～怒獣侵攻～

-中央広場(ウエスタンパーク側)-

「…でよー」
「マジで?!」
「そしたら泣いて…」

「…」

黒いバンダナを腕や頭に巻いた若者が数人ダベりながら周りを見張っている中…

「ここか」

ザリッ…

俺は頭を掻きながらその集団を中を無視して歩いて行く。

「っ!てめ!いつの間に!誰だ!!」

「そいつ!小鳥遊だ!!」

「殺っちまえ!!」

俺を取り囲むように四方から一斉に手が伸びてきた。

「邪魔」

がっ!ごっ!ぼっご!ごぎ!!

「「「!??!」」」

誰一人何がどうなったか理解できないまま
取り囲んでた男たちは倒れていく…

「遊んでる暇ねぇんだよ」

俺はピクピクしている男たちを踏みつけながら前に進もうとしたが…

「…一瞬で四人の男の顎を打つか、予想よりやるな。」

「誰だ?」

目の前にはサングラスを掛けスーツの様な服装の男がいる。

「ふっ……俺の名前は本郷千春(ほんごうちはる)S・ウルフ機動隊体長の№5…」

髪をかきあげながら、自己紹介を始める本郷だが…

ガシッ…
「んっ?!」

本郷の左肩を掴み…

「お前さ…カッコつけすぎ」

がっこ!!
左肩を引くと同時に右足を外に払い…

ドゴッぉぉン!!

「ごはっぁぁ!!!」

倒れていく本郷の鳩尾に左拳を撃ち落とした。

「蹄崩迅雷(ていほうじんらい)ショートver…」

右手が使えないため。
最初の踏み込みや裏拳を除き、合気の転で捌き空中で拳を叩きこむ。
威力は落ちるが行動のスピードは跳ね上がった短縮技。

「ぐぉぉ……」

本郷は油断していて受け身も取れず、直撃を受けたため簡単に意識を失った…

「…(こんな奴ばっかだと良いが…)」

海たちの安否がだいぶ安心できた気がして、さっさと行こうとしたが…

「宮塚さん!こっちです!!」

「あん?」

黒いキャップをつけた男数人が藍色の髪をした眉の細い宮塚と呼ばれた男を連れてくる。

「…(…本郷)お前が小鳥遊悠#か?」

鋭い切れ目で一度倒れている本郷を見たあと俺に話しかけてくる。

「あぁ…返してもらいに来たぞ。」

「返す?……何の事だ?」

「ふふ…お前名前は?」

笑顔を絶やさずに俺は名前を尋ねる。

「…宮塚恭司だ。」

「そうか…なら、宮塚……しらばっくれると思うなよ?こっちは結構頭に来てんだかなぁ!!!」

「「ひっ!!?」」

ビリリ!!
雷でも落ちたかと想像してしまう程の怒気に周りに居た男逹は悲鳴を上げてしまう。

人では無い…
今目の前にいるのは人の姿をした凶暴な獣…

このままここにいては食い殺される…
そう錯覚してしまう…

「おい…お前ら」

「「「は、はい??!」」」

その怒気を正面から受け止めている宮塚は一瞬たりとも悠から目を背けずにつぶやく…

「のびてる本郷連れて炎銃所に行け…今すぐ」

宮塚に命令され男たちは我に返り、脅え怯えに本郷を抱えて逃げていく…

………