knkm短編
変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「名前さん、この資料ってどこにあったっけ?」
「名前さん、次のプレゼンさぁー」
「そういえば名前さん、明日子さんがね」
最近やたらと同期の杉元君が話しかけてくる。同じプロジェクトに部署を跨いで彼が抜擢されてから、やけにだ。
同期の杉元君とは、入社して以来別の部署に配属されて接点が無かった…と思う。社内の廊下やエレベーターで一緒になった時に軽く挨拶したり、業務の内容について少し話すくらいだった。ほら今も。
「ねぇ名前さん、聞いてる?」
「あ、あぁ、うん。聞いてるよ、明日子ちゃんが今日仕事終わった後飲み会やろうって話だよね?」
「そうそう、名前さんも一緒にどう?」
「うーん、予定は空いてるけど…。」
正直なところ、明日子ちゃんが共通の友だちって言うだけで、杉元君の周りと私は殆ど繋がりがないのだ。ただ、お酒はとても飲みたい。出来れば明日子ちゃんとだけで。明日子ちゃんが私の酒好きという点を明かしてなければ、断れ、
「明日子さんから、名前さんお酒好きだって聞いたから、どうかなって思ってさ。仲良くなるきっかけ!ね?」
「…じゃあ、参加しようかな?」
負けました。
***
「うへぇ〜…ぃ…飲んでるかぁスギモトぉ!」
「シライシくっさ!近寄んな!」
「杉元もたまに同じにおいがするぞ」
「ええ〜?明日子さん本当ぉ?気をつけてるんだけどなぁ…」
賑やかにしている三人をちらちら見る。なんだか気まずいなあ、と思いながら枝豆を摘んで酒をぐいっと飲んだ私に白石クンが声を掛けてきた。
「名前さん顔色も全然変わんないじゃん!お酒強〜い!」
「あんまり顔に出ないんですよ。」
「そうだな、私と一緒に飲んでる時もフラフラしてたりした事はないな」
「へえ…凄いね名前さん」
あまり褒められる内に入らない事だと思うが、受け取っておくことにした。
暫く飲み続けて店を後にすると、0次会をしていたと言う白石クンは早々にタクシーへと乗せられ撤退していき、明日子ちゃんは「明日は早めの出社だから帰る」と駅へと向かった。二人、取り残された。
「名前さん、お家どっち?」
「△△町の方だよ」
「あぁ、じゃあ歩いて帰れるんだ。俺もそっち方面だから送ってくよ。」
「え?ううん、あまり酔ってないし、一人で帰れるから大丈夫だよ」
「だぁめ!酔ってる酔ってないじゃなくて、こんな夜更けに女の子一人で歩かせられないよ」
そう言われ、私の手を取った杉元君。彼は屈んで、私の高さに目線を合わせながら言う。
「名前さん、可愛いからさ、知らない男に襲われちゃうかも知れないし。」
「いや、そんな事…」
「ある!」
だって俺が食べちゃいたいんだもん、と彼はその男らしい眉を下げ、潤んだ瞳で、私を射抜くのだ。
***
がっつき系杉元。絆されたいです。
22.04.20
「名前さん、次のプレゼンさぁー」
「そういえば名前さん、明日子さんがね」
最近やたらと同期の杉元君が話しかけてくる。同じプロジェクトに部署を跨いで彼が抜擢されてから、やけにだ。
同期の杉元君とは、入社して以来別の部署に配属されて接点が無かった…と思う。社内の廊下やエレベーターで一緒になった時に軽く挨拶したり、業務の内容について少し話すくらいだった。ほら今も。
「ねぇ名前さん、聞いてる?」
「あ、あぁ、うん。聞いてるよ、明日子ちゃんが今日仕事終わった後飲み会やろうって話だよね?」
「そうそう、名前さんも一緒にどう?」
「うーん、予定は空いてるけど…。」
正直なところ、明日子ちゃんが共通の友だちって言うだけで、杉元君の周りと私は殆ど繋がりがないのだ。ただ、お酒はとても飲みたい。出来れば明日子ちゃんとだけで。明日子ちゃんが私の酒好きという点を明かしてなければ、断れ、
「明日子さんから、名前さんお酒好きだって聞いたから、どうかなって思ってさ。仲良くなるきっかけ!ね?」
「…じゃあ、参加しようかな?」
負けました。
***
「うへぇ〜…ぃ…飲んでるかぁスギモトぉ!」
「シライシくっさ!近寄んな!」
「杉元もたまに同じにおいがするぞ」
「ええ〜?明日子さん本当ぉ?気をつけてるんだけどなぁ…」
賑やかにしている三人をちらちら見る。なんだか気まずいなあ、と思いながら枝豆を摘んで酒をぐいっと飲んだ私に白石クンが声を掛けてきた。
「名前さん顔色も全然変わんないじゃん!お酒強〜い!」
「あんまり顔に出ないんですよ。」
「そうだな、私と一緒に飲んでる時もフラフラしてたりした事はないな」
「へえ…凄いね名前さん」
あまり褒められる内に入らない事だと思うが、受け取っておくことにした。
暫く飲み続けて店を後にすると、0次会をしていたと言う白石クンは早々にタクシーへと乗せられ撤退していき、明日子ちゃんは「明日は早めの出社だから帰る」と駅へと向かった。二人、取り残された。
「名前さん、お家どっち?」
「△△町の方だよ」
「あぁ、じゃあ歩いて帰れるんだ。俺もそっち方面だから送ってくよ。」
「え?ううん、あまり酔ってないし、一人で帰れるから大丈夫だよ」
「だぁめ!酔ってる酔ってないじゃなくて、こんな夜更けに女の子一人で歩かせられないよ」
そう言われ、私の手を取った杉元君。彼は屈んで、私の高さに目線を合わせながら言う。
「名前さん、可愛いからさ、知らない男に襲われちゃうかも知れないし。」
「いや、そんな事…」
「ある!」
だって俺が食べちゃいたいんだもん、と彼はその男らしい眉を下げ、潤んだ瞳で、私を射抜くのだ。
***
がっつき系杉元。絆されたいです。
22.04.20