ー夏休み編ー悪と邪鬼・続
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部屋から部屋へとどんどん隅へ追いやられてる気分だった。
デイジーが入っていった倉庫は灯りも白熱灯がひとつぶら下がる一昔前の掘っ立て小屋みたいな狭さで壁際に黒いサンドバックが置かれているだけ。
すこし、埃っぽい。
倉庫ってよりは中世の拷問部屋でも想像させる異様な不気味さある無機質な場所だ。
「……おぃ、ここで何すんだよ。」
デイジーは壁に打ち付けられているサンドバックを指差していった。
「蹴り続けなサイデスワ。」
「あ?」
デイジーはそれだけ言い終わると、クルリとバレリーナのようにターンを決めて笑った。
いたずらをし終わった後のような挑発的な面…。
「さぁさぁ、センヤ様の邪魔になりマスからワタクシたちはデマスワヨ。」
後ろに居るイヌヅカとカンザキの背を押しながら倉庫から出ていく。
俺はなぜかまだ残ってるアサツユを見た。
「これは……サバットビギナー用のサンドバックよ…。まぁ、普通は破けるまで蹴り続けるけど、アナタは適当な所で止めたらいいわ。」
「あ゛?」
「この際だからハッキリさせておくけど一朝一夕に強くなるなんて無理なのよ。だから、無茶なんかせずに今はそのサンドバックと遊んでなさい。」
アサツユは見下したような口ぶりだった。
職業病なのかイヤミなのかキチッと一礼して倉庫から出ていく。
俺は一人取り残され幼稚園児ほどの小さな初心者用のサンドバックを睨んでいた。
「……遊んでろだと。…あのクソメイドもクソガキもなめやがって……。こんな物すぐに破けるに決まってんだろ!」
左脚に力を込めて、右脚に遠心力を加えてサンドバックを蹴り飛ばした。
たが、ぶっ飛んだのは俺の方だった。
尻餅をついてヘタリと座り込む。
「っ…な、なんだ。こりゃ。」
驚いたのはサンドバックじゃなく、俺の脚。
蹴りを当てた脛の辺りが青紫の痣になっている。
今しがたまではなかった痕……。
痣だけでなく右脚は感電したみたいにピリピリと痺れている。
いったい何が詰まっているのか知らないがあのクソメイドは初心者用って言ってやがったな……。
「なぁ、嬢ちゃんセンヤを一人にして平気なのかだぞと」
「ご安心くださいマシ。」
イヌヅカとシシマルは一度顔を見合わせた。
口にはしなかったが言い知れぬ不安があった。
デイジーに任せるからだけではなく、今の千夜は何処か必死になりすぎている。パンパンに膨れた風船みたいなものだ。
もし……それが裂けてしまったら。
シシマルはイヌヅカの肩を叩いた。
「行こう。後は任せよう。」
「……そだな。じゃ、嬢ちゃんセンヤにヨロシクだぞと」
デイジーは肩を並べて歩いていく二人の背中を見送った。
遅れてトレーニングルームから出てきたアサツユがいった。
「お嬢様。紅茶のご用意でも致しましょうか。」
「いえ……それより、センヤ様は?ちゃんと「説明」はしたのデスワよね?ワタクシは少し休むのでセンヤ様が出てきましたら呼びなさいデスワ。」
「はい。お嬢様。」
あのサンドバックは砂鉄が詰まった特別製。
プロのキックボクサーですら数十回も蹴り続けれることはできない……。
それゆえ片足二十回づつというルールがあった。
「……まぁ、どうせ根をあげるでしょう。」
アサツユは冷たく笑ってトレーニングルームのドアを閉めた。
デイジーが入っていった倉庫は灯りも白熱灯がひとつぶら下がる一昔前の掘っ立て小屋みたいな狭さで壁際に黒いサンドバックが置かれているだけ。
すこし、埃っぽい。
倉庫ってよりは中世の拷問部屋でも想像させる異様な不気味さある無機質な場所だ。
「……おぃ、ここで何すんだよ。」
デイジーは壁に打ち付けられているサンドバックを指差していった。
「蹴り続けなサイデスワ。」
「あ?」
デイジーはそれだけ言い終わると、クルリとバレリーナのようにターンを決めて笑った。
いたずらをし終わった後のような挑発的な面…。
「さぁさぁ、センヤ様の邪魔になりマスからワタクシたちはデマスワヨ。」
後ろに居るイヌヅカとカンザキの背を押しながら倉庫から出ていく。
俺はなぜかまだ残ってるアサツユを見た。
「これは……サバットビギナー用のサンドバックよ…。まぁ、普通は破けるまで蹴り続けるけど、アナタは適当な所で止めたらいいわ。」
「あ゛?」
「この際だからハッキリさせておくけど一朝一夕に強くなるなんて無理なのよ。だから、無茶なんかせずに今はそのサンドバックと遊んでなさい。」
アサツユは見下したような口ぶりだった。
職業病なのかイヤミなのかキチッと一礼して倉庫から出ていく。
俺は一人取り残され幼稚園児ほどの小さな初心者用のサンドバックを睨んでいた。
「……遊んでろだと。…あのクソメイドもクソガキもなめやがって……。こんな物すぐに破けるに決まってんだろ!」
左脚に力を込めて、右脚に遠心力を加えてサンドバックを蹴り飛ばした。
たが、ぶっ飛んだのは俺の方だった。
尻餅をついてヘタリと座り込む。
「っ…な、なんだ。こりゃ。」
驚いたのはサンドバックじゃなく、俺の脚。
蹴りを当てた脛の辺りが青紫の痣になっている。
今しがたまではなかった痕……。
痣だけでなく右脚は感電したみたいにピリピリと痺れている。
いったい何が詰まっているのか知らないがあのクソメイドは初心者用って言ってやがったな……。
「なぁ、嬢ちゃんセンヤを一人にして平気なのかだぞと」
「ご安心くださいマシ。」
イヌヅカとシシマルは一度顔を見合わせた。
口にはしなかったが言い知れぬ不安があった。
デイジーに任せるからだけではなく、今の千夜は何処か必死になりすぎている。パンパンに膨れた風船みたいなものだ。
もし……それが裂けてしまったら。
シシマルはイヌヅカの肩を叩いた。
「行こう。後は任せよう。」
「……そだな。じゃ、嬢ちゃんセンヤにヨロシクだぞと」
デイジーは肩を並べて歩いていく二人の背中を見送った。
遅れてトレーニングルームから出てきたアサツユがいった。
「お嬢様。紅茶のご用意でも致しましょうか。」
「いえ……それより、センヤ様は?ちゃんと「説明」はしたのデスワよね?ワタクシは少し休むのでセンヤ様が出てきましたら呼びなさいデスワ。」
「はい。お嬢様。」
あのサンドバックは砂鉄が詰まった特別製。
プロのキックボクサーですら数十回も蹴り続けれることはできない……。
それゆえ片足二十回づつというルールがあった。
「……まぁ、どうせ根をあげるでしょう。」
アサツユは冷たく笑ってトレーニングルームのドアを閉めた。