ｰ和龍軒ｰ

「ここだ。」

「拉麺屋さん？」

赤い暖簾に白で和龍軒と書かれたお店からはスープの良い香りが漂ってくる。

「まぁ中華がメインの店だ…中華食えるよな？」

亮は店の扉に手を掛けつつかがみに一応確認をとる。

「食べれなそうに見えるの？」

「おっと、天下のかがみ様だった。」

亮は悠が言いそうな事を言ってかがみを見る。

「それどーゆう意味よ！」

「さて、入るか。」

ｶﾞﾗﾗﾗ…
かがみに殴られる前に亮は店の中入って行く。

「いらっしゃい、あら岡崎君またきてくれたのね。」
店の中は、真ん中が調理場になっていてそこ中心にＵ字にカウンター席で左右にボックス席が設けられている。

「どうもです。知り合いと会ったんで昼飯に来ました。」

「ありがとね。こんにちは。」

「あ、こんにちは…」

赤混じりの明るい茶髪で後ろをポニテにしている、若い店員さんにかがみは挨拶を返す。

「かがみ誰かに似てないか？」

「え？そう言えば……」

美人だけどちょっとキツめのつり目…

「もしかして…和辰君のお姉さん？」

「おしい！」

パチン！
亮は指を鳴らして笑う。

「お姉さんか～私的には全然嬉しいけど正解は千の母親です。」

「あ、お母さんでした…えぇ？！」

かがみは驚きの声を出す。
その驚きは当然だった、どうみても母親と言う歳には見えない。

「はは、そんなに驚き？」

「あ、す、すいません、凄くお若く見えたから…」

「最初岡崎君も同じだったからいいわよ。和辰多恵(わたつたえ)、36よ。」

多恵は気にしてないと改めて自己紹介する。

「あ、柊かがみです…え？36…え？」

千夜は18歳…
多恵は36歳…
つまり……

「え、あの…」

「気にしないでいいよ、千は17の時に生んだのよ。私も若かったからね～お腹膨らんで「あ、出来ちゃったな」って思って勢いでね。夫は先立ってくし。」

多恵は明るく話すが結構騒然とした話だ。

「あはは、ごめんごめん。つまんない話して。ささ、座って座って。」

かがみと亮は背中を押されながらカウンター席に座り。

「注目何にする？」

「あ、えーと…私は醤油拉麺お願いします。」

「叉焼麺で」

「はい、醤油と叉焼ね。」
多恵は厨房に入り手際よく拉麺を作り始める。

「驚いただろ？」

「驚いたわよ。」

「俺も最初悠に同じことされたからな。ははは。」

亮は成功、成功と大笑いする。

「はい、お待ちどうさま。」

拉麺が出来上がり2人の前に並べられる。

「どうも、いただきます。」

「いただきます。」

拉麺はあっさりとしたコクのある味で後味をそそり、とても美味しい。

「ねぇ、柊ちゃん」

「あ、はい？」

「柊ちゃんは千と話しするの？」

「え゛…」

話をすると口喧嘩ですとは言えず困っていると

「顔を合わせば口喧嘩らしいですよ。」

「ちょ！」

かがみは慌て亮の口を塞ごうとしたが

「…やっぱりね。ごめんね、柊ちゃん。あの馬鹿口が悪くて…」

「いえ、そんな事は……少しありますね。」

「はぁ…まぁ私がこんなだから強く言えないのも原因何だけど…同世代の子とコミュニケーションが下手なのよね。」

「あの…和辰君は……どうしてその…」

「子供には優しい理由？」

「はい。」

「また、つまんない話になるけどね。実は最初の夫が死んだ後、新しい男と再婚予定で二人目ができたんだけど、その男が最低な奴で逃げたのよ。しかも、そのストレスで流産しちゃって……千も色々ショックが大きかったと思うのよ。」


………