七英雄わちゃわちゃ

フォロワーさんが喧嘩をした時に七英雄の皆さんはどう対処するか、みたいな呟きをしているのを見て、七英雄、くだらない喧嘩をしてほしいと思って出来上がったものです。
最初はワグナスのプリンをスービエが食べて喧嘩をする、みたいなことを考えましたが、流石にそれは…と思って思いとどまりました。

喧嘩


 ボクオーンはワグナスの部屋の扉を開いた。同じくワグナスに用事があるというスービエも一緒にいる。
 部屋に入ると、ワグナスは棚の引き出しを開いて何かを探していた。
「どうしました?」
「いや……ペンが一本もなくて、どこにしまったのかと」
 ボクオーンは首を傾げ、ワグナスの執務机の一番上の引き出しを引いた。
「いつもはここにあったと記憶していますが」
 確かにペンがない。
 ワグナスが物をなくすなど珍しいこともあるものだと思っていると、「あっ」と隣のスービエが声を上げた。
「俺が使った」
「使うのは構わないが、どこに置いたのだ」
「クジンシーに貸した」
 ワグナスの眉間に皺が寄る。ボクオーンもため息をついた。
「……そういえば、食堂に誰のものか分からないペンが二本ありましたね。取ってきましょうか?」
「いや。スービエ、お前が行くべきだ。そもそも、人から借りたものを無断で又貸しするのは良くないことだ。たとえ理由があったとしても、お前が責任を持って回収して元の場所に戻すべきではないのか?」
「別にいいだろう。ボクオーンが取ってきてくれるって言うんだから」
「……スービエ、お前は昔から――」
 ボクオーンは頭を抱えた。ワグナスの説教モードのスイッチが入ってしまった。
 対するスービエはいつものことで慣れているのか、どこ吹く風だ。
 ボクオーンは書類にサインが欲しいだけだが、この茶番に付き合っていてはいつになるか分からない。
「ワグナス殿、あなたは話が長すぎます」
 ズバッと切り捨てると、ワグナスが怯んだ。スービエの肩がぴくりと揺れる。
「スービエも反省しているので、そこまでで。長い説教では、叱られている方も要点が掴めず混乱するだけです。言いたいことが山のようにあることも理解しますが、もう少し内容を絞って話すべきです」
 批判を受けて、ワグナスは言葉を詰まらせる。だが多少は自覚があるのか、真摯に受け止めてしょんぼりと肩を落とした。
 ボクオーンがため息をついていると、唐突に胸ぐらを掴まれて横を向かせられた。スービエだ。
 彼は怒りに眉を吊り上げている。
「ワグナスを侮辱するな!」
 プツンと、ボクオーンの中で何かが切れる音がした。彼は静かに、冷めた目でスービエを見上げた。
「誰のせいだと思っているんですか!」
「ふ、二人とも。落ち着いてくれ」
 ワグナスが冷や汗をかきながら、諍いを止めようと二人の間に入った。
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