「ぅっうぅ……」

痛い…
今日だけで心も身体もボロボロだ…
もしかして、俺はこのまま死ぬのかな…。

「……ん？」

ふに…
後頭部に柔らかい感触。

「……(もしや…さっきは水仙の婆さんだったが…同じネタをするわけが無い。つまり……これはコマリさんだ！)」

パチッ！！
身体の力が回復し、俺は目を開ける！

「おっ！起きたか。」

珍しく前髪の三つ編みを解いていて上半身裸の紅が微笑んでいる。

「………え、ナニこれ？……バッドエンド？サービスシーンが男の裸？なめんなよ！泣くぞこら！！作者はサービスの意味をはき違えてんぞ！」

俺は身体を起こして天に怒鳴り散らした。

「おーい…悠大丈夫か？」

「あん？大丈夫だよ！っかお前何で上裸何だよ！」

「半日外にいたから汗だくになってな、シャワー借りて様子見に来たんだよ。」

紅は説明しながら三つ編みを造る。

「ちなみに、悠が寝てる間に他の人らは引き上げたぞ。明日は朝7時から始めるってよ。」

「朝7時か……っか、何で膝枕してた？」

「座ってたら、悠が乗せてきたんだぞ？」

「……」

記憶が無いが、寝てる間に俺は一体ナニをしとるんだ。
無意識か？無意識に膝を求めたのか？

しかし、意外に柔らかかったな。

「それより、悠腹減らないか？」

「え？」

ズキュールンッッ…
物凄い腹の鳴り方をした。そう言えば朝から今まで何も食べてない。

「今の腹の音なのか？銃声か？」

「腹の音だ……何か食べにいくか。」

「勿論、今まで待ってたんだからな、早く行こうぜ。」

「判った判った。真桜も連れてくか。」

「嬢ちゃんなら居ないぜ。今日はおっちゃん等と親睦会らしいぞ。」

「そか…じゃ、俺等だけでいくか。」


…………

疲れた身体に超空腹。
安くガッツリ食べたい。
そして、何より美味い物。
以上3つをクリアするために向かった先は…

ｰラーメン屋和龍軒(千夜の家)ｰ

ガラララ！

「はい、こんにちはー！」

勢いよく扉を開けて挨拶した。
微妙に疲れでテンションが高いのはご愛嬌。

「はい、いらっしゃい。お、悠君かい。」

赤混じりの明るい茶髪をポニテしている、千夜の母親多恵さんが笑顔で迎えてくれる。

「さぁて…ナニを注文…」
「なぁ、悠。」

俺とカウンター席に座ってメニューを見ていたら紅がﾁｮｲﾁｮｲと指をさす。


「ん？何だ…って、お前らいたのか？」

「よっ。」「……」

顔に湿布を貼った亮とものスッゴク不機嫌顔の千夜が居た。

「和龍すぺしゃるチャーシュー増し増し、炒飯、餃子、若鳥のからあげ、焼売、海老マヨ。全部大盛の２つづつお願いします。」

「あっはは、すごい注文だね。わかったよ。」

俺は注文を伝えて亮と千夜の居る席に座った。

「なんでわざわざ…ここに座る？っーか、何でここに来る？」

千夜は肘をついてソッポを向いて不機嫌に呟く。

「決まってるだろ。ここのラーメンが美味いからだ。」

俺はパチンと指を弾いた。