コンコン…

「お待たせシマシタワ。」

「失礼します。」


ドアがノックされ、デイジーとさっきのメイドがカップ等、茶器一式を乗せた台車を押して入ってくる。

「皆様、紅茶と珈琲どちらが良いですか？」

メイドがテキパキと人数分のカップを用意する。

「私は珈琲をmilkとsugar多目でよろしくデスワ。」

デイジーはさっき汗をかいたので服を着替えてきたらしく。

ノースリーブでヘソ出しの白いブラウス、ボトムのホットパンツジーンズ姿だ。
「ﾋｿﾋｿ…(千夜、獅子丸、見てみろだぞと。あの足…)」

誠が耳打ちしてくる。

「あぁ…(一見、か細く見えるが、ケツから無駄な肉が絞られてるがあの太ももの張り…。この女蹴りも…)」

「……(あの速さの秘密は足か……そう言えばこの娘何歳だろ？)」

俺と獅子丸はデイジーの足に注目した。

「……(ムチっとした太ももにあの尻…うーん…眼福だぞと♪)」

「……(色白…足細…しかも、ケツちっちゃくていいな～)」

誠と五月女は少し方向がずれていた。

「皆様どうかなさいましたか？」

メイドが無言の俺達に問いかけてくる。

「いや……俺は珈琲、ブラックで」

「俺は紅茶、レモンで頼みます。」

「珈琲微糖で頼むぞと」

「私もコーヒーでミルクだけお願いします。」

「はい。わかりました。」

メイドは注文したとおりに俺達の前にカップを並べていく。

「貴方は？」

メイドは壁にもたれたままのローガンを見る。

『バーボン』

「アルコールは無いわ。はい、コーヒーで良いわね。」

『ふん。』

ローガンはカップだけを受け取り、相変わらず壁にもたれたままだ。

「そうだ…紹介が遅れマシタワね。キリ。」

「はい、私、此方でメイド長兼お世話係を勤めております。朝露夜霧(あさつゆよぎり)と申します。」

朝露はペコリと丁寧なお辞儀する。

「キリは完璧なメイドデスワよ。」

「光栄です。今、クッキーをお持ちしますね。」

朝露は軽く頭を下げて出ていく。

「はぁ～…完璧で嘯洒ってやつ？」

獅子丸は朝露が出ていったあとポソリと呟く。

「当然デシテよ。食事の準備に邸の掃除、私の着替えまで手伝うのデスから。」

「あ゛？着替えだぁ？」

俺は聞き流していたがアホみたいな発言に耳を疑った。

「あら？そんなに驚きマシテ？」

デイジーは首を傾げる。

「……(金持ちはわかんねぇ)」

「ただ…1つだけ心配が…」

急にデイジーは声が小さくなりテンションが下がる。
「心配？」

「えぇ、毎朝、着替えさせに来るのデスが……何故か必ず「息づかい荒く靴下から履かせる」んデスワ…」

「「「……」」」

俺達全員はカップを持ち上げたままピタリと止める。
「朝は体調が悪いノデハ？と聞いても…」

(「い、いいえ。むしろ有頂天(ヘブン状態)です！お嬢様！」)

「と言うバカリで…心配デスワ…」

デイジーはスプーンでカラカラとカップの中身をかき混ぜる。

「……」

俺はチラッと後ろの壁にもたれてるローガンを見る。

『ボソボソ…(朝露は変態(お嬢偏愛者)だ。お嬢は気づいてないがな…)』

わざわざ近づいてきて、聞きたくもない情報を耳打ちしてきやがった。

「千夜、千夜。」

「あ゛？」

俺は此処に居ることを八割がたうんざりしつつ、誠の方を見る。

「しょうしゃって何だぞと？」

「…自分で調べろ。アホ。」

はぁ、帰りてぇ…