「…完了だ。」

俺は一通りの作業を終えて。預けていた上着とﾌﾞﾘｯﾄﾈｯｸをつける。

「あの…和辰さん」

「あ゛？」

話し掛けて来たのは、薄いクリーム色に近い金髪で薄黄色の半袖パーカーにダメージジーンズを着た男。

「あ、神崎獅子丸です。」

「……何だ？」

「あ～いや、俺がいきなり6位とか…ホントにいいんすか？」

「良いも悪いも、決まった事だ。」

俺は誠や新星ランカー達と談笑してるデイジーを見る。

「はぁ、そうっすか…」

「…おい。テメェ、やる気ねぇならすぐに蹴落とすぞ？」

「あ、いや、やる気は有るよ？！ただ急な事で実感わかねぇっか…」

獅子丸は両手を振って弁解する。

「実感もクソも無い。慣れろ。」

「はぁ……」

獅子丸は顔を伏せて返事をする。

「…………1つ聞くぞ。」

「はい？」

「……………俺と話難いか？」

「えっ！あーえーと……少し…」

獅子丸は人差し指と親指で隙間を作る。

「……………そうか」

「おーい、千夜？何話してんだぞと？」

ガシッ！
誠が後ろから肩を組んでくる。

「誠、お前…うぜ…」

「獅子丸だったよな？俺は戌塚誠だぞと、気軽に呼んでくれ。俺は獅子丸って呼ぶぞと」

「あぁ、誠よろしく。」

獅子丸は誠と同じノリで返事をする。

「……」

「あー、そだ。この仏頂面。態度と性格はアレだけど気軽に話してやってくれだぞと。友達少ないから。」

誠は俺を指差してくる。

「あ゛？蹴るぞ？こら？」
「な？敬語とか不要だぞと。」

「じゃぁ…千夜、改めてよろしく。」

獅子丸はさっきよりは気軽だが、やはり何処か遠慮がちに話してくる。

「ふん。……よろしくな、獅子丸。」

俺は誠の腕を振り払い退けて小さく返事をした。

「お話しの最中失礼シマスワ。千夜様、そろそろいきますワヨ？」

デイジーが近づいてきた。

「あ゛？」

「お忘れデスか？私は千夜様を迎えに来たのデスワよ？まぁ、右往左往アリマシタが。」

「………あ～…そうだったな。」

「何処行くんだぞと？」

「知らねぇ…とりあえず鍛えれる場所だ。」

「よろしければ戌塚様もご一緒シマスか？」

「あ゛？」

この女、何をいいだしやがる。

「いいのか？」

「えぇ、五月女様もご一緒するノデ。そちらの…アナタも如何です？」

デイジーは獅子丸を見る。

「邪魔にならないんなら。誠とかともう少し話したいし。」

「決定デスワね。デハ行きますワヨ。」

「……マジかよ。」


デイジー、誠、五月女、獅子丸はローガンの運転するキャデラックで移動を始め。

俺はその後ろをハーレーで追った。


ｰ車内ｰ

「はぁ～…マジのお嬢様なんだ。」

獅子丸は広い車内をキョロキョロと見回す。

「お嬢様なんて、デイジーでヨロシイデスワよ。おっほっほっ♪」

『お嬢、笑い方が下品です。』

ローガンかバックミラーで高笑い中のデイジーを見る。

「ちょ、ちょっとした、冗談デスワよ！」

「て言うか…私は何で連れて来られたの？」

五月女が手を挙げる。

「何と無くデスワ。それに…千夜様と一緒に居たいのでは？」

「ボフッ！」

分かりやすく五月女の頭から湯気が上がる。