「どうやって……俺の事を?」

先に口を開いたのは禅だった。

情報屋の命は足を残さないことそれなのに自分の事を知っている稲葉。

「くすくす」

稲葉はくすくすと愉快そうに笑う。

「どうやら……悠には1癖も2癖もある奴がいるな。」

温度が少し上がった氷のつぶやき。どうやら崇は稲葉に興味を持ったようだ。

「くすくす、ネタばらしはね。私もハッキングは得意なのよ」

「得意……けど俺の…パソは侵入できない……」

「そうね、貴方のウォールはプロセスコード事態にダミーウィルスを混ぜてあるからハックするのは難しい…けど既に侵入は済んでるのよ。というか貴方の使ってるハッキングツールは私の作った[ハクト]を改良したものでしょ?イースターエッグをちょっと解析すれば私の元に検索データが全部届くのよ?」

「私の作った……!?もしかして……あんた幻のクラッカー・ＦE?!」

「くすくす、今はチャットでしかそのHNつかって無いけどね。」

「ちょっと悪いぜんっぜん話が見えないんだけど?」

俺は盛り上がってる稲葉と禅の間に入りいったんブレイクさせる。

だってついてけないんだもんこの二人の会話……

…………

「つまり……禅のハッキング技術の師匠が稲葉だったわけで互いにそのことは知らなかったわけだな?」

超簡単に話をまとめるとそう言うことらしい。

「えぇ、私はハッキングツールの[ハクト]をネットで売ってるの。勿論犯罪だけどね♪」

「俺はそのツールを改良して1年かけて西口の情報屋になったけどまさかそんな仕掛けがあるのは知らなかった。」

禅はよほど驚いたのか溜めなしで喋っている。

「パソコンの事はよく分からないが……禅が納得するほどの腕か……」

「はい……稲葉さんなら国防省でもホワイトハウスのホットラインにも割り込めるかと……」

「成程……たいした腕だ。」

「おほめにあずかり光栄ですわ。」

営業スマイル、たぶん稲葉はこうやって顧客を集めていると思う。

「亮……」

「なんだ?」

「あいつら何言ってるかわかるか?」

「全然、少なくとも俺とお前以外はわかってるみたいだけどな……」

端で話に参加できない千夜と亮はソフトドリンクを飲んでいた。

…………