-夏編-シンクロニシティ(運命)
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小一時間位経ち、満腹になった人から買い物等に適当に抜けていき…
「さぁて…話やすくなったけど……何で摩耶が抜けてんだよ…」
悠は前に座っている金剛と氷室に質問する。
「俺に聞かれても困る。」
「私が席に戻った時には居ませんでしたから。」
金剛は首を振り、氷室は口には出してないが知りませんと顔に書いて有る…
「摩耶ならこなたに着いてたぞ。」
亮はいつの間に頼んだのか、餡蜜に黒蜜をかけながら摩耶の居場所を伝える。
「…んじゃ摩耶抜きだが話すか…OK?」
悠はピッと指を立てて1人1人を指していき、皆その度しっかりうなずき先程の話を開始する。
「まず、俺と金剛の方だ、相手はシマパンチャイナと…」
「…コホン、クレイ=マチドと名乗った男だ。」
「失礼、確か追って行ったのは1人でしたよね?シマパンチャイナとは?」
氷室は小さく挙手して、話を割り、質問する。
「何者かは不明、身長は俺とはりで分銅を使った奇襲タイプけど脚力がかなり高かったな、勘違いで襲われたみたいだった、あとシマパンだ。」
「シマパンって…そこやたら押すな…」
「ふんシマパンチャイナでいいんだよ!二回も顎蹴り上げられたし、これ見ろよ…」
悠は赤紫に腫れている指を立てて見せつける。
「…それ、折れて無いか?」
「いや、酷い内出血ださっきから物凄く痛い…がまぁそれは置いといて…金剛続きを頼む。」
「ああクレイ=マチドは……妙な手品を使ってきたな、壁を封鎖したり、釘みたいな物を巨大化した…」
「言っとくが冗談抜きだ。明らかに道のど真ん中に壁が出来てた。しかも、クレイが逃げる時には無くなってた。」
金剛と悠はより詳しく説明しつつ、信じられないかも知れないが真実だと付け加える。
「成る程、大丈夫です…此方も大分信じにくい話ですから…」
「あぁ、此方の黒フードは名前は名乗らなかったな、水の弾丸と水の鎧…理解不能な技を使われた…」
氷室、亮も起こったこと、見た事を説明し…
「水の鎧ってのは見たのか?」
「いえ、正確には服の下に存在していた様で…」
「加護って…」
「聖水?…」
がやがや…ざわざわ…
「…ちょっと待ってくれ、少し整理しよう。」
各々が疑問をぶつけ合うなか悠は紙とペンを取りだし、何かを書き始める…
「よし…まずはこれだ…」
トントンと紙を指でつき、皆はそれを見る。
1,謎の能力について
2,ルネスの発言について
3,事件性について
「まず、能力についてだ、道を封鎖した壁、巨大化する釘、水の刃、弾丸に鎧…どう思う?」
「何か種が有る…と思う…」
「亮と同感だ、確かに道を塞がれたり、釘が巨大化したが…形状記憶合金や何か種が有ると思う。」
「そうか…氷室は?」
「私は違う意見です。勿論説明は出来ませんが…」
「なら、仮説でいい、氷室の意見を聞かせてくれ。」
「わかりました…私はこう考えます、あれは異能の力では無かったのかと…」
氷室は眼鏡をクィっと直しつつ語る。
「異能の力…?超能力と言いたいのか?」
「はっきりした事は言えませんが…悠さん、次のに移り説明を続けても?」
「OK、次はルネスの発言についてだな…」
悠はペンで紙を指しつつ氷室に仮説を続けさせる。
「「あれはルーンを刻んで水に加護を纏わせた擬似的な聖水、恵みの雨だよ。」
これで気になる言葉は3箇所「加護」「聖水」「ルーン」…この3つの言葉は…神や儀式、魔術を連想します。」
「「魔術…?」」
「ちなみ…加護は神や仏の助け、聖水は司祭により浄められた水の意味だ…そしてルーンてのは古代英語のルーツだ…ただ「神秘」や「秘密」を指し示す24の文字でゲルマン民族により2世紀から使われる魔術語源と言う説もある…」
悠は単語の意味1つ1つを説明していくと皆は悩む様などう答えていいか解らない表情をする。
「……さて最後の問題だ、事件性についてだが…」
「警察……には説明出来んだろうな。」
