-夏編-シンクロニシティ(運命)
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「亮どっちに行った?」
「えーと…確か…」
二人は走りながら黒フードの姿を追うが見失い…
「あっちだよ。」
「そのまま真っ直ぐだ。」
「摩耶?!金剛!」
後ろから摩耶と金剛が走って来て追い付き
「さて、人助けも悪く無いですね。」
「氷室さんも…」
亮の横に並んだ氷室は笑って頷き。
「なら…行きますか。」
5人は更にスピードを上げて走って行く…
-無人駐車場-
「なぁ…これは追い込まれたんだよな?」
「はぁはぁはぁ………うん」
半袖のカッターシャツに黒に近い紺色のズボンでややもみ上げの髪長い短髪の男とワンピース型で袖もスカートもやたら長くて動き辛そうな白の修道服に近い物を着た淡いブルー髪の少女は追い込まれていた。
「ふぅ~、いい加減にしろよな…いつまで逃げる気だ?そろそろ大人しくしろよ?」
「……」
ダークブラウン色をした髪が肩まで伸び左右の指には指輪を3つづつ着けた男はゆっくりと二人に近付く…
「っち!この!」
「わわっ!」
男は少女の腕を掴み逃げようとしたが…
「ふぅ…舐めるなよ?」
トンッ!ダークブラウン髪の男が石を二人の間を割る様にに蹴飛ばすと…
「あぶねえ!」
バゴギリィ…
身を屈め直撃を避けたが、石の当たった後ろのフェンスは思いっきりひしゃげてしまっている…
「次は外さないぞ?」
「…あまり、力を使いたくありません。その子を大人しく渡して下さい。」
ダークブラウンの男は右手に石を持ちつつ、フードの男は後ろでそう要求する…
「…くっ」
「……ありがとうね…もぅ十分だよ。」
少女は小さく笑って前に出ようとした…
「最近の誘拐は堂々としてるな。」
「確かに、しかし、暑そうな姿だな…」
ビュバ!ズガァ!
「なっ!」「…」
ガゴン! ヒュ…
ダークブラウン髪の男は亮の横蹴りを右腕でガードしつつ横に飛び、フードの男は悠の横蹴りをタン、タン!と2ステップで避けた。
ザザッ!ザッ…!
「はぁ~い、君たち大丈夫?」
「怪我は…無いか?」
摩耶は少女を金剛は男に手を伸ばし立てらす。
「あ、アンタ達は?」
「ん~通りすがりの物達です。」
「えぅ?」
「ま、良いから逃げろ。」
金剛は余裕の様子で笑って二人を逃がそうとしたが…
ドザッ!ズザァ…
「!!」「!?」
「っ…」「お~…」
亮と悠が地面に手をつくように下がってきた。
「何だ?お前等?何処の所属だ?」
「…イレギュラー(想定外)のようですね。」
ダークブラウンと黒フードは何かをぶつぶつと言いながら向かって来る。
「悠君もしかして…」
「ひひ、ヤバイな強いぞあの二人。そこの少年!」
「え、あ!はい!」
「その子と落ち合う場所は決めてるか?」
「……あ!はい!大丈夫!」
「よし!金剛!」
「おう!少しごめんよ!」
ガシッ!
「え、えぅ?!」
悠が叫ぶと金剛は少女を肩に掛け、二人は猛スピードで走って行く!
