ー小鳥遊悠家ー

ガチャ

俺は玄関を開けて家の中に入る。

「ワン」

バロンが出迎えてくれる。
「ただいまバロン」

俺は部屋に行き、服を着替える。

「んじゃ行きますかっと」

俺は台所に降りて、日本酒とつまみを用意して道場に向かった。


ー道場ー

「よし、こんな物だろ」

猪口を２つ
鮃の刺身、山菜の天ぷら、漬物を用意して中央に座る。

トクトク

２つの猪口に酒を注ぎ１つは前に置き １つは持ち上げる。


「さて、乾杯っ」

俺は猪口を前の猪口に軽く当て飲みほす。

「乾杯ってのは相手がいて初めて成立するんじゃないか？」


「ほんとに出てきたな」

猪口を口から離すと目の前には爺さんが座っている。
「ちゃんと酒用意したな」

爺さんは猪口を口に運ぶ。
「約束だしな」

トクトク

爺さんに酒を注ぐ。

「気づいてたのか？」

トクトク

爺さんが酒を注いでくれる。

「微かにだけどな、ここに入ると視線と気配は感じた。」

「大したもんじゃな」

「ついに俺も霊能力に目覚めたのか？」

「そんなもんは知らんがお前は五感や第六感が優れ取るって事だ」

「ふぅん・・・けど幽霊を見るのは初めてだぞ？」

「昔はよく見えとったみたいだったがの」

「覚えてないな。」

酒を飲み つまみも口に運びながら 不思議な飲み会は続いた。


「じゃワシは行くとするかの」

爺さんは立ち上がる。

「逝くの間違いじゃ無いのか？」

「字でしか解らん用なボケはするな」

「ははは・・・じゃあな」
俺は猪口を爺さんに向ける

「ふん、わしはまだまだ成仏せんよ。たまには酒でも供えに来い。」

そう言うと爺さんは消える。


・・・
・・
・


「んっ・・・」

天井が見える

「あれ？寝ちまったのか？」

俺はいつの間にか寝ていたらしい。

「・・・まったく、世話好きの幽霊だな。」

俺には毛布が掛かっていた。