ｰファミレスｰ

「え？悠の強さ？」

「はい……俺は…いまいち…解りません……」

禅はクリームとフルーツで彩られたパフェを前に呟く。

「肉体的に…強いのは…わかります…が……それでも…何か別の…物が…あるように…感じます…」

「そうね…何かしらねぇ」

稲葉はまるでイタズラを楽しむ子供の様にクスクスと笑う。

「……」

禅は無言でクリームとアイスを一口分、口に運ぶ

「ふふ、悠の強さは成長力ね…」

「成長…力？」

「進化と言っても良いわね。人は一回の負けや勝ち、誰かの一言で大きく成長したり落ちたりする。けど、悠は行動言動すべてが成長…＋になるのよ。」

「それが…悠さんの強さ…？」

「単純な話、悠はその辺を散歩するだけで、誰かと話すだけで、誰かに出会うだけで強くなる…じゃないかしら。」

カラン…
稲葉はグラスの氷を鳴らしながら禅を見る。

「まぁ…これは、私の考えで本当の所は悠にしかわからないわね。」

……………







ｰウェスタンパーク(舞台)ｰ

「本当にお前は何なの？…さっきより強くなってる…なの。」

「……多分、俺は此処が単純だからさぁ」

悠は右手で自分の頭をコッコッとつつき

「今のままで駄目なら…今以上に強くなれって信号が身体ン中に走るんじゃないかなぁ？」

「あり得ない…なの。」

「そか？例えばだ…」

ポケットの中から何かをとりだし其を見せる。

「…煙草？」

「アークロイヤルって銘柄でな…俺のお守り。」

悠は煙草を一本とりだし口にくわえる。

「よっ…」

ビッ！
右拳を煙草の先にかすらせると火が灯る…


「おいおい、マジか？摩擦で火がついたぞ…」

炎銃は半笑いで紅を見る。

「拳速が桁違いに上がってるな…俺の時とは桁違いに。」

「…奇遇だな紅…俺も同じことを考えてたぜ、クソ…」

千夜はギュ…っと握り拳を作る。

「いや、違うな兄ちゃん達よぅ…。本来の悠なんだよ。見てろ、宮塚、見てろお前ら、あれが小鳥遊悠だ。」



「すぅ……うっゲホガホ…不味！ガホエホ…」

悠は咳き込み、すぐにタバコを吐き捨てる。

「「「……」」」

「……あ、あれが小鳥遊悠だ。」

イマイチ処か全く説得力がない…


「……本物の馬鹿なの？」

「馬鹿だよ、喧嘩馬鹿だけどな。ほらいくぞ…構えろ。」

「結局、馬鹿にっ…」

瞬…
悠の姿が消え…
秋宵月の目の前に現れ。

ゴッ！

「っ！！」

「聞こえ無かったか？構・え・ろ。」

悠は秋宵月のデコに自分のデコを軽くぶつけほぼゼロ距離で話す。

「いいなの…古流武術の神髄見やがれなの！」

ゴリリ…
デコに力を込め、負けじと押し返す。

「にひひ…八卦・双撞掌！」
「ふふふ…力道流！…なの」

ドリュッ！
両手を掌に形創り、半円を描く様に腕を捻り放つ…

ガグン！
その両掌の真ん中に右手を押し込み、回転と勢いを完全に止める。

ドッ！！！
まるで稲妻が飛び散る如く2人は一斉に距離を空ける。

「ふっ…すぅぅ…」

不必要な息を吐きだし、即新しい酸素を取り込み。
悠は間合いを詰める。

タン…タン…タン…
瞬…瞬…瞬…

「……(速い…なの)」

縦横無尽に距離をとる秋宵月、悠は離れない様に追いかける。