「野郎!」
ダークブラウン髪の男は悠達を追いかけ…
「逃がしません!」
黒フードも追いかけようとしたが制服姿の男がバッと立ちふさがり。
「お前は俺が相手する。」
「遅いですよ!」
シャラ…
黒フードはまるでスケートをするかの様に男の前をターンで避け追い抜いたが…
「おっと、すいません。行かせませんよ。」
遅れて来た氷室は無理やり鉄パイプ等で駐車場の入り口を封鎖していた…
… … …
「金剛まだ走れるか?」
「余裕だ。お嬢ちゃん平気か?」
金剛は肩の上で荷物の様に背負っている少女に話し掛けると
「お、お嬢ちゃんじゃ、無いよ私は私はルネスだよ!オジサン!」
「…オジサンじゃ無い金剛だ。」
「はは!オジサンか!ちなみに俺は悠だ。」
「コンゴウにゆう?…ねぇ何で助けて…」
ルネスは碧眼の目を丸くして尋ねようとしたが…
「っち!来やがった!金剛先に行け!」
「ああ!死ぬなよ!」
「えうぅぅぅ!」
悠は急ブレーキを掛けるように止まり後ろに振り向き、金剛は横の路地に入って行きルネスは振り落とされ無いように金剛の肩を必死に掴んだ。
「さぁて!相手だこの野ろ……う?」
「貴様か、敵は…」
振り向くと…ダークブラウンの男でも黒フードの男でも無く…前髪を後に流し、背中の半ば辺りまである漆黒の様な髪で服装は真っ白なチャイナドレスでスリットは腰の辺りまである女が立っている…
「え…と?」
「邪魔をしないなら手は出さない。」
「…美人のお願いは弱いがそいつは聞けねぇな。」
ザッ!悠は構えをとる。
「なら……沈め。」
チャイナ女は後に回していた手を勢い良く前に振りだす。
「!(あの手袋は!!)」
ブォン!!!
次の瞬間悠の顔面に鉄の塊が真っ直ぐに飛んできた…
「ほぉ…避けた…か」
ググッ!パシッ!
チャイナ女は右腕を引くと手の中に鉄塊が戻って来る。
「っとと!」
悠は手袋が見えた瞬間に背面から倒れるように一回転して鉄塊を避けたのだ。
「分銅とは…古風な武器を使ってるな…」
【分銅(ぶんどう):鎖の先に鉄の塊を着け投合等に使う暗器、開発は中国と言われる。日本では分銅は使われず、似たタイプの武器は鎖の鎌等が注目される。】
「この距離で直撃を避けたのは驚きだ…」
「そりゃどうも…(指切りタイプの革手袋、十中八九投合系又はワイヤーの武器を使うと踏んだからな…)」
「けど…」
プシッ…ツー…悠のでこから血が滴る微かに分銅の先が当たって居たようだ…
「ぺろっ…やるなチャイナ女…名前は?」
悠は口元に垂れてきた血を舐めとる…
「…語る必要無し!」
ビュバン!ヒュンヒュン!
「成る程力強くで聞き出すかぁ!」
「ほぉ…」
悠は再び顔面に向けられた分銅を紙一重で避けると横の髪が一部ちぎれたが構わずにチャイナ女に向かって行き…
「がら空きだぜ!」
拳を握り腹目掛け殴りかかった。
「お前もな…」
クィ…クン!
ゴッ!!
「~~~な、がっ!」
突然頭に衝撃が走り…胃の中の空気が吐き出され思考が止まり…
「沈め…」
「~~(や…べ…)」
ゴギャ…ズダァァン…
チャイナ女はほぼ垂直に悠の顎を蹴りあげ、悠は空に浮き、頭から地面に倒れ崩れた…
「私の凛彪(りんひょう)は…縦横無尽。」
クイッ…パシッ…
チャイナ女は分銅を器用に回収すると動かない悠を端に連れていき路地に消えていく…
………
「ね、ねぇ!!」
「何だ?」
「そ、そろそろ、おろして欲しいかも!」
ルネスはだだっ子の様に手足をバタつかせ出したので金剛は走るのを止めて、ルネスを降ろしてやる。
「ふぅ…もぅ!私は荷物じゃ無いんだよ!」
「悪かったな。」
ルネスは金剛を大きく見上げてパタパタとスカートの裾を直し。
「あ、そうだ!ありがとうだよ!助けてくれて。」
「いや…まだだな…」
ミシッ…
金剛は大木の様な腕に力を込めてゆっくりと振り返り…
「ふぅん、良く気付いたな。」
「殺気を出しすぎだ。(悠を振りきったのか?)」
ダークブラウンの男は左腕を上に伸ばし…
「…窮屈な石の牢獄」
「?」
何かを呟くと同時に左手を握ると…
ガゴゴゴゴ!!
