ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
話が一区切りついて俺は立ちながら背伸びをした。
今日の夜空は雲がなくて明るく月もよく見えている。都心と違って排ガスにまみれていないのも理由のひとつだろう。
どうせならこの月を肴に一杯やりたいところだが、それは柏をぶっ飛ばしてからの楽しみにしておこう。
勝利の美酒ってやつだな。
「よし、休憩は終了だ。行くぜ。」
ハイっと返事をするコマリの隣で紅がいった。
「んじゃ、ここからは競争だな。」
「あん?なんの話だ?」
「どっちが先に柏の旦那と喧嘩できるかの競争。ここで今すぐ悠とやりあってもいいけど……まぁ、やっぱさこーゆー場合はボス的な奴を倒したあとで好敵手(ライバル)同士のタイマンがセオリーだよな?」
白い歯を見せてニッと笑って奴は俺の胸にかるくパンチを当ててきた。
「紅……。よし、わかった。お前も柏も俺が倒してやるよ。」
「はは、いってくれるじゃん。じゃ、ビオプラートドームで会おうなぁ~。」
紅は振り返らずに来た道を歩き始める。
俺はその背が闇に飲み込まれて見えなくなるまで黙っていた。
すると、コマリに服の裾をひっぱられた。
「あの…悠くん」
「いいんだ。わかってる。俺らみたいなのはなバカなんだ。だからな…やることは単純に…」
考える前にぶん殴れ!
瞬(またたき)の間に倒せ!それが俺達の合言葉だ。
「いえ、あ、あのそうじゃなくて…紅さんが歩いて行ったのって反対側ですよね?ビオプラートドームはこっち側…ですよね。」
コマリは紅から180度真逆の林道を指差した。
別に暗くて道が見えないわけでもないし、遠目ながらに白いクリームみたいにもっこりしたドームの頭も見えている。
「俺さー。紅がちょっと方向オンチで、ちゃんと天然入ってるところ嫌いじゃないんだよな。むしろそこが好きっていうか何て言うか…プフッ。」
「と言うか…悠君も解ってて言わなかったんですよね。肩震えるほど笑うの我慢してるし。」
コホン、コホンと俺は咳払いをした。
いや、だって教えたら結局は仲良く一緒に行くことになるわけだし。
なら、気づくまでは別々のルートでいくほうが面白いだろ。
遠回りになるけど向こうからでもいけたはずだし。
「悠くんてたまにイジワルですね。」
「なんでか知らないがよく言われるよ。俺はそんなつもりはないんだけどにゃあ。」
ひゃっひゃっひゃと笑ってるとコマリが呆れたような顔をしたような…。
まぁ、きっと気のせいだろう。
「あ、それより悠くん。ズボンもずぶ濡れだけど…携帯とかは?」
「こんな感じだけど」
ポケットから出したものをコマリの前で開いてやった。
手の中にある二つ折の携帯には穴が空いている。
「……イシュミト君の弾が当たったんですね。」
「あぁ、けどお陰で両足は守られたんだからラッキーだよ。」
「え、両足?」
俺は反対側のポケットから鉄扇を抜いた。
金属が擦れシュバッと音をたてながら広げてみせる。骨組みも羽にも傷ひとつ出来てない。
本当に何製だこれ?
