ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
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どっちも退かず殴られようとも、前へ、前へ、っと殴り返しの打ち合いがしばらく続いた。
力と能力(ちから)
技と術(わざ)
知恵と策略(ちえ)での熾烈を極めた戦(いくさ)は、いつしか拳と拳だけの喧嘩へ変わり。
その決着は…………重なった打撃の音で決まった。
「っ…」「ぅ…」
クロスカウンターで悠の右拳はイシュミトの顎を打ち。
イシュミトの左拳は悠の頬を打った…が、ズリリと擦るように腕は下がり落ちて、身体は正座するように崩れた。
「はぁ…悪いな…俺の方が上だったみたいだぜ。」
数秒して意識がある程度はっきりしてから…片方のまぶたは血ぶくれで閉じたアザだらけの顔でイシュミトは悠を見上げていった。
「訊いたよね…誰のために戦うのかと、君は答えなかった。その差があったのに……なんで、ぼくは負けたんだ?」
「アホだな。確かに戦ならお前の方が何もかも勝ってたよ。だけど、俺らがやったのは喧嘩だ。喧嘩は誰のために戦うんじゃねぇ。自分のためにやるもんだ。それより、立てれるか?」
悠は手を伸ばした。
イシュミトはボロボロになった顔で笑った。
さっきよりもイケメンに見える気がする。
紅とコマリが近づいてきた。
「おう。紅、怪我はしてないか?」
「少なくともお前よりはしてないって。さっさとコマリの嬢ちゃんに手当てしてもらえよ。」
まだ肩や胸からは血が滲み出ているどうみても重症だ。悠はケラケラと笑った。
「俺よりも先にコイツを頼む。腕は折れてるし体力的にも限界だろうから…ちゃんと治療できるまでの応急手当でいい。」
わかりましたっとコマリは包帯やらなんやらを取り出した。
「イシュミト君、ひさしぶりですね…。」
「やぁ、ライカちゃん。まさか、こんな風に会うことになるとは思わなかったよ。それより、悠くん。君に柏さんからの伝言をつたえるよ。」
「伝言だと?」
「あぁ…俺はメッセンジャーになるつもりには無かったんだけどね。まぁ、それはいいさ……柏さんは「物資格納庫」にいるそこに行くには、ここから東の林道に出て「ビオプラートドーム」を越えるのが一番の近道だ。時間は今夜の零時ちょうどまで。」
悠はひん曲がった柱時計を見た。
時刻は九時過ぎ。
「さぁ、あとは君しだいだ。」
イシュミトはヨロヨロと歩き出す。
コマリはいった。
「イシュミト君!治療は…」
「矢というのはね…怖いんだよ。帰り道というものをはじめから考えてない。獲物に突き刺さるまでは止まれない……。俺はここで悔しいけどリタイアだ。それに、これ以上敵に施しを受ける訳にはいかないからね。」
悠は林道に消えていくイシュミトの背中にいった。
「全部終わったら見舞いにスイカを持っていってやるよ。治ったら、また、喧嘩やろうな。」
イシュミトは振り返らずに左手を高々にあげて親指を立てた。
力と能力(ちから)
技と術(わざ)
知恵と策略(ちえ)での熾烈を極めた戦(いくさ)は、いつしか拳と拳だけの喧嘩へ変わり。
その決着は…………重なった打撃の音で決まった。
「っ…」「ぅ…」
クロスカウンターで悠の右拳はイシュミトの顎を打ち。
イシュミトの左拳は悠の頬を打った…が、ズリリと擦るように腕は下がり落ちて、身体は正座するように崩れた。
「はぁ…悪いな…俺の方が上だったみたいだぜ。」
数秒して意識がある程度はっきりしてから…片方のまぶたは血ぶくれで閉じたアザだらけの顔でイシュミトは悠を見上げていった。
「訊いたよね…誰のために戦うのかと、君は答えなかった。その差があったのに……なんで、ぼくは負けたんだ?」
「アホだな。確かに戦ならお前の方が何もかも勝ってたよ。だけど、俺らがやったのは喧嘩だ。喧嘩は誰のために戦うんじゃねぇ。自分のためにやるもんだ。それより、立てれるか?」
悠は手を伸ばした。
イシュミトはボロボロになった顔で笑った。
さっきよりもイケメンに見える気がする。
紅とコマリが近づいてきた。
「おう。紅、怪我はしてないか?」
「少なくともお前よりはしてないって。さっさとコマリの嬢ちゃんに手当てしてもらえよ。」
まだ肩や胸からは血が滲み出ているどうみても重症だ。悠はケラケラと笑った。
「俺よりも先にコイツを頼む。腕は折れてるし体力的にも限界だろうから…ちゃんと治療できるまでの応急手当でいい。」
わかりましたっとコマリは包帯やらなんやらを取り出した。
「イシュミト君、ひさしぶりですね…。」
「やぁ、ライカちゃん。まさか、こんな風に会うことになるとは思わなかったよ。それより、悠くん。君に柏さんからの伝言をつたえるよ。」
「伝言だと?」
「あぁ…俺はメッセンジャーになるつもりには無かったんだけどね。まぁ、それはいいさ……柏さんは「物資格納庫」にいるそこに行くには、ここから東の林道に出て「ビオプラートドーム」を越えるのが一番の近道だ。時間は今夜の零時ちょうどまで。」
悠はひん曲がった柱時計を見た。
時刻は九時過ぎ。
「さぁ、あとは君しだいだ。」
イシュミトはヨロヨロと歩き出す。
コマリはいった。
「イシュミト君!治療は…」
「矢というのはね…怖いんだよ。帰り道というものをはじめから考えてない。獲物に突き刺さるまでは止まれない……。俺はここで悔しいけどリタイアだ。それに、これ以上敵に施しを受ける訳にはいかないからね。」
悠は林道に消えていくイシュミトの背中にいった。
「全部終わったら見舞いにスイカを持っていってやるよ。治ったら、また、喧嘩やろうな。」
イシュミトは振り返らずに左手を高々にあげて親指を立てた。