噴水が目の前にあるベンチに崇は腰掛け、隣に座れと視線を向けて来る。

「……」

悠は一瞬「座っていいか？」と聞きそうになったが殴られるのが読めたので無言で座り…

「さっきのは中々良かったぞ。」

「え？」

「俺には出来ないやり方だった…」

「別に…ただ思った事を言っただけだ。」

王さまに誉められ内心嬉しい気持ちもあったが、本心を答えた。

「そうか、けどな…悠。あまり勝手をするな」

「……悪い反省してるよ。」

崇が言いたい事は判ってた。
西口の問題を崇を通さずに関わるのは紅との一件の様に後々面倒に通じる。

何かするなら最低、紅や部隊長と行動しろと言いたいのだ。

「ならいい…」

「……」

「何か浮かない顔だな。」

「え？あぁ…なぁ、崇」

「何だ？」

「お前ってさ数人の女から告白されたらどうする？」

「……」

声には出さないが「ふざけてるのか？」と言いたげな崇。

「睨むなよ……頼むから聞いてくれよ…お前ならこんな時どうする？」

歩けば老若男女を魅力し、集める崇だ…
何か良いアドバイスを…

「……好きなら全員と寝ればいいだろ。」

「寝ればって…」

「嫌なら無視すればいい。」

崇は淡々と答える。

「…王さまらしい答えだな」

「……必要か？」

「え？」

「女が必要か？」

「……」

崇の声がどんどん冷え込んでいく…

「女の世話が居るならいくらでも紹介してやる」

「……」

「それが要らないなら……今、必要無いだろ。」

「……」

「俺は死ぬのはいい、好き勝手やって来たしな…けど、老いて朽ちていくのが怖い…」

「……」

「俺は…ここが渇いてる…」

崇は自分の胸元をトン…と叩き…

「女と寝ても、美味い飯を食っても…渇きは潤せ無い…」

「……」

「けど…喧嘩…この瞬間だけは潤いが蘇り…時間が止まる…」

「……」

「悠…王様命令だ、頼むから俺を失望させないでくれ…」

「……」

「お前はいずれ、俺に風を通し、潤いを与え、時間を止めてくれると思ってる。たかが女の事で…立ち止まるな……」

「………」

「一つ言うなら、超美人が100人だっていずれババァが100人旬は逃すな…」

悠は氷結寸前だった…
無数に放たれる王様の氷の言葉は…

冷たく…重く…深く悠の身体に心に突き刺さり…

「……崇」

「何だ？」

「それが…強くなる秘訣か？」

【気高く】
【我儘で】
【絶対で】
【崇高に】
【美しく】
【然れど儚い】
孤高の王の思想…

「欲望のままに…生きるのが強さか？」


「弱肉強食…強者が勝つ…だろ？」

王様は定期的に上がる、噴水を見ていたが視線を悠に向けた。

「っ…」

いきなり木枯らしが頬を撫でたようだった。

崇の視線には物理的圧力がある…

だが…負けじと悠は口を開いた。

「崇…一つ間違ってるぞ、強い奴が勝つんじゃねぇよ…」

「……」

「勝つ奴が強者だ。」

悠はニッと笑い反論した。