-道場-

「………ダメだな」

木偶は粉々に壊れ、腕には幾つも木片が突きさっている…

「ふん！」

ブンっと腕を振り下ろし腕から木片を飛び散らし…

「今日は終了だな…」

道場から出ようと悠は扉に手を掛けようとすると

ガラァ！
先に扉が開き

「ここにおったんや！」

海達がパジャマ姿で入って来て

「よぉ、湯加減どうだった？」

「ひ、ひろ、広くて気持ち良かったです。」

「…ｺｸｺｸ…」

「それは良かった、じゃ早く寝ろよ明日起きられないぞ。」

「わかっとるって、明日の事いうたら寝るて。」

「明日の事？」

「あ、あの…出来れば…そのぉ…」

星凪は何かを言いたそうにモジモジする。

「あーもー、うちが言うて！あんな、朝コンビニよってほしいねん。」

「コンビニ？朝飯なら作るぞ？」

「…ちがう…」

「え？」

「いや、明日うちらほんまは弁当の日、なんやけど空ねぇ忙しいから負担かけとうないねん。」

「そ、空お姉さんはお仕事しつつ私達の事を見てくれてますから…」

「…あさは、ねさしてあげたい…」

三人は「ねー」っと顔を見合せて笑う。

「お前ら…」

どういう事情かは分からないがちび共は夏樹空が世話していて、こいつらは小さい事でも手間を掛けさせ無いように頑張っているのだ…

「…(ったく、ガキ扱いできねぇな)わかった。」

「おおきに！##NAME3##流石うちの相方や！」

「…ペコッ…」

「あ、あり、ありがとうございます！」

「礼は良いから早く寝ろ。本気で起きられないぞ？」
悠は１人１人の頭を優しく撫でていく。

「わかった！ほな、おやすみ！」

「お、おやすみなさい」

「…おやすみ…」

「あぁ…おやすみ。」

三人が休みに部屋に向かった後…

「…11時前か、とりあえず風呂入ろ」

悠は汗を流すため風呂に向かった

… … …

-男湯-

「ふぃ～…風呂は命の洗濯だな…」

爺臭い事を言いながら顔にタオルをのせ目を閉じる…
「…すぅ…すぅ…」

………

-？？？-

「(…ん？真っ暗…ってまたか！)」

昼と同じ夢だ…

「(って事は今風呂で寝てるのか俺…)」

妙な夢よりも風呂で寝ている自分の体が心配だが…

「ﾋｯｸ…ﾋｯｸ…」

「(あ、やっぱり同じか…)」

「ﾋｯｸ…ﾋｯｸ…」

少年は三角座りで泣き続けている…

「(おい、何で？泣いてるだ？)」

聞こえるのか聞こえないのか解らないがとりあえず声を掛けてみると…

「ﾋｯｸ…え？」

「(あ、え？)」

………

バシャッアン…

「(！？)がぼぼ！」

気が付くと湯船に沈んでいて…

「がはがは…アブねえ…」
危うく命の洗濯処か洗い流しかけてしまった…

………

-台所-

風呂から上がった後、すぐに台所に行き

「う～…喉がからからだ…(妙な夢は見るし…)」

よ～っく冷えた麦茶を冷蔵庫から取りだし…

「ﾝｸﾞﾝｸﾞ……ぷはっぁ！」
鍛練中から一切水分を取って無かったため最高に美味い…が…上半身裸で頭にタオル姿は紛れも無くオッサンだ…

「さぁて…何か有ったかな。」

頭をワシワシと拭きつつ冷蔵庫の中を物色し…

………

「ふぁ～あ…結局3時だし…もぅソファーで寝よ」

悠はソファーで寝ることにした…

………

…次の日

-大広間-

ザッザッ…シャシャ…カチャカチャ…トントン…

台所から小粋な音といい香りが広がっていき…

「おはようございます。」
「…おはよう…」

「…うー…ねむぃ…」

ちび共がぞろぞろと起きてきたが海は翡翠と星凪に引っ張られて居る…

「お～、おはよ…って若干一名起きてるのか？」

「海ちゃん、朝はいつもこうですから。」

「…ていけつあつ？…」

「うにゅ…」

「いや、これはどう見ても夜起きてたパターンだろ…」

悠は朝食を並べていく。

「いただきます。」
「…いただきます…」
「むにゃむにゃ…」

「ほれ、シャキッとしろ。」

ピト…
「ふゃー！」

キンキンに冷えたお茶を海の頬に押し付けて目を覚まさしてやった。

「ちょっと着替えて来るから飯食ってろな。」

俺は二階に行き制服に着替えて準備を終えた時には丁度良い時間になっていた。
「おし…じゃ行くか」

「おし…ほな行くで！」

海が俺の真似をする…

「えらく元気になったな…」

「目覚めたらこんなもんや！」

「そうか…車出すから先に外出ててくれ。」

「「は～い。」」「…ｺｸ…」

………

-車内-

「次は？」

「そこ左で後は真っ直ぐや。」

「OK。ふぁぁ～…(睡眠時間2時間はきつかったか…)」

ハンドルをきりつつあくびをする…

「…ねむい？…」

「平気平気。」

助手席で翡翠が首を傾げる。

「あ、そこにコンビニあるから止まってな。」

「あ～、その事だがこれ…」

悠は後にいる海に布袋を渡す。

「？何これ？」

「弁当。3人分入れてある。」

「え！」

「ほ、本当ですか？」

「まぁ…コンビニ弁当よりは美味いはずだから…」

「…ありがとう…」

「はは、このぐっ？！」

グィイィ…
悠は後ろから腕が首に周り絞められる…

「##NAME3##ありがとな～めっちゃ嬉しいで！」

「う、海分かったから離せ…」

「う、海ちゃん、首絞まってるよ！首！」

その後何とか無事に送り届け、俺は学校に向かった…