「責…任？」

「そうだ。責任だ。」

「……」

どうやって？

俺は……その一言が言えなかった。
いや、聞けなかった。

「……」

沈黙。
頭の中では必死に考えていた。

俺は『何を？』『誰に？』『どう？』償えば良いのか…………

「………」

「何をしたら良いか解らないって面だな。」

「！！」

金剛はヌッと立ち上がり。俺を見下ろす。
その顔は真剣そのものだ。

「なら、教えてやる。過ちの経緯、原因、被った損害、現状、最善の対応、自分が犯した過ちを全て把握して反省しろ。」

金剛は更に続ける。

「二度と同じ過ちを犯すな、過ちを挽回するために全力を注げ。」

「……」

喋りながら金剛は俺の横を歩いて行く。

「責任ってのはな、謝ったり罰を受ける事より地道で苦しい道だ。けど、それしか責任を取る道はねぇんだよ。……それが出来なきゃ自己満足、謝罪も罰もただのパフォーマンスだ。」

「っ……」

背中越しに金剛の言葉、1つ1つが深々と重くのし掛かる。

「じゃあな。」

ザッザッザ…
足音が遠ざかって行く。

「……(くそ、くそぉ！)」
歯噛み…
意気揚々と勇んで挑んで結果は…

現状維持。

「……あーそうだ。おい、亮。」

「えっ？」

金剛に呼ばれ振り返る。

ヒュッ！

「おわっ？！」

パシッ！
何かを投げ渡された。

「って俺の携帯…なんで？」

「今、言ったのは全部柏に言われた事。受け売りだ。俺の言葉じゃねぇ。」

金剛は背を向け、片手を振る。

「俺からは、友人(ダチ)として精々頑張れって言わせてもらうぜ。」

「ちょ！金剛さん！どうゆう意味だ？」

金剛はそれ以上は何も言わずに裏路地から出ていく。

「……金剛さんは一体なにを？」

俺は卯天を見る。

「くすくす。」

すると卯天は笑いながら、携帯を指差す。

「携帯がどうかし…！？」
画面を見てみると…

秋葉原ランキング【NEW】
1位小鳥遊悠
2位ｰｰ
3位摩耶
4位金剛
5位ｰｰ
6位ｰｰ
7位ｰｰ
8位ｰｰ
UP9位小森卯天
NEW10位岡崎亮


「あっ…これっ…」

「おめでとうございます。金剛さんが立ち会いとして更新してくれたんですよ。」

「あっ…あぁぁ…」

10位…ベスト10入り…
夢じゃない…

「うおぉぉー！！」

俺は拳を握り締め叫んだ。腹の底から叫んだ。

「あはは、よかったですね。」

「あぁ！あぁ！ありがとう、卯天君。」

俺は興奮したまま、卯天の手を握り。
ブンブンっと振った。

「そんな、僕も楽しかったですから。」

「本当にありがとう。そうだ、良かったら、これから昼食行かないか？お礼がしたい。」

「お礼何て…けど、折角ですからご馳になります。」

卯天はニコニコと笑ってうなずく。

「そうこないと。そうだ、先に言っとくが年下の遠慮何か可愛くないからな。」

「あはは、いいんですか？金剛さんや悠さんほどとは言いませんけど、僕こう見えてかなり食べますよ？」

他愛ない会話をしながら俺と卯天は闘路を後にした。