「腕に力を…」

「伸ばしてか？」

「はい。」

ぎゅ…
言われた通りに腕を横に伸ばして力をいれる…

「ふむ…」

グッ…グッ…
柳は手首から肩の方まで念入りに圧していく…

「ｸｼｭﾝ！柳少し寒いんだけど…」

「ほっほほ、では、次は後ろに向いてくだされ。」

あ、この人、話聞いてないや…

「…」

終わるまで無駄だと悟り悠はクルリっと背中を柳に向けると…

「##NAME3##、服きとったらわからんけど、脱いだらええからだやな。」

海、星凪、翡翠はﾊﾞﾛﾝ達を離していて、俺の方を見ている。

「おぅ、俺は脱いだら凄いのだ。」

「ほほぉ～、ほなさぞかし凄いモノもっとるんやな～」

海は視線をしたに向けて笑う。

「？」「…？…」

「小学生がリアルな下ネタを言うな。」

「ふふん、さてはお子さまｻｲｽﾞなんやな？」

「言っただろ、俺は脱いだら凄いって。」

「？？」「…？？…」

星凪と翡翠はついていけず俺と海が多少下品な話をしていると…

「ほい、終わりましたぞ！」

パァアァン！！

「痛ってえぇぇぇ！？」

柳に背中の中央をおもいっきり叩かれソファーから転げ落ち

「ｵｰﾊﾞｰﾄﾚｰﾆﾝｸﾞが過ぎてますな、筋肉疲労が起きかけですぞ。」

「ん？あぁ…」

気のない返事を返すと

「…後何か、無茶な動きや変な動きをしませんでしたか？」

「あん？」

「いえ、普通痛めない様な筋肉が張っていましたので…」

「いや…特には(もしかして、あの解放技が身体に負荷をかけてるのか？)」

「ふむ、なら良いのですが…」

柳は何かをメモりつつ出した物を片付けていく…

「それより！いきなり背中叩くなよ！」

「ほっほほ、さて目を見ますかな。」

また聞いてねぇし…

「…どうだ？」

眼帯外して少し目を開く…
「失礼…」

ｸﾘｸﾘ…ｸﾘｸﾘ…
柳は瞼の上から軽く眼球を圧し…

「定着したようですな、もう眼帯を取っても平気でしょう。」

「そうか…なら、翡翠ちゃん、約束どうりこっちも見せるぜ。」

「…ｺｸｺｸ…」

そう言うと翡翠は近寄って来て…
ふぁさ…
両手で前髪を分けて顔を覗いてくる。

「はは、ほら…」

ﾊﾟﾁﾘ…
久々に右目を開眼させ…

「…とってもきれい…」

「はは、ありがと。」

ワシワシ…
翡翠の頭を撫でていると

「何？何？うちにも見せて～！」

海が翡翠と俺の間に入ってきて、かなり近い距離で俺の顔を見る

「近いな…ほれ、分かるか？」

「ん？あ！目の色がちゃう！」

「ああ、母親ゆずりでな。」

「ふ～ん…」

マジマジと海は見つめてきて…

「……ん～」

「おま、何を！」

「…！…」

海が顔を更に近づけて来たので、でこぴんを仕掛けようとしたが

グィィィ！

「ぐぇっ！ス、スイ～」

翡翠が海の首に腕を回して、絞めて海の暴挙は停止する。

「ふぅ…ナイス、翡翠ちゃん」

「な、なんでや…ただのあ、挨拶やん…ぐぇぇ！」

「ここは日本だ、その手の挨拶はアメリカでやれ。」

「あわわ！」

星凪はどう止めに入ろうかオロオロしている…

「楽しそうな所じゃがわしは帰るとするかの。」

「じゃ、送ろうか？」

「ほっほほ、折角ですが轟の顔を見ていくつもりですから大丈夫じゃ。」

「そか……って待て、ちびどもは？」

「お任せしますぞ。」

「待て！お任せしますぞ。じゃねー！こっちは既にクタクタなんだぞ！」

「ご安心なされ、この子らの通う学校はここから近いですから。」

「それで何をどう安心しろと…」

「朝は7時に起きれば十二分に送れますぞ。」

「成る程じゃねー！朝7時だ？！今8時過ぎに起きるのにもギリなんだぞ！」

「ではお任せしましたぞ。」

聞いてない…この爺全然話し聞いてねぇよ…

「では…」

柳はさっさと出ていってしまった…

「あ、柳！……はぁ、おい、ちびっこ共、送ってやるか……」

振り向くと…

「明日の授業なんやった？」

「え、えと、算数と…」

「…ごそごそ…」

「お前ら…」

ちび共は明日の準備を始めてやがってる…

「オイこら、3ちび、送ってやるから帰れや。」

「えぇ～面倒やからいやや！」

「はぁ…じゃあいくつか聞くお前ら飯は？」

「ご、ご心配なく、食べて来ました。」

「……着替えは？」

「…ある…」

「………はぁ…もういいや…風呂は入れとくから勝手に入ってくれ、部屋はそこな。」

すべてを諦めた…