「それちゃんと持ってたんですね。」
「まぁな、何かの役に立つかもしれないし。ん?」
俺は後ろに振り返った。
誰も居ないし、何にもない。
さっきまで吹き出していた水も止まっている。
「どうかしたの?」
「……」
ゆっくりと辺りを見回した。やっぱり誰もいない、何にもない。
「悠くっきゃ?!」
俺はコマリをお姫さまだっこに抱えて一気に林道に突っ切った。
突然の行動に目をパチパチさせて何事と表情を変える。
俺は走りながらいった。
「コマリ、マジに答えてくれ。今日一度でも服を着替えたりしたか?」
「え、えぇ?き、着替えては無いですけど千草さん達と帰ってきたときシャワーは浴びました……」
「シャワー…よし。なら、確定だ。」
「な、なにが?」
「説明は後だ。それより、今から何をしても俺の事を信じてくれないか。」
コマリは顔を真っ赤にした。抱いている身体が熱っぽくなる。
「あ、あの…それはどういう…」
「とにかく信じてくれ。」
訴えに真っ赤な少女は小さくうなづいた。
それと同時に急停止して俺は抱えているコマリを真後ろに放り投げた。
「はぇ?ええぇぇ!!!」
今日の夜空は雲がなくて明るく月もよく見えている。都心と違って排ガスにまみれていないのも理由のひとつだろう。
どうせならこの月を肴に一杯やりたいところだが、それは柏をぶっ飛ばしてからの楽しみにしておこう。
勝利の美酒ってやつだな。
「よし、休憩は終了だ。行くぜ。」
ハイっと返事をするコマリの隣で紅がいった。
「んじゃ、ここからは競争だな。」
「あん?なんの話だ?」
「どっちが先に柏の旦那と喧嘩できるかの競争。ここで今すぐ悠とやりあってもいいけど……まぁ、やっぱさこーゆー場合はボス的な奴を倒したあとで好敵手(ライバル)同士のタイマンがセオリーだよな?」
白い歯を見せてニッと笑って奴は俺の胸にかるくパンチを当ててきた。
「紅……。よし、わかった。お前も柏も俺が倒してやるよ。」
「はは、いってくれるじゃん。じゃ、ビオプラートドームで会おうなぁ~。」
紅は振り返らずに来た道を歩き始める。
俺はその背が闇に飲み込まれて見えなくなるまで黙っていた。
すると、コマリに服の裾をひっぱられた。
「あの…悠くん」
「いいんだ。わかってる。俺らみたいなのはなバカなんだ。だからな…やることは単純に…」
考える前にぶん殴れ!
瞬(またたき)の間に倒せ!それが俺達の合言葉だ。
「いえ、あ、あのそうじゃなくて…紅さんが歩いて行ったのって反対側ですよね?ビオプラートドームはこっち側…ですよね。」
コマリは紅から180度真逆の林道を指差した。
別に暗くて道が見えないわけでもないし、遠目ながらに白いクリームみたいにもっこりしたドームの頭も見えている。
「俺さー。紅がちょっと方向オンチで、ちゃんと天然入ってるところ嫌いじゃないんだよな。むしろそこが好きっていうか何て言うか…プフッ。」
「と言うか…悠君も解ってて言わなかったんですよね。肩震えるほど笑うの我慢してるし。」
コホン、コホンと俺は咳払いをした。
いや、だって教えたら結局は仲良く一緒に行くことになるわけだし。
なら、気づくまでは別々のルートでいくほうが面白いだろ。
遠回りになるけど向こうからでもいけたはずだし。
「悠くんてたまにイジワルですね。」
「なんでか知らないがよく言われるよ。俺はそんなつもりはないんだけどにゃあ。」
ひゃっひゃっひゃと笑ってるとコマリが呆れたような顔をしたような…。
まぁ、きっと気のせいだろう。
「あ、それより悠くん。ズボンもずぶ濡れだけど…携帯とかは?」
「こんな感じだけど」
ポケットから出したものをコマリの前で開いてやった。
手の中にある二つ折の携帯には穴が空いている。
「……イシュミト君の弾が当たったんですね。」
「あぁ、けどお陰で両足は守られたんだからラッキーだよ。」
「え、両足?」
俺は反対側のポケットから鉄扇を抜いた。
金属が擦れシュバッと音をたてながら広げてみせる。骨組みも羽にも傷ひとつ出来てない。
本当に何製だこれ?
「それちゃんと持ってたんですね。」
「まぁな、何かの役に立つかもしれないし。ん?」
俺は後ろに振り返った。
誰も居ないし、何にもない。
さっきまで吹き出していた水も止まっている。
「どうかしたの?」
「……」
ゆっくりと辺りを見回した。やっぱり誰もいない、何にもない。
「悠くっきゃ?!」
俺はコマリをお姫さまだっこに抱えて一気に林道に突っ切った。
突然の行動に目をパチパチさせて何事と表情を変える。
俺は走りながらいった。
「コマリ、マジに答えてくれ。今日一度でも服を着替えたりしたか?」
「え、えぇ?き、着替えては無いですけど千草さん達と帰ってきたときシャワーは浴びました……」
「シャワー…よし。なら、確定だ。」
「な、なにが?」
「説明は後だ。それより、今から何をしても俺の事を信じてくれないか。」
コマリは顔を真っ赤にした。抱いている身体が熱っぽくなる。
「あ、あの…それはどういう…」
「とにかく信じてくれ。」
訴えに真っ赤な少女は小さくうなづいた。
それと同時に急停止して俺は抱えているコマリを真後ろに放り投げた。
「はぇ?ええぇぇ!!!」