次の日…

ｰ昼休み(寮の裏手)ｰ

ズザザ…

「やほ。」

「よっす。」

何時もと同じ様に木から飛び降りて久保田にお馴染みの挨拶を交わす。

「……」

「橘居るんだろ？」

壁に向かって声を張る。

「……居るわよ。」

「久保ちゃんから聞いたか？」

「世界を変えてやる…って何？何の冗談？」

「言った通りだ…俺が世界を変えてやる。」

話ながら俺は壁から離れて行き久保田の隣に立ち。

「アンタね…下らない事ばかり…」

「久保ちゃん…これ。」


「ん？」

俺はポケットからある物を渡して

「確り見てろよ？」

「うん。」

ニッと笑って……

ダッ！ガッ！ガッ！ブチュ！

「え？」

「っ…うぉらぁあ！」

ブチュチチブチ……ダン！
「え、な…う、嘘…」

この時…
橘千花は我が眼を疑った…
人が決してよじ登れ無い筈の壁を登り…

「へ、へへ…痛っぅ…な？越えられない壁なんか無いんだよ。」

張り巡らされた威圧と破壊の象徴の有刺鉄線を掴み飛び越えて来た人間に…

「あ、アンタ…手が手が…」

「っ…平気だ！」

ゆうはグッと両手を拳にした。
ジワッ…ポタボタ…

何重にも重ねた有刺鉄線を掴かみ、両手の平の肉は削げ落ち深々と傷を刻み流血は止まらない…

「へ、平気な訳ないでしょ！馬鹿じゃないの！」

「馬鹿で結構見てろよ…俺はこのまま脱走する…けど、待ってろ。絶対に俺が変えてやるから。」

「っ……」

何も言えない…
言える訳がない…
こんなに純粋な笑顔と力強い行動に…

「っか…お前って結構…」
身長は160後半位。
少し強気なつり目で後ろ髪は肩まであり前髪をゴムで纏めているので可愛いと美人の間にいる。

「な、何よ…」

橘は悠にバレない様に涙を拭った。

「いや…何でも無い。久保ちゃん聞こえるか～？」

「聞こえるよ。」

「行ってくる後の事頼むな！」

「ん、りょーかい。」

気の無い返事を聞いて俺は一気に走りだした。

「ちょ！小鳥遊？！」

………


ｰ女子寮出入口ｰ

警備員が数名暇そうに警備している。

「今日も暇ですね。」

「だな。まぁ何も無い事が……」


「きゃーー！」

「「!!」」

突然女生徒の悲鳴が聞こえ何事かと警棒を構えたが…

「遅せぇ！」

ガゴッ！

「グブッ？！」

何が起こったか分からなかっただろう。

「な、お前は生と…ぶっ！」

悲鳴から約13秒…
悠は1人目の警備員の腹に膝をめり込ませ再起不能にしたと同時に右腕を横に振り払うように、隣にいた警備員の顎を正確に打ち抜いた。

「もっと腹筋鍛えろ馬鹿が。」

「き、貴様！」

校門の開閉を操作する小屋から更に1人警備員が出てくる。


「ふん！」

ギュ…ブン！ﾋﾞﾁｬ？！

「うぉあ？！がっ？！」

ガッ！
伸ばしたままだった右手に力を込め。
血を手のひらに溜めて飛ばし目潰しが成功したと同時に喉仏に蹴りが突き刺さっり警備員はうつ伏せに倒れた。

「余裕…後は…」

小屋に入ると、中は結構色々な機材やスイッチだらけだったが門を開門し、内線電話を取り。

[はい、此方職員室何か有りましたか？]

「あぁ、小鳥遊悠が警備員を殴り倒して脱走するぜ？」

[な、何？]

「明日には戻る、精々執行部でも何でも用意しとけボケども！」

バギッ！ベギッ！ドガッ！

内線、機材一式を破壊して俺は全速力で走り…外に出た。