knkm短編
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鯉登音之進は私の許婚である。彼とは互いに物心ついた時から一緒に居た、という認識があるので世間一般で言う幼馴染なのだろう。彼のお父様と私のお父様が、酒の席の勢いで交わした許婚の約束だが、私も彼も特に反論もせず受け入れた。寧ろそうなるべきだと互いに感じていたのだと思う。
彼が士官学校へ行くのは、彼のお父様の立場を考えると当然の事だった。きっと立派にお国の為に努める海軍将校となるのだろうと、そう思っていた。
「おいは陸軍に入っ。もう決めたんじゃ」
誰が、何がそうさせたのだろうか。聞けば配属志望は北海道だと言う。
「なんで北海道と!?せめて東京にしてほしか…っ」
「おいん目標、いや、憧れとなっしが北海道におっち聞いた。」
憧れ。しっかりと此方の目を見て告げる彼の表情は真剣だった。皆と集まり剣を振るう彼の太刀筋の様に、その思いは真っ直ぐだった。
「… じゃっで行っん? 」
変わる事が怖い私は、こうして少しでも言葉を交わすことで、これからも彼は側に居てくれると錯覚しようとしていた。何処へ行くにも、何をするにも一緒だった彼が、離れていくのが、怖い。
すぐに言葉が出てこない私を見て、彼はふ、と微笑みながら、言う。
「あぁ。わいも来え、名前」
あぁ、また、貴方はそんな。
「…音の、お邪魔になりもはんか…?」
「邪魔なわけあっか!…わいは支えだ。」
優しくて眩しいの。
思わず彼の胸に飛び込んだ私を、ぎゅうっと音が鳴りそうなくらいに抱き締めてくれる。
「そげん事ゆて、後悔せんでな?どこまでも着いていっで。」
「後悔なんてせん。おいが手を引っ張っちゃる」
離すち思うたか?と笑っている彼の胸からぬくもりを感じるように、私はそっと頬を寄せた。
あても貴方じゃっで着いていくっとじゃ 。
***
22.4.19
初めてきちんと書いたものを少し加筆しました。
彼が士官学校へ行くのは、彼のお父様の立場を考えると当然の事だった。きっと立派にお国の為に努める海軍将校となるのだろうと、そう思っていた。
「おいは陸軍に入っ。もう決めたんじゃ」
誰が、何がそうさせたのだろうか。聞けば配属志望は北海道だと言う。
「なんで北海道と!?せめて東京にしてほしか…っ」
「おいん目標、いや、憧れとなっしが北海道におっち聞いた。」
憧れ。しっかりと此方の目を見て告げる彼の表情は真剣だった。皆と集まり剣を振るう彼の太刀筋の様に、その思いは真っ直ぐだった。
「
変わる事が怖い私は、こうして少しでも言葉を交わすことで、これからも彼は側に居てくれると錯覚しようとしていた。何処へ行くにも、何をするにも一緒だった彼が、離れていくのが、怖い。
すぐに言葉が出てこない私を見て、彼はふ、と微笑みながら、言う。
「あぁ。わいも来え、名前」
あぁ、また、貴方はそんな。
「…音の、お邪魔になりもはんか…?」
「邪魔なわけあっか!…わいは支えだ。」
優しくて眩しいの。
思わず彼の胸に飛び込んだ私を、ぎゅうっと音が鳴りそうなくらいに抱き締めてくれる。
「そげん事ゆて、後悔せんでな?どこまでも着いていっで。」
「後悔なんてせん。おいが手を引っ張っちゃる」
離すち思うたか?と笑っている彼の胸からぬくもりを感じるように、私はそっと頬を寄せた。
***
22.4.19
初めてきちんと書いたものを少し加筆しました。