ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
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ー悠の家(道場)ー
夜の帳が降ても、暑苦しい温度はまだまだ引く気配は無かった。
俺は息も絶え絶えに天井を見上げていた。
不快指数最大の気温に加えて汗と血が混じって蒸れた臭いが充満している道場では横になっているだけで汗の水溜まりができ、身体にへばりつくシャツが気持ち悪い。
一刻もはやく起き上がってシャワーでも浴びたいところだが朝から今まで殴られ蹴られ投げられ続けた俺の身体は動くことを細胞が拒否していた。
当然といえば当然だった。十神将の面々が与えてきたカリキュラムを終えた後、ドウメキとクズリュウのオッサンに今の今までしごかれていたのだ。
これは俺の過去ワースト5に入る地獄体験だった気がする。
もう、思い出したくない。
「はぁ…ふぅ…いたた…」
這いずりながら隅に転がしてある携帯を目指した。
動くたびに服の裾からボタボタと汗が滴り異臭が立ち込めた。
もし、胃のなかになにかが残っていたならリバースものだ。
けど、腹は空っぽだった。日中に何度も吐いていたので今は胃液も出ない。
携帯を拾って、開いて見ると時間は十一時前。
明日が旅行なのにこんなに疲れて大丈夫かと不安が過るものの、俺はゆっくり立ち上がって広間に歩き出した。
喉が痛いほどカラカラだ。
ー広間ー
「あ、悠君。動けるようになりましたか。」
「ひどい格好だな…なの。」
顔を出すと二人はテーブルにカップを並べて座っていた。
マオはもう眠たいのか少しだけやわらかな口調だ。
俺は不思議と聞いた。
「あれ、二人ともここにいたのか。……さっき向こうにいなかった?」
二人は顔を見合わせて首を左右に振った。
ずっとここに居たという。
コマリはそんなことより、イナバからメモを預かったと俺に手紙を渡してくる。
内容はこれといって大したことの無いもの。
わざわざ訪ねてこなくてもメールで済む事ばかりだった。
俺は蛇口を捻ってコップも使わずに水を飲んだ。
何度も喉をならして身体中に走らせた。
潤いを取り戻すミイラみたいな俺。
「ぷはっ……これだけか。他になにかいってなかったか?」
稲葉の事だ。
つまらない用事で訪ねたりはしてこないだろう。
俺の脳裏には嫌な想像が過った。
カシワと組んでいて盗聴機でも仕掛けていったのでは無いのかと。
「いえ、メモを書いたら本当にすぐ帰ってしまったので何も……。」
「そうか。」
考え過ぎだったのか。
「それより、悠。ご飯はどうする…なの」
「食べたい。」
「なら、すぐに用意しますね。」
コマリは椅子にかけてあったエプロンを着けてパタパタと台所に走っていく。
なんだか新妻って感じがして、ついつい頬が弛んでいるのは男だから仕方ない事だろう。
敵が俺を睨みながらいった。
「……準備してる間にシャワーでも浴びてこい…なの。雨に濡れた野良犬より酷い臭いだぞ…なの」
なにか言い返そうと思ったけど実際に酷い臭いだったので素直に風呂場に向かった。
夜の帳が降ても、暑苦しい温度はまだまだ引く気配は無かった。
俺は息も絶え絶えに天井を見上げていた。
不快指数最大の気温に加えて汗と血が混じって蒸れた臭いが充満している道場では横になっているだけで汗の水溜まりができ、身体にへばりつくシャツが気持ち悪い。
一刻もはやく起き上がってシャワーでも浴びたいところだが朝から今まで殴られ蹴られ投げられ続けた俺の身体は動くことを細胞が拒否していた。
当然といえば当然だった。十神将の面々が与えてきたカリキュラムを終えた後、ドウメキとクズリュウのオッサンに今の今までしごかれていたのだ。
これは俺の過去ワースト5に入る地獄体験だった気がする。
もう、思い出したくない。
「はぁ…ふぅ…いたた…」
這いずりながら隅に転がしてある携帯を目指した。
動くたびに服の裾からボタボタと汗が滴り異臭が立ち込めた。
もし、胃のなかになにかが残っていたならリバースものだ。
けど、腹は空っぽだった。日中に何度も吐いていたので今は胃液も出ない。
携帯を拾って、開いて見ると時間は十一時前。
明日が旅行なのにこんなに疲れて大丈夫かと不安が過るものの、俺はゆっくり立ち上がって広間に歩き出した。
喉が痛いほどカラカラだ。
ー広間ー
「あ、悠君。動けるようになりましたか。」
「ひどい格好だな…なの。」
顔を出すと二人はテーブルにカップを並べて座っていた。
マオはもう眠たいのか少しだけやわらかな口調だ。
俺は不思議と聞いた。
「あれ、二人ともここにいたのか。……さっき向こうにいなかった?」
二人は顔を見合わせて首を左右に振った。
ずっとここに居たという。
コマリはそんなことより、イナバからメモを預かったと俺に手紙を渡してくる。
内容はこれといって大したことの無いもの。
わざわざ訪ねてこなくてもメールで済む事ばかりだった。
俺は蛇口を捻ってコップも使わずに水を飲んだ。
何度も喉をならして身体中に走らせた。
潤いを取り戻すミイラみたいな俺。
「ぷはっ……これだけか。他になにかいってなかったか?」
稲葉の事だ。
つまらない用事で訪ねたりはしてこないだろう。
俺の脳裏には嫌な想像が過った。
カシワと組んでいて盗聴機でも仕掛けていったのでは無いのかと。
「いえ、メモを書いたら本当にすぐ帰ってしまったので何も……。」
「そうか。」
考え過ぎだったのか。
「それより、悠。ご飯はどうする…なの」
「食べたい。」
「なら、すぐに用意しますね。」
コマリは椅子にかけてあったエプロンを着けてパタパタと台所に走っていく。
なんだか新妻って感じがして、ついつい頬が弛んでいるのは男だから仕方ない事だろう。
敵が俺を睨みながらいった。
「……準備してる間にシャワーでも浴びてこい…なの。雨に濡れた野良犬より酷い臭いだぞ…なの」
なにか言い返そうと思ったけど実際に酷い臭いだったので素直に風呂場に向かった。