「あ？どーゆう事だ？」

悠はジリッと男に詰め寄りながら質問する。

「ｺﾎﾝ、私達は小鳥遊悠、あなたを探していました。するとニシグチトウロのその男が情報を売ってくれマシタ。ソシテさっきローガンが言ったように20万で確実にアワセルと約束シタソウですが…」

『俺は子供を人質にしてこんな事をやるとは聞いても頼んでも無かったけどな』
ジリッ…
ローガンもにじり寄り…

「…野郎、卑怯な事を……俺の顔に泥を塗りやがって…」

ジリッ…
炎銃と紅も近づいていき…

「……お前だけじゃない、少女を人質だと？…Sウルフ全体の恥だ…」

しゅるる…
鞭を伸ばし宮塚も近づいていく…

「待ちや…このボケはうちの獲物や。」

「うっ…ああぁぁぁ！」

四方を囲まれ逃げ場を無くしたはずだったが、男は叫びながら舞台に上がり。

「くそ！逃げ切ってやる！」

「待て！」

本来は役者が通ると思われる通路に逃げ込んで行くが……



「茶番はもういい…なの」
「え？」

ズダン！

「「「？！」」」

一斉に動こうとした全員が固まる。

倒れた…
今まで……
足払い、背負い投げ、四方取り色々な投げや浮かしの技は見たこと合ったが…

そんな、技の動きでは無くスッ転んだ様に前倒れになる。

「うっぐぁ…」

倒れた男も何が起こったのか理解できて無いらしく鼻血を垂らしながら頭をあげる。

ぐしゃ！

「がっ？！」

「……このゲスどうしたらいい？…なの」

「っ…」

異様…
悠は、いや、その光景に皆が息を呑んだ…

ｸﾞﾘﾘ…
「うぐぐ…」

容姿から推測するに、小学生くらいの少女が大の男の頭を踏みつけ這いつくばらせているのだから…

「っあ…ごのクソガギがぁー！」

這いつくばったまま、少女に掴み掛かった。

「お前…馬鹿なの？」

びゅ！ｺﾞｧァン！

ググもった耳障りな音が響く…

「っ………」

前倒れ、つまりうつ伏せの体勢で頭を上げ掴み掛かっかろうとした男の頭を少女は真上から踏みつけた。

男はその衝撃で顎を地面に打ち付けると同時に…意識を手放した。

「……はぁ…邪魔なの」

少女はまるで塵でも見るよう一度だけ視線を落とし…男を無視しながらトテトテと悠の元に歩いていく。

その様子に紅達は男の捕獲も忘れて少女を見いってしまう。

「初めましてなの…小鳥遊悠。」

「お、おぅ…っか誰だ？」

「……きっと貴方は私を知らないなのけど…」

「え？」

「…私は秋宵月真桜(あきよつきまおう)…なの」

ショートカットで生地の薄いワンピースを着た少女は秋宵月真桜と名乗る。

「秋宵月…真桜……俺と君は知り合いなのか？」

「………まったく覚えがない？」

「悪いけど…」

悠は首を左右に振る。

「そう…まぁいいなの。小鳥遊悠…私は貴方に会いたかった…なの」

「俺に？」

「そう……貴方を壊す為に…」

スッ…
秋宵月は真剣な眼差しで悠を見上げる。

「そいつは…ただ事じゃ無いな…」