「はぁ……フザケンナよ。」

切れた携帯を見つめて俺はため息をついた。

「…いいの？かなり良い話だったんじゃ…？」

「……本気で言ってんのか？」

「真桜の事は置いといて、コーチの件は…」

「あのな、自分の親に喧嘩で強くなるために泣きつく何て…ちょっとお前おかしいんじゃないか？」

ｶﾁﾝｯ…

「本気だよ。悠こそちょっと人間小さくない？」

「あ？んだと？」

「人間小さくないって言ったのよ！」

「テメェぶっ飛ばすそ、コラッ！」

「っ！ぶっ飛ばす！？悠が私をぶっ飛ばす！？」

ビュ！
鈴猫は腰を捻りながら右肘を悠の顔面目掛け…

ドッゴ！？ベギン！！
鈴猫の一撃で首の骨が折れた。

「っ…」

様なイメージが脳内に走る。

「ぶっ飛ばせるものならどうぞ。ぶっ飛ばしてみて…」

鼻先で止まる肘。
俺は…反応出来ずにいた。

「弱いくせにイバったり意地を張ることばっかり一人前。すっごくカッコ悪い！」

「…！」

「みんな必死で頑張ってるのに…」

鈴猫は肘を下ろし、悠を置いて歩いていく。

「一番頑張っらなきゃいけない悠が一番何もしてない。…そんなんで強くなんてなれるわけない！」


「………」

ｷﾞﾘﾘ…
俺は拳を力いっぱい握り締める。

一番頑張ら無いとダメな俺が、一番……ナメてる…！？

「……(そうかもな…俺は…何をやってた？)」

卯天だって…
千夜だって…
戌塚だって…
紅だって…
宮塚だって…
炎銃だって…
真桜だって…

まともに勝った事があったか？

俺はまだ…全然強くなって無い。

強く…

「今なんねーでいつなるんだよ…なぁ？」

自分の拳に語りかけ…

「鈴猫！！お前の言うとおりだ」

「！」

「全面的にお前が正しい。」

「………あ…」

「その…親父がコーチなんか呼んでくれるって思わなかったからよ……ゴメン…」

俺は照れ気味に鼻の頭を擦りながら謝る。


「きゅん///悠～！」

鈴猫は俺に飛び付き抱きつく。

「うおっ！ちょ…おちつ…」

ザッ！ドッ？！

「「！？」」

じゃり

突然、鬼の面を着けた者が降ってきた。
手に持っているのは…鉄パイプ？

「「はっ！」」

ﾌﾞﾝｯ！！

鬼面は鉄パイプを垂直に降り下ろしてきた。

俺と鈴猫は左右に飛び離れ……

「はっ！」
「らぁっ！」

ゴンッ！！

鈴猫は腹を俺は顔面を完璧な同タイミングで蹴りを放ち。

ドダッ！ゴッ！
鬼面はぶっ飛び壁にぶち当たる。

ザザ！ザザ！ザッ！

「オイオイ…なんだ？！」

屋根の上や車の影から色んな面を着けた奴が出てきて道を塞ぐ。

「仮面ライダー…って訳じゃねぇよな。(囲まれてるのに気づかなかった。)」

能面に天狗面、手にはバットや角材…正義っうか悪人。

「(…多いわね。)悠、さっき…気にはなったんだけど…お父様の言葉」

「言葉…？…！」

『実戦には事欠かんのに…』

秋宵月に小鳥遊家、どちらも武道会から世間に強い影響力がある…

「お父様は…そう言う人達が襲って来るのわかってたんじゃ？」

「ﾁｯ…(なら家が一番ヤバい。)訳わかんねぇが、ザコにかまってるヒマはねぇな。ど真ん中ぶち抜いて家まで走る。いいな鈴猫！」

「勿論！」

ザッ！
俺と鈴猫は跳ねる様に飛び出した。