「…そうですね、人に話して信用される話では無いでしょうから…」
「…悠、ずばり聞くがお前はどう思う?」
「…そうだな…ルネスとあの学生を探して力になってやる…」
「悠…」
「…って言いたいが…今日の事は一切忘れよう」
「え?」
悠の口からは意外な返答が帰ってきた。
「こいつは俺等の関わる事じゃない、魔術だの異能だのは既に手に終えない事だ。」
「「そうですね(だな)。」」
氷室と金剛はすぐに首を縦に振る…
「じゃ…話は終りだ摩耶には氷室が伝えてくれ。」
悠は書いていた紙をぐしゃぐしゃに握りつぶし、一切の事を忘れる事で話は終った。
「では、私は摩耶さんを探しに行きます。金剛さんはどうします?」
氷室は携帯を見ている、金剛に話しかけるが…
「…悪い用事が出来た、俺は先に帰るから摩耶に伝えといてくれ、悠、ご馳走さん、亮またな」
「分かりました、お疲れ様です。」
「おぅ、じゃ…」
「またな、金剛」
金剛は一言掛けてドカドカと走って店から出てき…
「それでは私も摩耶さんを探しにいきます、会えたらまた後で、ご馳走様でした。」
氷室も行き、亮と悠だけになり。
「悠俺達はどうする?」
「ん~日程決めてぶらぶらするか、亮どの位動ける?一応祭りとラス2週間は無しにしたが?」
悠は予定表を広げてマーカーを走らせる
「そうだな、この日とこの日はちょっと…」
「用事か?」
「月美を遊びに連れていく約束してな、何処かに連れてってやろうと思う。」
「いいお兄ちゃんだな~、OKOK、んじゃここは×と…」
予定を決めていくと、結局夏休み半ばの1週間だけ、泊まり掛けで行く事になり、ぶらぶらする事にした。
… … …
-無人駐車場-
数台のパトカーが集まり黄色のラインテープが張られており…
ザワザワザワ…ザワザワザワ…
「はいはぁ~い、下がって下さ~い。」
何事かと人だかりが出来それを婦警が牽制している。
「また、器物破損か?」
「ええ、例の如く証拠も目撃者も……」
くたびれたスーツ姿の中年刑事はひしゃげたフェンスと綺麗に切られたフェンスを交互に見ながら、若い刑事から現場報告を聞いていると…
「は、まったく、進展してねーなぁ!」
誰かがまわりに聞こえる様な声で話を割る
「…ここはお前の管轄外だぞ」
「ふん、近くに居たから呼ばれただけだ…」
右耳に銀の逆十字のピアスをつけて。白い半袖の上着は袖を通さず肩に掛け、シャツは柄物…どう見てもそっちの業界の人にしか見えない、若い男がにやりと悪意のある笑顔で話しかけてくる…
「(あの…誰ですか?あれ?)」
「なんだ?知らんのか?こいつは小鳥遊柏、名前くらい聞いたこと有るだろ?」
「小鳥遊…柏…も、もしかしてやくざの組を一人で潰したりして飛ばされ…」
「あん?新米、勝手ほざくなよ?こら?誰が飛ばされただ?あ?おぃ?」
「ひっ…」
柏はドスの効いた低い声で、若い刑事を睨み下ろしつつ距離をつめる…
「やめろ…たく、若いのをびびらすな!」
「オッサンよぅ、言っとくが俺もまだまだ若い、根性がねぇんだよこの頃のガキは。…それ貸せ。」
「あ…」
柏は若い刑事から現場の調書を奪い取り目を通す。
「………また、これか、証拠も目撃者も無し……か…」
「あぁ、…一応見るか?」
「一応な…」
柏は調書を投げ捨て、中年刑事の後についていく…
「こいつだ、あっちのフェンスはひしゃげてやがる。」
「ふん……」
目の前の□に切られたフェンスの切り後に触れて調べる。
「お前、手袋ぐらい着けろ」
「どうせ、調書は済んでんだろ」
「そうだが…」
「綺麗な切断面だな…見識は?」
「駄目だ、特定不能らしい……ペンチカッターとかどうだ?」
「いや、無理だな。日本刀でもこうはいかない……出来るとしたら…」
「あるのか?」
「ウォーターカッターなら出来るかもな、けどあれは持ち運びが利く物じゃねぇ。」
「ふぅ…結局手掛かり無しか…」
「あ、あの~」
「「どうした?(あん?)」」
若い刑事が申し訳無さそうに近づいて、二人に話しかけてくる…
「なにぃ?!、捜査中止だぁ?」