「な、なんだ!」
「……」
後ろで轟音が響き、何事かと振り向くと、ルネスが居て薄暗い路地は何も変わっていない…
「……閉じ込められたんだよ。」
「あ?……あ!」
何も変わっていないのでは無く、無くなっているたのださっきまであった奥への通路が無くなり壁になっている…
「何だこりゃ……」
「お前が知る必要無い、逃げ場は無くなった、その子を渡せ。」
コツン!ダークブラウンの男はいつの間にか鉄の棒を持っていて地面に当てる
「…」「ビクッ」
金剛は身を震わせたルネスを一度見た後…
「…逃げ場は無いか、ならお前をぶっ飛ばせば道が出来るな。」
「……後悔しろデカ物が」
男は振りかぶる様に金剛目掛け鉄の棒を投げ飛ばした。
「おっらあぁぁ!」
ガァン!ボゴォン!
「!!」
金剛は鉄の棒を蹴り落とし更にダークブラウンの男は金剛の拳が腹に直撃して大きく後ろに飛ぶ。
「は、速い!」
ルネスは思わず声をもらした。
互いの距離およそ4メートルダークブラウン髪の男は巨体の金剛が遅いとたかをくくって居たのだろうが…思った以上のスピードに受ける間もなく殴り飛ばされた。
「…鍛え方が違うんだよ。」
「…鍛え方か…奇妙な物だな。」
4,5メートル先でダークブラウンの男は仰向けに倒れたままポツリと呟く…
「やっぱりか…」
「ひゅ~、ここまでひん曲がるとわな…」
ガラン…
ダークブラウンの男は何処から出したのか鉄の棒を持っていて金剛の拳をガードしたようだ、捨てられた鉄の棒は真ん中の辺りから大きく凹みが出来て曲がっている
「…おい、2つほど聞く」
起き上がりつつ男は金剛を見て…
「お前等は機関の人間か?それとその子との関係は?」
「機関?…何の事かわからんし、ただの通りすがりだ。」
「……まぁいい、なら最後だ、俺の名前はクレイ=マチド」
「!!」
「クレイ=マチド?(ルネスと同じ外国人…)」
「名乗った意味は…わかるな?」
「あん?」
クレイの言葉はどうやらルネスへ向けられた物らしく…
「コンゴウ逃げて…」
ルネスは何故か身体を震わせている…
「…ここで逃げたらな、仲間にもルネスの兄ちゃんにも顔向けできねぇよ」
金剛は臆せずクレイに向かって行く
「なら…足掻いてみろ。」
ビュ!ビュ!ビュ!
