ー夏休み編ー悪と邪鬼
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ー道場ー
「すっー…ふぅー…」
7時になるまえに俺は道場で軽い準備運動を初めた。
両足を肩幅にひらいて膝が軽く曲がる程度に腰を落とす。
両方の腕をまっすぐに伸ばして固定する。そのままの形で動かずに深く息を吸って、深く吐き出す。
ただそれだけ。
他の動きは一切しない。
じっと動かずにいる鍛練。
「準備運動は站椿(たんとう)なんですか?」
壁ぎわでちょこんと正座しているコマリが話しかけてくる。
「へぇ。わりと知識もあるんだな。」
「あ、馬鹿にしないでくださいよ。ちゃんと勉強してるんですから。」
「そうか。これな、知り合いに中拳使いがいてな…教えてくれたんだ。」
額や腕、太ももから汗が出てくる。頬をつたって顎の先にたまっていき、一滴、また一滴としたたり落ちる。
「俺じゃあせいぜい数十分が限界だけどさ…」
站椿は見ためよりぜんぜん辛い。常に重心を中心に置いて上半身、腕、下半身、足で支える。
簡単いえば全身運動とおなじなんだけど、これが辛いんだ。
「そいつさ、無茶苦茶すごくてさ、一時間だろうが二時間だろうが…一日中だって続けられるんだ。」
「一日中ですか!よっぽど強靭な身体の持ち主なんですね!どんな人ですか?」
「ははは。そうだな。名前は…摩耶っていってな。身長は、コマリさんより小さいな腕も足も細いし、色は白くて男ってよりは…女の子って感じだな。」
ありのまま摩耶の事を言ったよ。
神出鬼没で子供みたいなやつ。けど、真っ直ぐで中国拳法に対する信念は誰にも負けない男。
俺はいつのまにかコマリの隣にあぐらをかいて座っていて、ついつい話し込んでいた。
「悠君とその摩耶さんて凄く仲がいいんですね。」
「そうだな。……コマリさんは口かたい?」
俺は含み笑いをしながらいった。
コマリは首をかしげる。
「え?まぁ、人並みにはかたいと思いますけど。」
「じゃあ、話してやろう。俺と摩耶はさ特別な関係なんだよ。」
「えーと、それは?」
「おっと、変な勘違いはやめてくれよ?なんっうかな、あいつとは大事な約束が2つあるんだよ。」
「なんか素敵ですね。どんな約束なんですか!」
「たいした事じゃないさ。子供じみた約束さ。強さってなんだろうなって、まぁ探せない答えの見つけあいだ。どっちかが先にわかったら教え合うって約束さ…」
気がつけば日がはっきりと昇っていて、窓からは強い日差しが畳を照らしていた。
道場の中は暑くなりはじめていたが、コマリは姿勢を崩さず、しかも笑わいもせずに話を聞いてくれた。
もうひとつの約束の事も聞かれたけど俺は秘密といって立ち上がった。
木縁の少し滑りの悪い窓を開ける。
ゆるやかな風が入ってくる。小さな花壇に咲いた向日葵が揺れている。
なんだか、夏のにおいがする。なんて言ったら似合わないかな。
「あ、綺麗な向日葵がさいてますね。」
「俺が植えたんだ。好きなんだよ向日葵。」
夏の定番っていったらあの花だよな。恥ずかしい話なんだが俺は昔、ヒマワリの事を太陽花って言ってたらしい。
「コマリさん向こうの窓開けて来てくれるかな。」
「わかりました。」
全部の窓を開け終わる頃に九頭竜のオッサンが道場に入ってきた。
「すっー…ふぅー…」
7時になるまえに俺は道場で軽い準備運動を初めた。
両足を肩幅にひらいて膝が軽く曲がる程度に腰を落とす。
両方の腕をまっすぐに伸ばして固定する。そのままの形で動かずに深く息を吸って、深く吐き出す。
ただそれだけ。
他の動きは一切しない。
じっと動かずにいる鍛練。
「準備運動は站椿(たんとう)なんですか?」
壁ぎわでちょこんと正座しているコマリが話しかけてくる。
「へぇ。わりと知識もあるんだな。」
「あ、馬鹿にしないでくださいよ。ちゃんと勉強してるんですから。」
「そうか。これな、知り合いに中拳使いがいてな…教えてくれたんだ。」
額や腕、太ももから汗が出てくる。頬をつたって顎の先にたまっていき、一滴、また一滴としたたり落ちる。
「俺じゃあせいぜい数十分が限界だけどさ…」
站椿は見ためよりぜんぜん辛い。常に重心を中心に置いて上半身、腕、下半身、足で支える。
簡単いえば全身運動とおなじなんだけど、これが辛いんだ。
「そいつさ、無茶苦茶すごくてさ、一時間だろうが二時間だろうが…一日中だって続けられるんだ。」
「一日中ですか!よっぽど強靭な身体の持ち主なんですね!どんな人ですか?」
「ははは。そうだな。名前は…摩耶っていってな。身長は、コマリさんより小さいな腕も足も細いし、色は白くて男ってよりは…女の子って感じだな。」
ありのまま摩耶の事を言ったよ。
神出鬼没で子供みたいなやつ。けど、真っ直ぐで中国拳法に対する信念は誰にも負けない男。
俺はいつのまにかコマリの隣にあぐらをかいて座っていて、ついつい話し込んでいた。
「悠君とその摩耶さんて凄く仲がいいんですね。」
「そうだな。……コマリさんは口かたい?」
俺は含み笑いをしながらいった。
コマリは首をかしげる。
「え?まぁ、人並みにはかたいと思いますけど。」
「じゃあ、話してやろう。俺と摩耶はさ特別な関係なんだよ。」
「えーと、それは?」
「おっと、変な勘違いはやめてくれよ?なんっうかな、あいつとは大事な約束が2つあるんだよ。」
「なんか素敵ですね。どんな約束なんですか!」
「たいした事じゃないさ。子供じみた約束さ。強さってなんだろうなって、まぁ探せない答えの見つけあいだ。どっちかが先にわかったら教え合うって約束さ…」
気がつけば日がはっきりと昇っていて、窓からは強い日差しが畳を照らしていた。
道場の中は暑くなりはじめていたが、コマリは姿勢を崩さず、しかも笑わいもせずに話を聞いてくれた。
もうひとつの約束の事も聞かれたけど俺は秘密といって立ち上がった。
木縁の少し滑りの悪い窓を開ける。
ゆるやかな風が入ってくる。小さな花壇に咲いた向日葵が揺れている。
なんだか、夏のにおいがする。なんて言ったら似合わないかな。
「あ、綺麗な向日葵がさいてますね。」
「俺が植えたんだ。好きなんだよ向日葵。」
夏の定番っていったらあの花だよな。恥ずかしい話なんだが俺は昔、ヒマワリの事を太陽花って言ってたらしい。
「コマリさん向こうの窓開けて来てくれるかな。」
「わかりました。」
全部の窓を開け終わる頃に九頭竜のオッサンが道場に入ってきた。