「は、はい…………」
「…わかった他に伝えに行ってくれ。」
「はい、失礼します!」
若い刑事は中年刑事と柏に礼儀正しく頭を下げて走って行く…
「……どうなってんだ?」
「今までで通算3件、器物破損だが…全部捜査中止…上は何考えてんだか…」
中年刑事は煙草を取りだしライターを探すが見つからない様子だったので…柏はライターを取りだし火を向け…
「ん?すまんな……はぁ……」
「俺は帰る…」
「また、お前は勝手な…」
「上も不審な動きをしてんだ俺は勝手に動く、指示はうけねぇ。…それに」
「それに?」
「今日は非番だからな。」
柏はそれだけ言い残しフェンスをくぐって何処かに消えていく…
… … …
-円形広場-
痩せた鳩に、ホームレスに、男子、女子高生…
夏休みが始まったせいか人がやたら居るなか、金剛はベンチに座り、缶のブラック珈琲を一口で飲み干していると…
「お前が缶を持ってると、缶自体が小さく見えるな。」
嫌味声が聞こえて来た方を見ると…
「やっと来たか、何の用事だ柏?今日は非番だろ?」
「…お前、今まで何してた?」
「今まで?悠達といたが?」
「彼奴と?……何してた?」
「何って飯食ってただけだ。」
「ほぅ……じゃあ、飯食う前は何してた?」
「さっきからなんだ?何が聞きたい?」
金剛はいい加減質問攻めが嫌になってきたのか、質問の確信を聞く。
「誰と喧嘩した?」
「…」
「黙んな、俺は喧嘩した事をとやかく言うつもりはねぇ、むしろ好きにやれ、ただ…」
ガシャン…
柏はベンチのわきに何かを投げ捨てる…
「あ…」
それは、さっきまで腰に巻いていたチェーンベルト…
「お前よぉ、こいつは一個一個が玉鋼で作られた、最高クラスのチェーンだ、護身用にやったのに、気安くその辺りに捨てていくな!」
バコン!
柏は金剛の頭を一発殴る…
「痛…悪かった。」
「っぺ、俺がたまたま回収したから良かった物を…最悪お前しょぴかれてたぞ…」
柏はばつの悪い顔をして、呟く…
「?どう言う事だ?」
「…色々つもる話がある。場所変えるぞ来い。」
「…あぁ。」
やたら、真剣な顔の柏を見て金剛は質問せずに着いていく。
「さぁて…話やすくなったけど……何で摩耶が抜けてんだよ…」
悠は前に座っている金剛と氷室に質問する。
「俺に聞かれても困る。」
「私が席に戻った時には居ませんでしたから。」
金剛は首を振り、氷室は口には出してないが知りませんと顔に書いて有る…
「摩耶ならこなたに着いてたぞ。」
亮はいつの間に頼んだのか、餡蜜に黒蜜をかけながら摩耶の居場所を伝える。
「…んじゃ摩耶抜きだが話すか…OK?」
悠はピッと指を立てて1人1人を指していき、皆その度しっかりうなずき先程の話を開始する。
「まず、俺と金剛の方だ、相手はシマパンチャイナと…」
「…コホン、クレイ=マチドと名乗った男だ。」
「失礼、確か追って行ったのは1人でしたよね?シマパンチャイナとは?」
氷室は小さく挙手して、話を割り、質問する。
「何者かは不明、身長は俺とはりで分銅を使った奇襲タイプけど脚力がかなり高かったな、勘違いで襲われたみたいだった、あとシマパンだ。」
「シマパンって…そこやたら押すな…」
「ふんシマパンチャイナでいいんだよ!二回も顎蹴り上げられたし、これ見ろよ…」
悠は赤紫に腫れている指を立てて見せつける。
「…それ、折れて無いか?」
「いや、酷い内出血ださっきから物凄く痛い…がまぁそれは置いといて…金剛続きを頼む。」
「ああクレイ=マチドは……妙な手品を使ってきたな、壁を封鎖したり、釘みたいな物を巨大化した…」
「言っとくが冗談抜きだ。明らかに道のど真ん中に壁が出来てた。しかも、クレイが逃げる時には無くなってた。」
金剛と悠はより詳しく説明しつつ、信じられないかも知れないが真実だと付け加える。
「成る程、大丈夫です…此方も大分信じにくい話ですから…」
「あぁ、此方の黒フードは名前は名乗らなかったな、水の弾丸と水の鎧…理解不能な技を使われた…」
氷室、亮も起こったこと、見た事を説明し…
