七英雄わちゃわちゃ

カレー作りにハマっているボクオーンがカレーを作る話。
なぜダンカレーかというと、ダンターグがカレーを食べているイラスト(略してダンカレー)をみていたらカレーの話が書きたくなったからです。
ではなぜダンターグがカレーを食べているイラストを描いたのかと言うと、ダンターグのイメージカラーが黄色とかいう話をしていたからですね。

ダンカレー


 ボクオーンは玉ねぎを炒めていた。
 白いレース付きのエプロン――ロックブーケに押し付けられた――を身に纏い、鍋の中の玉ねぎを木べらでかき回していた。
 目指すは飴色である。
 
 七英雄が異世界へと追放されて、いくつ目かの世界に辿り着いた。
 自我を保つため、人としての営みを忘れないようにと、夕食は皆でとることにしている。

 ところで、この世界にはカレーという料理がある。具材を煮込み、多種類の香辛料を使用して味付けをしたものだ。
 この料理は実に奥深く興味深い。元いた世界にも似た料理はあったが、こちらの香辛料はなかなかに独特なものが多い。
 香辛料の種類、量、煮込む具材、それらの組み合わせによって味が変わる。
 どの組み合わせが極上の味を作り出すのか。
 ボクオーンは人間から話を聞いたり、文献を調べたりして最適解を探した。
 しかしいまだに答えは出ていない。現地人でさえ、味は料理人により異なり、様々な流派があると聞く。
 だからボクオーンは至高のカレーを求めて、様々な組み合わせを試しては研究ノートに書き込む日々を送っていた。次の世界へ行く方法もない今は、片手間に研究に励めばいい。時間はあるのだし。

 しかしそこで問題が発生する。
 試食をする仲間たちが非協力的なのだ。
 感想を聞いてもほとんどが「まあまあ」と何の役にも立たない答えを返してくる。もっと具体的なことは言えないのか、ボンクラどもめ、とボクオーンは思っていた。
 
 本日のカレーは完成した。白米を皿に盛り、カレーを盛り付ける。加えてサラダにスープ、水の入ったコップ、スプーンとフォークをひとつのトレイに乗せて、ひとつずつ仲間たちの前に運んだ。
「またカレー!? たまには違うものを作って欲しいですわ」
 ロックブーケの前にトレイを置く。だったら自分で作れ。
「せめてシーフード。なんでここは内陸なんだ」
 ブツクサ文句を言っているスービエの前にも。
「肉〜。肉が食いたいっ。肉汁したたる感じの!」
「……」
「ありがとう。いつも助かる」
 クジンシー、ノエル、ワグナスと順番に配膳をしていき、最後にダンターグの前にトレイを置いた。
「お、うまそうだな」
 そういえばこの男だけは違っていた。彼はカレーが好きらしく、実に美味しそうに食べてくれる。
 ボクオーンが席に着くのが合図となり、各々食事を開始する。
 今日の調合は少し辛味が強いか。
 皆に意見を伺えば、「いつもと同じ」というひどく適当なもの。人に作らせておいてなんて言い草だ。
「美味しいと思う」
 ワグナスだけが褒めてくれるが、毎日同じセリフだ。残念ながら、参考にはならない。
「今日のは辛ぇけど、味に深みが出てるから気にならねぇな」
 ダンターグから感想とともにおかわりを求められて、それに応える。
 おかわりのカレーを受け取ったダンターグはスプーンで多めの白米をルーと絡めて掬い、口の中へ運んでいく。もぐもぐと咀嚼して飲み込み、次の一口を。無言でガツガツと口にかき込んでいる姿は、今日のカレーは美味しいのだと表していた。
「うん、うめぇな。おかわり」
「はいはい。少々お待ちを。カレーの素晴らしさを分からない人たちにあげるのは勿体無いので、全部ダンターグが食べてください」
 そう言ってやれば、ダンターグ以外の男どもがカレーを食べる速度を上げた。
 なるほど。反応は薄いが、今日のカレーは美味しかったのだな、と判断をした。
 
 研究ノートにはボクオーンの感想とそれぞれがおかわりをした回数を書き込んで、好評だったの一言も添えた。
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