クレイは3本ほど4㎝前後の釘の様な物を投げたが
「何の冗談だ!」
ナイフならまだしもたかが釘、金剛は左拳で叩き落とすつもりだったが…
「冷徹な杭は迷いを捨てる(ニールドスタンプ)!」
ググッ…
叩き落とそうとした釘はまるで膨張した風船の様に膨れみるみる大きなり…
「!?」
スバッ!ぶちゃ…
赤い鮮血が地面に飛び散る…
………
「……っ痛(油断したな…)」
チャイナ女はわざと避けれる様に直線的に分銅を飛ばし、悠を近距離まで誘い。分銅は電柱を支点に180°軌道を変えて悠の後頭部に当てたのだ。
「まともに当たってたら…起きれなかったかも…」
悠は左手を見ると中指の第一関節から第二関節まで紫色に腫れている、チャイナ女は気が付かなかったが紙一重で当たる瞬間に左手で分銅の直撃を防いだが衝撃は殺し切れずに顎の蹴りも防げなかった、しかし、それが致命傷を避けた結果に繋がったのだ。
「良い女だったし……さぁて…再戦(リベンジ)だ!」
悠は飛び起きて路地に向かって二人の後を追う。
「えーと…確か…」
二人は走りながら黒フードの姿を追うが見失い…
「あっちだよ。」
「そのまま真っ直ぐだ。」
「摩耶?!金剛!」
後ろから摩耶と金剛が走って来て追い付き
「さて、人助けも悪く無いですね。」
「氷室さんも…」
亮の横に並んだ氷室は笑って頷き。
「なら…行きますか。」
5人は更にスピードを上げて走って行く…
-無人駐車場-
「なぁ…これは追い込まれたんだよな?」
「はぁはぁはぁ………うん」
半袖のカッターシャツに黒に近い紺色のズボンでややもみ上げの髪長い短髪の男とワンピース型で袖もスカートもやたら長くて動き辛そうな白の修道服に近い物を着た淡いブルー髪の少女は追い込まれていた。
「ふぅ~、いい加減にしろよな…いつまで逃げる気だ?そろそろ大人しくしろよ?」
「……」
ダークブラウン色をした髪が肩まで伸び左右の指には指輪を3つづつ着けた男はゆっくりと二人に近付く…
「っち!この!」
「わわっ!」
男は少女の腕を掴み逃げようとしたが…
「ふぅ…舐めるなよ?」
トンッ!ダークブラウン髪の男が石を二人の間を割る様にに蹴飛ばすと…
「あぶねえ!」
バゴギリィ…
身を屈め直撃を避けたが、石の当たった後ろのフェンスは思いっきりひしゃげてしまっている…
「次は外さないぞ?」
「…あまり、力を使いたくありません。その子を大人しく渡して下さい。」
ダークブラウンの男は右手に石を持ちつつ、フードの男は後ろでそう要求する…
「…くっ」
「……ありがとうね…もぅ十分だよ。」
少女は小さく笑って前に出ようとした…
「最近の誘拐は堂々としてるな。」
「確かに、しかし、暑そうな姿だな…」
ビュバ!ズガァ!
「なっ!」「…」
ガゴン! ヒュ…
ダークブラウン髪の男は亮の横蹴りを右腕でガードしつつ横に飛び、フードの男は悠の横蹴りをタン、タン!と2ステップで避けた。
ザザッ!ザッ…!
「はぁ~い、君たち大丈夫?」
「怪我は…無いか?」
摩耶は少女を金剛は男に手を伸ばし立てらす。
「あ、アンタ達は?」
「ん~通りすがりの物達です。」
「えぅ?」
「ま、良いから逃げろ。」
金剛は余裕の様子で笑って二人を逃がそうとしたが…
ドザッ!ズザァ…
「!!」「!?」
「っ…」「お~…」
亮と悠が地面に手をつくように下がってきた。
「何だ?お前等?何処の所属だ?」
「…イレギュラー(想定外)のようですね。」
ダークブラウンと黒フードは何かをぶつぶつと言いながら向かって来る。
「悠君もしかして…」
「ひひ、ヤバイな強いぞあの二人。そこの少年!」
「え、あ!はい!」
「その子と落ち合う場所は決めてるか?」
「……あ!はい!大丈夫!」
「よし!金剛!」
「おう!少しごめんよ!」
ガシッ!
「え、えぅ?!」
悠が叫ぶと金剛は少女を肩に掛け、二人は猛スピードで走って行く!