「水の鎧ってのは見たのか?」
「いえ、正確には服の下に存在していた様で…」
「加護って…」
「聖水?…」
がやがや…ざわざわ…
「…ちょっと待ってくれ、少し整理しよう。」
各々が疑問をぶつけ合うなか悠は紙とペンを取りだし、何かを書き始める…
「よし…まずはこれだ…」
トントンと紙を指でつき、皆はそれを見る。
1,謎の能力について
2,ルネスの発言について
3,事件性について
「まず、能力についてだ、道を封鎖した壁、巨大化する釘、水の刃、弾丸に鎧…どう思う?」
「何か種が有る…と思う…」
「亮と同感だ、確かに道を塞がれたり、釘が巨大化したが…形状記憶合金や何か種が有ると思う。」
「そうか…氷室は?」
「私は違う意見です。勿論説明は出来ませんが…」
「なら、仮説でいい、氷室の意見を聞かせてくれ。」
「わかりました…私はこう考えます、あれは異能の力では無かったのかと…」
氷室は眼鏡をクィっと直しつつ語る。
「異能の力…?超能力と言いたいのか?」
「はっきりした事は言えませんが…悠さん、次のに移り説明を続けても?」
「OK、次はルネスの発言についてだな…」
悠はペンで紙を指しつつ氷室に仮説を続けさせる。
「「あれはルーンを刻んで水に加護を纏わせた擬似的な聖水、恵みの雨だよ。」
これで気になる言葉は3箇所「加護」「聖水」「ルーン」…この3つの言葉は…神や儀式、魔術を連想します。」
「「魔術…?」」
「ちなみ…加護は神や仏の助け、聖水は司祭により浄められた水の意味だ…そしてルーンてのは古代英語のルーツだ…ただ「神秘」や「秘密」を指し示す24の文字でゲルマン民族により2世紀から使われる魔術語源と言う説もある…」
悠は単語の意味1つ1つを説明していくと皆は悩む様などう答えていいか解らない表情をする。
「……さて最後の問題だ、事件性についてだが…」
「警察……には説明出来んだろうな。」
「…そうですね、人に話して信用される話では無いでしょうから…」
「…悠、ずばり聞くがお前はどう思う?」
「…そうだな…ルネスとあの学生を探して力になってやる…」
「悠…」
「…って言いたいが…今日の事は一切忘れよう」
「え?」
悠の口からは意外な返答が帰ってきた。
「こいつは俺等の関わる事じゃない、魔術だの異能だのは既に手に終えない事だ。」
「「そうですね(だな)。」」
氷室と金剛はすぐに首を縦に振る…
「じゃ…話は終りだ摩耶には氷室が伝えてくれ。」
悠は書いていた紙をぐしゃぐしゃに握りつぶし、一切の事を忘れる事で話は終った。
「では、私は摩耶さんを探しに行きます。金剛さんはどうします?」
氷室は携帯を見ている、金剛に話しかけるが…
「…悪い用事が出来た、俺は先に帰るから摩耶に伝えといてくれ、悠、ご馳走さん、亮またな」
「分かりました、お疲れ様です。」
「おぅ、じゃ…」
「またな、金剛」
金剛は一言掛けてドカドカと走って店から出てき…
「それでは私も摩耶さんを探しにいきます、会えたらまた後で、ご馳走様でした。」
氷室も行き、亮と悠だけになり。
「悠俺達はどうする?」
「ん~日程決めてぶらぶらするか、亮どの位動ける?一応祭りとラス2週間は無しにしたが?」
悠は予定表を広げてマーカーを走らせる
「そうだな、この日とこの日はちょっと…」
「用事か?」
「月美を遊びに連れていく約束してな、何処かに連れてってやろうと思う。」
「いいお兄ちゃんだな~、OKOK、んじゃここは×と…」
予定を決めていくと、結局夏休み半ばの1週間だけ、泊まり掛けで行く事になり、ぶらぶらする事にした。
… … …
-無人駐車場-
数台のパトカーが集まり黄色のラインテープが張られており…
ザワザワザワ…ザワザワザワ…
「はいはぁ~い、下がって下さ~い。」
何事かと人だかりが出来それを婦警が牽制している。
「また、器物破損か?」
「ええ、例の如く証拠も目撃者も……」
くたびれたスーツ姿の中年刑事はひしゃげたフェンスと綺麗に切られたフェンスを交互に見ながら、若い刑事から現場報告を聞いていると…
