ー夏休み編ー悪と邪鬼
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ー館長室ー
普段は来客様に使われてる部屋。
何度か足を運んだ事があるが然程広くは無く。
小型冷蔵庫、机、ソファ、テレビが置かれてるだけの一室。
だが、窓から見下ろす眺めは中々壮大で館長はよく窓の側に立っている。
「まぁ適当に掛けな。」
「はい。」
DVDプレーヤーを準備する館長を見ながら俺はソファーに掛けた。
黒いソファーは見た目とは裏腹に柔らかく、優しく身体が沈む。
「中々良い座り心地だろぉ?かかぁに内緒で高ぇのと買い替えたんだ。」
「坂神(まゆ)にバレたら怒られんじゃないスか?」
「そんときゃ、その時だ。さぁて…出来た。」
準備が終わり、館長は俺の前のソファーにドスンと座る。
「何のDVDで?」
「あぁ、おめぇの知り合いに古川っぅ娘が居るだろ?あの嬢ちゃんから買ったDVDだ。」
「稲葉…」
こんな所でも商売してるとは……
顔には出さなかったが、俺は呆れを抜いて感謝してしまう。
「何種類か有ったが特に気になる奴が映ってたのを買ってなぁ。」
館長は顎に手を添えて話す。
「はぁ…あの、それで何か関係有るんですか?」
「ふむ…そうだな。まずは話を頭に戻すかぁ。」
手にしていたリモコンを置いて俺を見る。
「実はな俺ぁも一度創造(つくろう)と考えたんだよ。」
「館長もですか?」
「あぁ、まぁ結局。俺ぁの場合は正拳が最強っぅ事になったがな。」
ぎゅぅぅ…
館長は話ながら鉄球の様な拳を創る。
「館長はどうして…っうか…何が出来なかったんスか?」
「そうさなぁ、いっちまえば、お前と同じだ。速さと威力の両立が出来なかったんだな。」
残念と気恥ずかしさが混じった顔で笑う。
「亮。理想で良いから最強の一撃必殺を言ってみな。」
不意に話を振られた。
「…理想でいいんスよね?」
「あぁ。」
「………大きく言えば二点、破壊力と速さ。」
少し間を開けて更に俺は答えた。
「細かく言えば、駑級の破壊力に避けられない速さと溜めや隙がない当たる拳。」
「はっはっは贅沢三昧な技だなぁ。」
「えぇ本当に。」
大笑いする館長と一緒に俺も笑ってしまった。
理想と言うより妄想…
そんな完璧な物があり得るのだろうか。
「はっは…笑っちまうがそれが正解だぁ。完璧な拳。まさに一撃必殺の技だぁ。」
パチン!っと指を弾き、笑いを止めて真剣な顔をする。
「ただ……そんな完璧が出来ますか?」
俺は聞かずには居られなかった。
悠は勿論、羅漢館長にすら完成出来なかった技が本当に有るのかと…
「ん~…始めに言うとだ。この世に完璧な物なんか存在しねぇ。」
羅漢ははっきりキッパリと否定する。
「やっぱり…」
「ま、けどだ。無いから創るっう訳だしなぁ。」
「話の腰を折ってばっかりですけど…完璧な物は存在しないって言ったばかりなのでは?」
矛盾、というより言葉遊びの堂々めぐりになっている気がする。
普段は来客様に使われてる部屋。
何度か足を運んだ事があるが然程広くは無く。
小型冷蔵庫、机、ソファ、テレビが置かれてるだけの一室。
だが、窓から見下ろす眺めは中々壮大で館長はよく窓の側に立っている。
「まぁ適当に掛けな。」
「はい。」
DVDプレーヤーを準備する館長を見ながら俺はソファーに掛けた。
黒いソファーは見た目とは裏腹に柔らかく、優しく身体が沈む。
「中々良い座り心地だろぉ?かかぁに内緒で高ぇのと買い替えたんだ。」
「坂神(まゆ)にバレたら怒られんじゃないスか?」
「そんときゃ、その時だ。さぁて…出来た。」
準備が終わり、館長は俺の前のソファーにドスンと座る。
「何のDVDで?」
「あぁ、おめぇの知り合いに古川っぅ娘が居るだろ?あの嬢ちゃんから買ったDVDだ。」
「稲葉…」
こんな所でも商売してるとは……
顔には出さなかったが、俺は呆れを抜いて感謝してしまう。
「何種類か有ったが特に気になる奴が映ってたのを買ってなぁ。」
館長は顎に手を添えて話す。
「はぁ…あの、それで何か関係有るんですか?」
「ふむ…そうだな。まずは話を頭に戻すかぁ。」
手にしていたリモコンを置いて俺を見る。
「実はな俺ぁも一度創造(つくろう)と考えたんだよ。」
「館長もですか?」
「あぁ、まぁ結局。俺ぁの場合は正拳が最強っぅ事になったがな。」
ぎゅぅぅ…
館長は話ながら鉄球の様な拳を創る。
「館長はどうして…っうか…何が出来なかったんスか?」
「そうさなぁ、いっちまえば、お前と同じだ。速さと威力の両立が出来なかったんだな。」
残念と気恥ずかしさが混じった顔で笑う。
「亮。理想で良いから最強の一撃必殺を言ってみな。」
不意に話を振られた。
「…理想でいいんスよね?」
「あぁ。」
「………大きく言えば二点、破壊力と速さ。」
少し間を開けて更に俺は答えた。
「細かく言えば、駑級の破壊力に避けられない速さと溜めや隙がない当たる拳。」
「はっはっは贅沢三昧な技だなぁ。」
「えぇ本当に。」
大笑いする館長と一緒に俺も笑ってしまった。
理想と言うより妄想…
そんな完璧な物があり得るのだろうか。
「はっは…笑っちまうがそれが正解だぁ。完璧な拳。まさに一撃必殺の技だぁ。」
パチン!っと指を弾き、笑いを止めて真剣な顔をする。
「ただ……そんな完璧が出来ますか?」
俺は聞かずには居られなかった。
悠は勿論、羅漢館長にすら完成出来なかった技が本当に有るのかと…
「ん~…始めに言うとだ。この世に完璧な物なんか存在しねぇ。」
羅漢ははっきりキッパリと否定する。
「やっぱり…」
「ま、けどだ。無いから創るっう訳だしなぁ。」
「話の腰を折ってばっかりですけど…完璧な物は存在しないって言ったばかりなのでは?」
矛盾、というより言葉遊びの堂々めぐりになっている気がする。