「野郎!」
ダークブラウン髪の男は悠達を追いかけ…
「逃がしません!」
黒フードも追いかけようとしたが制服姿の男がバッと立ちふさがり。
「お前は俺が相手する。」
「遅いですよ!」
シャラ…
黒フードはまるでスケートをするかの様に男の前をターンで避け追い抜いたが…
「おっと、すいません。行かせませんよ。」
遅れて来た氷室は無理やり鉄パイプ等で駐車場の入り口を封鎖していた…
… … …
「金剛まだ走れるか?」
「余裕だ。お嬢ちゃん平気か?」
金剛は肩の上で荷物の様に背負っている少女に話し掛けると
「お、お嬢ちゃんじゃ、無いよ私は私はルネスだよ!オジサン!」
「…オジサンじゃ無い金剛だ。」
「はは!オジサンか!ちなみに俺は悠だ。」
「コンゴウにゆう?…ねぇ何で助けて…」
ルネスは碧眼の目を丸くして尋ねようとしたが…
「っち!来やがった!金剛先に行け!」
「ああ!死ぬなよ!」
「えうぅぅぅ!」
悠は急ブレーキを掛けるように止まり後ろに振り向き、金剛は横の路地に入って行きルネスは振り落とされ無いように金剛の肩を必死に掴んだ。
「さぁて!相手だこの野ろ……う?」
「貴様か、敵は…」
振り向くと…ダークブラウンの男でも黒フードの男でも無く…前髪を後に流し、背中の半ば辺りまである漆黒の様な髪で服装は真っ白なチャイナドレスでスリットは腰の辺りまである女が立っている…
「え…と?」
「邪魔をしないなら手は出さない。」
「…美人のお願いは弱いがそいつは聞けねぇな。」
ザッ!悠は構えをとる。
「なら……沈め。」
チャイナ女は後に回していた手を勢い良く前に振りだす。
「!(あの手袋は!!)」
ブォン!!!
次の瞬間悠の顔面に鉄の塊が真っ直ぐに飛んできた…
「ほぉ…避けた…か」
ググッ!パシッ!
チャイナ女は右腕を引くと手の中に鉄塊が戻って来る。
「っとと!」
悠は手袋が見えた瞬間に背面から倒れるように一回転して鉄塊を避けたのだ。
「分銅とは…古風な武器を使ってるな…」
【分銅(ぶんどう):鎖の先に鉄の塊を着け投合等に使う暗器、開発は中国と言われる。日本では分銅は使われず、似たタイプの武器は鎖の鎌等が注目される。】
「この距離で直撃を避けたのは驚きだ…」
「そりゃどうも…(指切りタイプの革手袋、十中八九投合系又はワイヤーの武器を使うと踏んだからな…)」
「けど…」
プシッ…ツー…悠のでこから血が滴る微かに分銅の先が当たって居たようだ…
「ぺろっ…やるなチャイナ女…名前は?」
悠は口元に垂れてきた血を舐めとる…
「…語る必要無し!」
ビュバン!ヒュンヒュン!
「成る程力強くで聞き出すかぁ!」
「ほぉ…」
悠は再び顔面に向けられた分銅を紙一重で避けると横の髪が一部ちぎれたが構わずにチャイナ女に向かって行き…
「がら空きだぜ!」
拳を握り腹目掛け殴りかかった。
「お前もな…」
クィ…クン!
ゴッ!!
「~~~な、がっ!」
突然頭に衝撃が走り…胃の中の空気が吐き出され思考が止まり…
「沈め…」
「~~(や…べ…)」
ゴギャ…ズダァァン…
チャイナ女はほぼ垂直に悠の顎を蹴りあげ、悠は空に浮き、頭から地面に倒れ崩れた…
「私の凛彪(りんひょう)は…縦横無尽。」
クイッ…パシッ…
チャイナ女は分銅を器用に回収すると動かない悠を端に連れていき路地に消えていく…
………
「ね、ねぇ!!」
「何だ?」
「そ、そろそろ、おろして欲しいかも!」
ルネスはだだっ子の様に手足をバタつかせ出したので金剛は走るのを止めて、ルネスを降ろしてやる。
「ふぅ…もぅ!私は荷物じゃ無いんだよ!」
「悪かったな。」
ルネスは金剛を大きく見上げてパタパタとスカートの裾を直し。
「あ、そうだ!ありがとうだよ!助けてくれて。」
「いや…まだだな…」
ミシッ…
金剛は大木の様な腕に力を込めてゆっくりと振り返り…
「ふぅん、良く気付いたな。」
「殺気を出しすぎだ。(悠を振りきったのか?)」
ダークブラウンの男は左腕を上に伸ばし…
「…窮屈な石の牢獄」
「?」
何かを呟くと同時に左手を握ると…
ガゴゴゴゴ!!