「は、まったく、進展してねーなぁ!」
誰かがまわりに聞こえる様な声で話を割る
「…ここはお前の管轄外だぞ」
「ふん、近くに居たから呼ばれただけだ…」
右耳に銀の逆十字のピアスをつけて。白い半袖の上着は袖を通さず肩に掛け、シャツは柄物…どう見てもそっちの業界の人にしか見えない、若い男がにやりと悪意のある笑顔で話しかけてくる…
「(あの…誰ですか?あれ?)」
「なんだ?知らんのか?こいつは小鳥遊柏、名前くらい聞いたこと有るだろ?」
「小鳥遊…柏…も、もしかしてやくざの組を一人で潰したりして飛ばされ…」
「あん?新米、勝手ほざくなよ?こら?誰が飛ばされただ?あ?おぃ?」
「ひっ…」
柏はドスの効いた低い声で、若い刑事を睨み下ろしつつ距離をつめる…
「やめろ…たく、若いのをびびらすな!」
「オッサンよぅ、言っとくが俺もまだまだ若い、根性がねぇんだよこの頃のガキは。…それ貸せ。」
「あ…」
柏は若い刑事から現場の調書を奪い取り目を通す。
「………また、これか、証拠も目撃者も無し……か…」
「あぁ、…一応見るか?」
「一応な…」
柏は調書を投げ捨て、中年刑事の後についていく…
「こいつだ、あっちのフェンスはひしゃげてやがる。」
「ふん……」
目の前の□に切られたフェンスの切り後に触れて調べる。
「お前、手袋ぐらい着けろ」
「どうせ、調書は済んでんだろ」
「そうだが…」
「綺麗な切断面だな…見識は?」
「駄目だ、特定不能らしい……ペンチカッターとかどうだ?」
「いや、無理だな。日本刀でもこうはいかない……出来るとしたら…」
「あるのか?」
「ウォーターカッターなら出来るかもな、けどあれは持ち運びが利く物じゃねぇ。」
「ふぅ…結局手掛かり無しか…」
「あ、あの~」
「「どうした?(あん?)」」
若い刑事が申し訳無さそうに近づいて、二人に話しかけてくる…
「なにぃ?!、捜査中止だぁ?」
「は、はい…………」
「…わかった他に伝えに行ってくれ。」
「はい、失礼します!」
若い刑事は中年刑事と柏に礼儀正しく頭を下げて走って行く…
「……どうなってんだ?」
「今までで通算3件、器物破損だが…全部捜査中止…上は何考えてんだか…」
中年刑事は煙草を取りだしライターを探すが見つからない様子だったので…柏はライターを取りだし火を向け…
「ん?すまんな……はぁ……」
「俺は帰る…」
「また、お前は勝手な…」
「上も不審な動きをしてんだ俺は勝手に動く、指示はうけねぇ。…それに」
「それに?」
「今日は非番だからな。」
柏はそれだけ言い残しフェンスをくぐって何処かに消えていく…
… … …
-円形広場-
痩せた鳩に、ホームレスに、男子、女子高生…
夏休みが始まったせいか人がやたら居るなか、金剛はベンチに座り、缶のブラック珈琲を一口で飲み干していると…
「お前が缶を持ってると、缶自体が小さく見えるな。」
嫌味声が聞こえて来た方を見ると…
「やっと来たか、何の用事だ柏?今日は非番だろ?」
「…お前、今まで何してた?」
「今まで?悠達といたが?」
「彼奴と?……何してた?」
「何って飯食ってただけだ。」
「ほぅ……じゃあ、飯食う前は何してた?」
「さっきからなんだ?何が聞きたい?」
金剛はいい加減質問攻めが嫌になってきたのか、質問の確信を聞く。
「誰と喧嘩した?」
「…」
「黙んな、俺は喧嘩した事をとやかく言うつもりはねぇ、むしろ好きにやれ、ただ…」
ガシャン…
柏はベンチのわきに何かを投げ捨てる…
「あ…」
それは、さっきまで腰に巻いていたチェーンベルト…
「お前よぉ、こいつは一個一個が玉鋼で作られた、最高クラスのチェーンだ、護身用にやったのに、気安くその辺りに捨てていくな!」
バコン!
柏は金剛の頭を一発殴る…
「痛…悪かった。」
「っぺ、俺がたまたま回収したから良かった物を…最悪お前しょぴかれてたぞ…」
柏はばつの悪い顔をして、呟く…
「?どう言う事だ?」
「…色々つもる話がある。場所変えるぞ来い。」
「…あぁ。」
やたら、真剣な顔の柏を見て金剛は質問せずに着いていく。