「それで…」

「ん?」

「それでどうしたの?散歩なんて」

「別に…ただ暇だっただけだ。」

「そかな～?」

三人掛けのベンチで互いに真ん中を開けて掛けていたがこなたはズイッと寄ってきて俺の顔を覗き込む。

「なんだよ…」

「なぁんか寂しそうだよ。」

「残念でした俺に寂しいという感情はない。」

「え～嘘だ。」

「ほんとうだよ…何か昔から寂しくならねぇんだよ」

はっきりと言い切るには理由があった。

誰にも本人すらも気づいてないが悠は寂しい、孤独、そして……の気持ちを持って無い。
それはトラウマと言ってもいい幼少期の頃の…

「う～ん悠がそう言うならそうなのかなぁ。」

「ああ、そうなんだ。」

「じゃあどうしたの?」

「ん～実はな変なんだよ。帰ってきてから何か胸がもやもや、ざわざわして。」

「……それってさぁ恋じゃない?」

「はっ?」

頭ん中が真っ白になる。
こなたの発言を全く理解できなかった。

「胸がもやもやするんでしょ?」

「ぁ…あのな…恋って、はは。相手がいないっての…」

「優日ちゃん」

「あん?」

「スタイルもいいし性格も顔も可愛い。モテる女の子って感じするよね。」

「おいおい…勝手に話を飛躍するな。」

「本当に?」

「当たり前だろ、会ってすぐに惚れる奴何か居るかよ。」

「私はすぐに悠の事好きになったけどなー」

「お前なぁ…」

「あはは、二回目の告白だ。」

「……」

「そんな顔しなくていいよ。返事はいいから。」

よっぽど情けない顔してたんだろうな。

「すまん…」

「あーあ、それにしても優日ちゃんは強敵だな…」

「勝手言うなっての…」

「でもさー優日ちゃんてさモテると思うよ。可愛くてスタイル良くて才能あって少し天然入ってる人ってモテるもん。」

「……そんなもんかなぁ」

「そんなもんだよ。」

「それよりそろそろ帰るか…眠くなってきたし。」

「そーだね。」

俺とこなたは来た時と同じように雑談をしながら帰った。

「それじゃあな」

「あっ…悠」

「ん?」

「摩耶君ってさ…ふだん何してるの?」

「摩耶は…よくわかんないな。神出鬼没だし。今は中国行ってるぜ。」

「中国?」

「あぁ、氷室さんと一緒に修行だ。」

「そうなんだ。ありがと、じゃあね。」

俺はこなたと別れて家に戻ると広間のソファーで泥のように眠った。

………

「くぅーかぁー」

足を投げ出し、お腹は丸出しの全身全霊を掛
けて睡眠中の中。

その羽根烏天狗最速の名を呼べ♪
操る風を受けて巻き起こせ嵐を♪

「ぅぅ…」

頭元で携帯が爆音を奏でる。
目を閉じたまま手を伸ばし…

「ぅぅん…眠いから掛けるな……」

ブッ!!
携帯を切り再び夢の中に帰って行く。
今日はもう一日中寝ていようと誓って

………