ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
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地下から地上にあがると太陽が眩しかった。
そう言えば地下に閉じ込められた作業員のニュースが毎日の様に流れていたな。
今日は少しだけ風があるものの気温はまだまだうなぎ登りだ。
歩き始めて数分もしないうちにすでに額には汗がにじみはじめている。
街を歩く人も皆、わずかな影を選んでいて蟻の隊列みたいな感じだ。
「コンゴウさん。もういいわよ。あとは悠の家に行くだけだから。」
「気にするな暇なだけだ。」
身長が人より高いせいか、身体に纏った筋肉が重いのかコンゴウが着ているタンクトップの背中には汗の染みが出来ていた。
イナバはこっそりと巨人の影に入って歩きながらいった。
「あら、トレーニングはいいの?」
「今日は一日休みだ。カシワが……」
そこで急に口をつぐんだ。余計な事をいってしまったとイナバを見る。
「ふふ、今さらいいじゃ無いの邪魔はするなと言われてるけど何も話すなとは言われてないじゃない。」
蠱惑的に笑う女キツネ。
コンゴウはあきらめた様にため息を吐いた。
立派な怒り肩が二センチほど下がるのがわかった。
「……カシワは身体を元に戻すそうだ。何をやるかは聞かされて無いが俺の面倒を見てる暇はないらしい。だから今日一日は休み。たまには勉強でもしてろと言われたよ。」
「へぇ…そうなの。けど、それってやっぱり悠と本気でやるつもりだからかしら。」
コンゴウはうなずくだけで返事はしなかった。
内心複雑なのかも知れない親友である悠と師弟関係にあたる柏どちらを応援したらいいのか……はたして、このまま本当に闘わせていいのかと…考えたところで止められる訳でも無いのだが。
イナバはいった。
「どっちが勝つと思う?」
「わからん…っと言いたいが今回ばかりはカシワだろ。」
「あら、意外と即決ね。」
もう少し悩んだりすると思ったのにつまらないとイナバはいった。
「フン。実際に闘わせて見ないと結果なんかわかるか。俺はどっちが勝つと思うと聞かれたから答えたまでだ。」
「じゃあ、もう一つだけ聞かせてくれない。どうして悠が負けると思うの?」
「…悠は強いが心底では甘さがある。だが、カシワは非情だ。もし、本気でぶつかる気なら止まらない。アイツは殺る気でくる男だからさ。」
コンゴウはピタリと歩くのを止めた。
道のど真ん中で腕を組んで仁王立ちする。
「どうしたの、もうすぐそこよ?」
あと数メートル先に悠の家が見えている。
「俺は明日まで会わんあとはお前一人で行け。」
「そっ。わかったわ。なにか伝えておくことは?」
何も言わずにコンゴウはドスドスと来た道を引き返していった。
なんだか民家に降りてきた熊の様な後ろ姿を見送ってイナバは目的地に足を進めた。
そう言えば地下に閉じ込められた作業員のニュースが毎日の様に流れていたな。
今日は少しだけ風があるものの気温はまだまだうなぎ登りだ。
歩き始めて数分もしないうちにすでに額には汗がにじみはじめている。
街を歩く人も皆、わずかな影を選んでいて蟻の隊列みたいな感じだ。
「コンゴウさん。もういいわよ。あとは悠の家に行くだけだから。」
「気にするな暇なだけだ。」
身長が人より高いせいか、身体に纏った筋肉が重いのかコンゴウが着ているタンクトップの背中には汗の染みが出来ていた。
イナバはこっそりと巨人の影に入って歩きながらいった。
「あら、トレーニングはいいの?」
「今日は一日休みだ。カシワが……」
そこで急に口をつぐんだ。余計な事をいってしまったとイナバを見る。
「ふふ、今さらいいじゃ無いの邪魔はするなと言われてるけど何も話すなとは言われてないじゃない。」
蠱惑的に笑う女キツネ。
コンゴウはあきらめた様にため息を吐いた。
立派な怒り肩が二センチほど下がるのがわかった。
「……カシワは身体を元に戻すそうだ。何をやるかは聞かされて無いが俺の面倒を見てる暇はないらしい。だから今日一日は休み。たまには勉強でもしてろと言われたよ。」
「へぇ…そうなの。けど、それってやっぱり悠と本気でやるつもりだからかしら。」
コンゴウはうなずくだけで返事はしなかった。
内心複雑なのかも知れない親友である悠と師弟関係にあたる柏どちらを応援したらいいのか……はたして、このまま本当に闘わせていいのかと…考えたところで止められる訳でも無いのだが。
イナバはいった。
「どっちが勝つと思う?」
「わからん…っと言いたいが今回ばかりはカシワだろ。」
「あら、意外と即決ね。」
もう少し悩んだりすると思ったのにつまらないとイナバはいった。
「フン。実際に闘わせて見ないと結果なんかわかるか。俺はどっちが勝つと思うと聞かれたから答えたまでだ。」
「じゃあ、もう一つだけ聞かせてくれない。どうして悠が負けると思うの?」
「…悠は強いが心底では甘さがある。だが、カシワは非情だ。もし、本気でぶつかる気なら止まらない。アイツは殺る気でくる男だからさ。」
コンゴウはピタリと歩くのを止めた。
道のど真ん中で腕を組んで仁王立ちする。
「どうしたの、もうすぐそこよ?」
あと数メートル先に悠の家が見えている。
「俺は明日まで会わんあとはお前一人で行け。」
「そっ。わかったわ。なにか伝えておくことは?」
何も言わずにコンゴウはドスドスと来た道を引き返していった。
なんだか民家に降りてきた熊の様な後ろ姿を見送ってイナバは目的地に足を進めた。