を滲ませながらいった。
「無視、無視…どうせ逃げる算段でもしてるつもりでしょうが…もう遅いわよ。さっきのアンタの片割れも可哀想よね相方がひとりで逃げ出したあげく、得意な得物を使って惨敗するんだから!」
早口にまくし立てながら、鎖を振り回す。
がむしゃらにむちゃくちゃにではなく、宮塚を的確に狙っている。
攻め立てる追跡者に宮塚は後手にまわる一方だが、手首の最小限の動きだけ鞭を操って鎖を弾き飛ばしてガードする。
広範囲に伸び、跳ね、抉り、暴れる銀と黒の蛇は互いの主人には傷ひとつ付けれはしないが、辺りに傷痕を残して暴れまくる。