ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
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私は顔を伏せた…。
後も見ない。前も見ない。今はなにもかも見たくない。
「貴女のいった通りかもね。」
「にゃは♪」
「私さ……正直にいうとさっき千草ちゃんと雷果ちゃんがコソコソ移動してるのを見てずっと後をつけてたの、それで貴女達と対峙しても、顔を出すの躊躇(ためら)ったのよね。」
何にも言わないけどきっと、後ろにいるライカちゃんに聞こえてる。
私…最低ね。
「それじゃにゃんで出てき…あー言わなくていいにゃ。私は痴情の縺(もつ)れとか興味にゃいし、後ろのおねーさんさえ捕まえればオーケーにゃんだから。」
ネコはとっとと素通りしようとした。
私は動かなかった。
「……ない」
「にゃ?」
私は頭を振り上げた。
ハラハラと前髪が舞い上がっている。
「通さないっていったのよ。今このまま突っ立てライカちゃんを差し出して嫌われるより。アンタから守って嫌われる方がましなのよ!」
「本当に…残念だにゃあ!」
視界に入る全部がゆっくりになった気がした。
ネコの俊敏な動きも判る。
両腕を振り上げて飛びかかってくる×に爪で切り裂いてくるつもりみたい。
両手の痺れた私に受け止める術も避ける策も無い。
だけど、何も問題は無かった「受けられない」なら「受けなければいい」。
私は前足の膝裏に後ろ足を素早く寄せて、膝から下を巻き込むように半回転した。
後ろに微かな圧迫が被さってくる。
「散花硬爬山(さんかこうはいざん)」
背中から振り降りてくる両爪は皮膚に触れることはなかった。
床を踏みつける轟音とその後を追うように壁にぶつかる爆音が広い廊下に響きわたる。
私はたまった空気をフッーっと吐き出した。
足下を見るとタイル張りの床は、砕けたクッキーみたいにバラバラになっていて、靴がめり込んでいた。
やり過ぎたかもしれない。ソッと壁の方に顔を向けるとさっきまで動き回っていた襲撃者がピクリとも動かなかった。
ぶつかった壁はひび割れて、糸の切れた人形の様に倒れてるネコの姿が衝撃の威力を無言に現していた。
たぶん、壁に当たる前に意識は無くなっていたと思う。受け身をとった様子が無いし、取れないはずだった。
八極の最大の武器は下半身にある。強靭な脚力で踏み込む力を与え、支える背の肉。
その二点さえ有れば八極拳という武術には例え両手が使えなくても闘う術はあった。
それを知らない哀れな襲撃者はその背身全力の一撃に向かった行為は不運としか言わざる得ない。
八極拳には「不躱不閃」という伝えがある。
「相手の攻撃を受けもかわしもせず、瞬時に反撃を加える」
これは…先の後、後の先では無い先の先。
日本の武がまだたどり着けてない新しい始まりだった。
ただ、不思議な事に先の先に必要なのは圧倒的な速さでは無く。
相手の攻撃に攻撃を合わせる事。
中国武術不可思議也…。
後も見ない。前も見ない。今はなにもかも見たくない。
「貴女のいった通りかもね。」
「にゃは♪」
「私さ……正直にいうとさっき千草ちゃんと雷果ちゃんがコソコソ移動してるのを見てずっと後をつけてたの、それで貴女達と対峙しても、顔を出すの躊躇(ためら)ったのよね。」
何にも言わないけどきっと、後ろにいるライカちゃんに聞こえてる。
私…最低ね。
「それじゃにゃんで出てき…あー言わなくていいにゃ。私は痴情の縺(もつ)れとか興味にゃいし、後ろのおねーさんさえ捕まえればオーケーにゃんだから。」
ネコはとっとと素通りしようとした。
私は動かなかった。
「……ない」
「にゃ?」
私は頭を振り上げた。
ハラハラと前髪が舞い上がっている。
「通さないっていったのよ。今このまま突っ立てライカちゃんを差し出して嫌われるより。アンタから守って嫌われる方がましなのよ!」
「本当に…残念だにゃあ!」
視界に入る全部がゆっくりになった気がした。
ネコの俊敏な動きも判る。
両腕を振り上げて飛びかかってくる×に爪で切り裂いてくるつもりみたい。
両手の痺れた私に受け止める術も避ける策も無い。
だけど、何も問題は無かった「受けられない」なら「受けなければいい」。
私は前足の膝裏に後ろ足を素早く寄せて、膝から下を巻き込むように半回転した。
後ろに微かな圧迫が被さってくる。
「散花硬爬山(さんかこうはいざん)」
背中から振り降りてくる両爪は皮膚に触れることはなかった。
床を踏みつける轟音とその後を追うように壁にぶつかる爆音が広い廊下に響きわたる。
私はたまった空気をフッーっと吐き出した。
足下を見るとタイル張りの床は、砕けたクッキーみたいにバラバラになっていて、靴がめり込んでいた。
やり過ぎたかもしれない。ソッと壁の方に顔を向けるとさっきまで動き回っていた襲撃者がピクリとも動かなかった。
ぶつかった壁はひび割れて、糸の切れた人形の様に倒れてるネコの姿が衝撃の威力を無言に現していた。
たぶん、壁に当たる前に意識は無くなっていたと思う。受け身をとった様子が無いし、取れないはずだった。
八極の最大の武器は下半身にある。強靭な脚力で踏み込む力を与え、支える背の肉。
その二点さえ有れば八極拳という武術には例え両手が使えなくても闘う術はあった。
それを知らない哀れな襲撃者はその背身全力の一撃に向かった行為は不運としか言わざる得ない。
八極拳には「不躱不閃」という伝えがある。
「相手の攻撃を受けもかわしもせず、瞬時に反撃を加える」
これは…先の後、後の先では無い先の先。
日本の武がまだたどり着けてない新しい始まりだった。
ただ、不思議な事に先の先に必要なのは圧倒的な速さでは無く。
相手の攻撃に攻撃を合わせる事。
中国武術不可思議也…。