－大広間－

「そうだ…壊血病だ」

「何の冗談だ、癌ならともかく壊血病何か今の医学ならビタミン投与で治るはずだろ…」

悠は微妙な顔をする。

「確かに普通はそうだ…だが紅葉は普通じゃ無かった…いや、言い方が良くないな…」

「回りくどく言うな、答えろ！」

悠は口を尖らせる。

「快復能力…」

「あん？」

「快復能力はﾋﾞﾀﾐﾝ、血中ヘモグロビンを常人の数倍機能、循環させ、傷口の凝固、皮膜の再生を行う。」

兜馬はたんたんと説明する。

「…知ってる、だから俺は傷の快復が早い。」

「そうだ…お前は紅葉と違い完成した快復能力を持って居るからな…」

兜馬は深く息を吐きソファーにもたれる。

「母さんと違って完成した？」

悠は何の事だっと言う顔をする。

「紅葉も持っていたんだ…快復能力を…ただ…不完全な…」

「…」

「お前と違って紅葉の場合はﾋﾞﾀﾐﾝを消費し続けて終ったんだ」

「！？」

「例え一時的に傷が塞がっても…」

「もぉ…いい…解った…」

悠は理解した…壊血病はﾋﾞﾀﾐﾝが不足することにより血管の劣化、歯茎からの出血、鈍痛、創傷の快復低下、古傷の開き…それを治そうと母さんの身体は快復をしてしまうがﾋﾞﾀﾐﾝの消費…まさに悪循環…

「……何故…母さんの死を…隠した。」

「…それは…」

兜馬は顔色を悪くする…

「言えよ…ここまで言ったんだろ…」

「紅葉から…頼まれた…」

「あん？」

「私が死んだら…悠には知らせないでっと…」

「母さん…が？」

－空き地－

「「「……」」」

皆は押し黙り悠の会話を確りと聞く…

「…悠今どんな気持ち何だろう…」

「知らないわよ…」

こなたは困ったような顔をする。

「紅葉さんねぇ…」
「紅葉さんか…」

千草と柏は顔をしかめる。

「二人ともどうした？」

「ん…いや…紅葉さんてさ…その…」

「何っーか…そう言う人じゃねーんだけどなぁ？…」
「うん…」

柏と千草は頷き合う

「「？？」」



－大広間－

「…母さん何て言ってた？」

「…」

兜馬は黙ってしまう。

「うん、まぁ、大体予想が出来るけど…一応聞かせくれ…」

「…はぁ……あの時…」



～病院～

「身体の調子はどうだ？」

「あ、兜馬～♪ん～良くは無いわね、悠ちゃん元気？」

紅葉は読んでいた小説を枕元に置く。

「ああ…顔を会わす度に喧嘩だ…」

「あはは、約束守ってくれてるんだ。」

「ああ悠には知らせて無い…」

兜馬は椅子にかける。

「ごめんね～、流石にこんなに痩せてちゃ心配かけるから…やっぱり会うときは元気になって美人で会わないとね♪」

紅葉は笑顔で答える。

「十分…紅葉は魅力的だ今も…」

「え～何よ急に？」

「…」

「ふふ、嬉しいわよ？けど1万年と2千年前から愛してるって言ってくれた方が私は嬉しいわ。」

「それは…何だ？」

「そう言う歌詞があるのよ、１万年と2千年前から愛してる～♪」

紅葉は楽しそうに歌う。

「また、アニメか？」

「ふふ、悠ちゃんもアニメ好きになってくれたし。」

「あまり、オタク過ぎるのもどうかと思うがな…」

兜馬は呆れつつも笑う。

「ねぇ…兜馬…」

「何だ？」

「多分、私もう長く無いわ」

紅葉は静かに呟く

「…そんな事を言うな…」

「ごめんね…けど自分の事は自分が良く解るの…だからお願い聞いてくれない？」

「…」

「団長命令！」

「はは、解った何だ…？」

「私が死んじゃったら、悠ちゃんには黙っててあげて…それにお葬式とかもいいから…」

「それで？」

「後は…お墓は…うん海が見える山とかがいいかな？」

「解った解ったから…」

兜馬は紅葉を抱いて…

「兜馬…」

「死ぬ…何て言わないで…くれ…生きて……くれ…悠のために私のためにも…」

「うん…頑張るよ…」

静かに泣く兜馬を紅葉は優しく撫でていた…