ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
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俺はステップを踏んで後ろに二歩下がった。
一撃の威力を重んじる八極拳に飛び込まれる選択肢を消したかったからだ。
「……」
「……」
互いに動ごかないまま時間がたった。
一分、二分、三分……
周りからは(と言うかマツリが)さっさとやれとヤジをとばしてくる。
たしかに、攻めあぐねていても状況は変わらない。
理想はヒット&アウェイのスピード勝負だが俺は正面からいった。
狙うは右拳をフェイントにした左下段からのアッパー。
「オラッ!」
「っと…」
右腕が伸びていくさなか、鈴猫はピタリッと俺に密着した。
正しくいえば懐に倒れるように飛び込んだのだ、本命の左拳は打てなくなった。ぎくりっと硬直する俺。
女八極拳士は止まらない。踏み込んで俺の脚を払うのではなく弾くように太股をぶつけてくる。
痛くは無い。
だが、バランスを崩し後ろによろめく。
鈴猫の動きは続いている。
胸のした……急所(鳩尾)に裡門頂肘を打ってきた、俺は咄嗟に左手で受け止めるも…身体は地面から離れた。
ガッ!ズザザザッ!
ぶっ飛ぶという感覚は何度なっても慣れないし、地面に膝と二の腕が擦れて焼けたように熱い。
……俺は四つん這いから立ち上がった。
左手のひらが真っ赤になってビリビリと痺れている。
いつの間にか周りは皆、黙りこんでいる。
口を開いたのは俺をブッ飛ばした彼女だ。
「嘘…防いだ?」
変わらず綺麗な套路(八極拳の型)のまま驚いた顔をしている。
「痛っっ…防げてねぇし。左手動かねぇ…しっ!」
今度はこっちの番だ。
右手を地面に突いて鈴猫の足元に前転するように転がって、穿弓脚で真上に蹴り挙げた。
「っ!」
八極拳vs蟷螂拳だ。
鈴猫は両の掌で押し弾いて蹴りをさばき、衝撃を受け流す。
【不躱不閃】と言われる拳法なのになんちゅう防御力。
だが、体勢は崩れていた。千載一遇、斜め下に捕らえ斬るように蟷螂手(手刀)を落とした。
これなら防げない!
「っと!」
「ぁん?!」
右腕一本…肘と掌で受け止められ、しかも左手は掴まれてしまった。
俺は膝蹴りを……
「ストーップ!!」
誰かの叫び声でピタリッと止まった。
俺たちは睨みあったまま密着していて互いにフゥフゥと息を吐く音だけが聴こえる。
いつ来たのか千草がいった。
「二人ともマジになりすぎ。私が止めなかったら怪我してたわよ。」
俺の顎の下には掌…
鈴猫の腹には膝…
千草は二人ともといったが多分……怪我していたのは俺だけだ。
掴まれた左腕…投げ飛ばす事も可能だったに違いない。
鈴猫は小さな声で言った。
「ヒソヒソ(悠…。あのさ、私が勁を使ってたどうしてた?)」
「ヒソヒソ(さぁ…。そうなっても本気でいく気にはなれなかったかな?俺の標的は柏であって鈴猫じゃないし。けど、八極拳を味わえて、すげぇ勉強になった。ありがとな。)」
膝を降ろしてニッと笑った。
鈴猫はバーカって俺のデコを突いてきた。
一撃の威力を重んじる八極拳に飛び込まれる選択肢を消したかったからだ。
「……」
「……」
互いに動ごかないまま時間がたった。
一分、二分、三分……
周りからは(と言うかマツリが)さっさとやれとヤジをとばしてくる。
たしかに、攻めあぐねていても状況は変わらない。
理想はヒット&アウェイのスピード勝負だが俺は正面からいった。
狙うは右拳をフェイントにした左下段からのアッパー。
「オラッ!」
「っと…」
右腕が伸びていくさなか、鈴猫はピタリッと俺に密着した。
正しくいえば懐に倒れるように飛び込んだのだ、本命の左拳は打てなくなった。ぎくりっと硬直する俺。
女八極拳士は止まらない。踏み込んで俺の脚を払うのではなく弾くように太股をぶつけてくる。
痛くは無い。
だが、バランスを崩し後ろによろめく。
鈴猫の動きは続いている。
胸のした……急所(鳩尾)に裡門頂肘を打ってきた、俺は咄嗟に左手で受け止めるも…身体は地面から離れた。
ガッ!ズザザザッ!
ぶっ飛ぶという感覚は何度なっても慣れないし、地面に膝と二の腕が擦れて焼けたように熱い。
……俺は四つん這いから立ち上がった。
左手のひらが真っ赤になってビリビリと痺れている。
いつの間にか周りは皆、黙りこんでいる。
口を開いたのは俺をブッ飛ばした彼女だ。
「嘘…防いだ?」
変わらず綺麗な套路(八極拳の型)のまま驚いた顔をしている。
「痛っっ…防げてねぇし。左手動かねぇ…しっ!」
今度はこっちの番だ。
右手を地面に突いて鈴猫の足元に前転するように転がって、穿弓脚で真上に蹴り挙げた。
「っ!」
八極拳vs蟷螂拳だ。
鈴猫は両の掌で押し弾いて蹴りをさばき、衝撃を受け流す。
【不躱不閃】と言われる拳法なのになんちゅう防御力。
だが、体勢は崩れていた。千載一遇、斜め下に捕らえ斬るように蟷螂手(手刀)を落とした。
これなら防げない!
「っと!」
「ぁん?!」
右腕一本…肘と掌で受け止められ、しかも左手は掴まれてしまった。
俺は膝蹴りを……
「ストーップ!!」
誰かの叫び声でピタリッと止まった。
俺たちは睨みあったまま密着していて互いにフゥフゥと息を吐く音だけが聴こえる。
いつ来たのか千草がいった。
「二人ともマジになりすぎ。私が止めなかったら怪我してたわよ。」
俺の顎の下には掌…
鈴猫の腹には膝…
千草は二人ともといったが多分……怪我していたのは俺だけだ。
掴まれた左腕…投げ飛ばす事も可能だったに違いない。
鈴猫は小さな声で言った。
「ヒソヒソ(悠…。あのさ、私が勁を使ってたどうしてた?)」
「ヒソヒソ(さぁ…。そうなっても本気でいく気にはなれなかったかな?俺の標的は柏であって鈴猫じゃないし。けど、八極拳を味わえて、すげぇ勉強になった。ありがとな。)」
膝を降ろしてニッと笑った。
鈴猫はバーカって俺のデコを突いてきた。