「とりあえず、一人づつ頼む。」

「はい、猿渡家は武に属する武家です。素早い身のこなしで独特の動きが特徴で棒や根術を得意とします。」

「まさに、猿だな。」

西遊記に出てくる孫悟空が思い浮かんだ。

「スケベな所を除けば尊敬出来る人なんですけど。」
「さらにエロ猿か。」

もしかしたら、猿渡とは仲良くなれるかもしれないな。

「天馬家も武に属する武家で、騎乗での戦いをもっとも得意とされてますが、槍の名手です。」

「あの髭のおっちゃんだな。」

「天馬さんは猿渡家さんと違って真面目っぽい方ですがお二人とも仲がいいです。」

「ふぅん、つまりオープンエロとムッツリって事だな。」

「……あの真面目に聞いてます？」

「聞いてる、聞いてる。」

「……鳥井家ですが護の武家で護りと援護を得意とする。唯一、防の武家です。」

「あの、おっぱいさんだなたゆん、たゆんだった。」

「………」

サクサクサクっと冷たぁ～い視線が刺さる。

「ｺﾎﾝ、続けてくれ。」

「…布術や弓術といったものを得意として舞いにも精通してるとか～あと年齢不詳らしいです～」

わっかり安いくらい説明に熱がこもってない…

「で次が～」

「すいません、ごめんなさい。真面目に聞きます。」

「……九頭竜家、異に属する武家で氣を得意とします。…既に体験したから判ると思いますが……能力なら十神将、最強が九頭竜家です。」

「異ってのは？」

「異能です」

「異能って…マジか？」

俺は両手をあげて小馬鹿にしたように話す。

「ムッ…人は理解出来ない物を怖がり恐れます。そして怖い物を理解しないから馬鹿にするんですよ！」

コマリが少し声を強ばらせた。

「確かに…化物級の勁だった。けど…つまりはあのオッサンさえブッ飛ばせりゃ他のは苦労しねぇ訳だな。」

鍛えてもらうから全員をぶっ倒すに目的が変わっている。

「一概にそうとは言えませんよ。確かに氣の能力は脅威ですけど、肉弾戦では百目鬼家が居ますから。」

「ドウメキ…ってのは、あのモヒカン入れ墨のド派手なオヤジか？」

あの人が一番印象に残ってたな。

「はい、極に属する武家で殴り合いって意味では間違い無く最強と言えますね。」

「極ってのは何だ？」

「身体強化って言えば分かりやすいかな。ドウメキ家はそう言った純粋な力を操れるらしいです。」

「らしい」…ここまでで一番曖昧な言い方だった。

「ふぅん？まぁいいか、っで次は駒狸だな？」

「はい、癒に属する武家で医療に治癒、いわばサポートです。」

「俺の怪我も見てくれた訳か？」

今さらだが、包帯が巻かれたりや絆創膏が張られている。
落ちてる間に治療してくれたんだろう。

「はい……ただその、私が見たので……ちゃんと治療出来てるかどうか…」

コマリは不安そうに指と指を付き合わせている。

「ふむ。」

腕や肩を回して、包帯を擦ってみる。

「コマリさん。」

「ひゃい？！」

「大丈夫、完璧だよ。」

ニッと笑って見せた。

だって、仙ばぁに治療されるより若い女の子のが良いしな。