ー公園ー
PM4時頃

ニュースで雨は5時過ぎに降ると言っていた。

「早めに買い物に出たのに・・・」
彼女は１人呟く

空は暗雲に覆われて、雨はすでに本降りになっている。

「傘持ってくるんだった・・・」
彼女は小さくため息を吐く。

公園の遊具は雨に濡れ、彼女は屋根付のベンチで雨をしのいでいる。

「ワン」

ふと、犬の声が聴こえて顔を上げる。そこには大きな黒い犬がカッパを身に付けて歩いてくる。

「ハッハッハ」
そのこは私の側にくる。

「君は迷子かな？」
私はそのこに声をかける。
「ワン」
犬は短く吠えると滑り台の裏をしきりに見ている。

「そこに、何かあるの？」私がそのこの頭を撫でながら尋ねていると。

「バロン何処だ～？」

人の声がして振り返るそこには、全身ずぶ濡れで上は黒の長袖で龍の刺繍あるＴシャツ下は迷彩柄のズボン手には畳んだ傘を持った、男の子が歩いてくる。

「ワォン」
すると犬がその男の人に向かって吠える。

「バロン、ここか？」
「ワン」

「バロン」このこの名前はバロンと言うのだろう。

「ん？」

男の子と目が合う

「ペコッ」
私はお辞儀をした。

「こんにちは。雨宿りですか？」
男の子は屋根には入らず尋ねてくる。

「はい、急に降って来て、それより、あの風邪ひきますよ？」

「ああ、気にしないで下さい。俺、雨が好きなんですよ」

多少ちぐはぐな会話をしていると。

「ワンワン」
バロンが吠える。

「ああそうだったな、バロンどこにいるんだ？」

男の人がそう言うとバロンは滑り台の所まで走る。

「そこか・・・」

男の人も滑り台まで行き。
「よいしょっと」

滑り台の下から箱を拾い上げる。

「それ？なんですか？」
私は尋ねる。
すると男の子が初めて屋根の下にに入り

「これだよ」

箱の中を見せてくれる。

「にゃぁ」「みぃ」
仔猫が二匹入っている。

「捨てられたらしくてね。バロンが見つけて教えてくれたんだ。」

そう言いながら男の子は髪を掻き分けて仔猫を見つめる。

「バロン君が・・・ですか？(不思議な目)」

私は控え目に尋ねる。

「ふふ、喋って教える訳じゃないよ？餌の時や散歩の時、普段と違う行動を取ったりして教えてくれるんだよ賢い犬だからね。あと変わった目だろ？」

心の中を見透かされた。

「い、いえ綺麗な目ですね金と青なんて」
ドキリとしてしまう。


「さて、帰るよバロン、この子達は任したよ。」

そう言ってバロンのカッパの中に仔猫を詰める。

「ワン」

バロンが私の方を見て男の子に吠える。

「そうだな。君、はいこれ使って。」

傘を差し出される。

「えっ！？」
突然の事に声が漏れる。

「遠慮しなくていい、俺の家はここから近いしもう少し雨に打たれたいからね」
「けど・・・」

「そうしないと、バロンが帰ってくれないんだよ」

バロンは私の事を見ている。

「ありがとうございます。バロンもありがとう」

傘を受けとる。
するとバロンは移動しだす。

「じゃあ。気をつけて」

そう言って男の子はバロンの後を追って帰って行く。
私も傘をさして家に帰る。
「あっ、名前聞くのわすれた・・・」




ー小鳥遊 悠家ー

「ふぅ、雨はいいな。バロン素敵な家族が増えたし。」

「ワン」

仔猫をタオルで拭きながら
「名前決めないとな・・・よし「マキ」と「マハ」だ」

「みゃあ」 「みぃ」

仔猫は答える用に小さく鳴く。