「な、なんだ!」
「……」
後ろで轟音が響き、何事かと振り向くと、ルネスが居て薄暗い路地は何も変わっていない…
「……閉じ込められたんだよ。」
「あ?……あ!」
何も変わっていないのでは無く、無くなっているたのださっきまであった奥への通路が無くなり壁になっている…
「何だこりゃ……」
「お前が知る必要無い、逃げ場は無くなった、その子を渡せ。」
コツン!ダークブラウンの男はいつの間にか鉄の棒を持っていて地面に当てる
「…」「ビクッ」
金剛は身を震わせたルネスを一度見た後…
「…逃げ場は無いか、ならお前をぶっ飛ばせば道が出来るな。」
「……後悔しろデカ物が」
男は振りかぶる様に金剛目掛け鉄の棒を投げ飛ばした。
「おっらあぁぁ!」
ガァン!ボゴォン!
「!!」
金剛は鉄の棒を蹴り落とし更にダークブラウンの男は金剛の拳が腹に直撃して大きく後ろに飛ぶ。
「は、速い!」
ルネスは思わず声をもらした。
互いの距離およそ4メートルダークブラウン髪の男は巨体の金剛が遅いとたかをくくって居たのだろうが…思った以上のスピードに受ける間もなく殴り飛ばされた。
「…鍛え方が違うんだよ。」
「…鍛え方か…奇妙な物だな。」
4,5メートル先でダークブラウンの男は仰向けに倒れたままポツリと呟く…
「やっぱりか…」
「ひゅ~、ここまでひん曲がるとわな…」
ガラン…
ダークブラウンの男は何処から出したのか鉄の棒を持っていて金剛の拳をガードしたようだ、捨てられた鉄の棒は真ん中の辺りから大きく凹みが出来て曲がっている
「…おい、2つほど聞く」
起き上がりつつ男は金剛を見て…
「お前等は機関の人間か?それとその子との関係は?」
「機関?…何の事かわからんし、ただの通りすがりだ。」
「……まぁいい、なら最後だ、俺の名前はクレイ=マチド」
「!!」
「クレイ=マチド?(ルネスと同じ外国人…)」
「名乗った意味は…わかるな?」
「あん?」
クレイの言葉はどうやらルネスへ向けられた物らしく…
「コンゴウ逃げて…」
ルネスは何故か身体を震わせている…
「…ここで逃げたらな、仲間にもルネスの兄ちゃんにも顔向けできねぇよ」
金剛は臆せずクレイに向かって行く
「なら…足掻いてみろ。」
ビュ!ビュ!ビュ!
クレイは3本ほど4㎝前後の釘の様な物を投げたが
「何の冗談だ!」
ナイフならまだしもたかが釘、金剛は左拳で叩き落とすつもりだったが…
「冷徹な杭は迷いを捨てる(ニールドスタンプ)!」
ググッ…
叩き落とそうとした釘はまるで膨張した風船の様に膨れみるみる大きなり…
「!?」
スバッ!ぶちゃ…
赤い鮮血が地面に飛び散る…
………
「……っ痛(油断したな…)」
チャイナ女はわざと避けれる様に直線的に分銅を飛ばし、悠を近距離まで誘い。分銅は電柱を支点に180°軌道を変えて悠の後頭部に当てたのだ。
「まともに当たってたら…起きれなかったかも…」
悠は左手を見ると中指の第一関節から第二関節まで紫色に腫れている、チャイナ女は気が付かなかったが紙一重で当たる瞬間に左手で分銅の直撃を防いだが衝撃は殺し切れずに顎の蹴りも防げなかった、しかし、それが致命傷を避けた結果に繋がったのだ。
「良い女だったし……さぁて…再戦(リベンジ)だ!」
悠は飛び起きて路地に向かって二人の後を追う。