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ジョジョ夢小説SS置き場

現パロ/学生。なんでも大丈夫な人向け。
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昼休みの廊下は、授業があるときよりも匂いが混ざっている。
お弁当や購買のパンの匂いとか、誰かの制汗剤とか、窓から入ってくる雨上がりの草の匂いとか。
混ざりすぎてちょっと、気持ち悪い。

でも、彼が通るとすぐにわかる。
香水の中にちょっとだけ本の匂いがする。
「……また考えごとか」
頭上から声が降ってきて、はっと顔を上げる。

「ディオ」
彼が、いつものように余裕ありげな顔でこちらを見下ろしていた。
「何だ、僕の顔に何かついているか?」
「ちがうの。……匂い」について考えてたの
「匂い?」
しまった、と思った時にはもう遅い。
ディオくんが少しだけ眉を上げた。
「いや、ほらディオって、いつも良い匂いがするなあ~って」
「……ほう」
終わった。絶対変なやつだと思われた。
なのに彼はなぜか機嫌を悪くするどころか、口元だけで笑った。
「どんな匂いだ」
「え?」
「聞いているんだ。僕はどんな匂いがする?」
そんなこと聞かれても正解がわからなくて困る。
でも聞かれたからには答えないといけない気がして、私は少しだけ彼に近づいた。
勢いあまって思ったより近づいてしまった。
まあいいやと吸いこんでみる。
……やっぱりする。

「……本の匂い」
「本?」
「そう」
ディオくんが一瞬目を瞬いた。
「……君は変わったことを言うな」
「変かな」
「普通はもっと別のことを言う」
「例えば?」
「さあな」
「あ、香水?この香水の匂いも私好きだよ」

私の返答には彼は答えず、窓の外に目を向けた。
金色の髪が陽に透けてきれいだった。
こういう時、時々思う。
ディオは学校でも目立つし、人気もあるし、正直ちょっと怖がられてもいる。
だけど私には、たまにこうして拍子抜けするくらい静かな顔を見せる。
それがなんだか不思議だった。

「君は」
ふいに、ディオくんが口を開く。
「自分の匂いには何か気づかないのか?」
「えっ、私?」
「そうだ」
「えっ私、どんな匂い?」
聞き返すと、彼はなぜか少し黙った。
珍しい。
いつもならどんなことでも即答するのに。
「……言わない」
「えーっなんで?」
「教える義理がない」
「ディオが言ったのに」

「だが、僕は答えるとは言ってはいない」
ひどい。
思わずむっとして睨むと、彼は少しだけ楽しそうに笑った。

「ただ」
「ただ?」
「嫌いな香りじゃない」
その言葉だけ残して、彼は去っていく。
私はその背中を見送るしかなかった。
……嫌いじゃない、って何。
それって褒められたの?
それともからかわれた?
だめだどっちか全然わからない。

けど、嫌いじゃないって言葉を自分の都合のいいほうに解釈した方が心は平穏だ。
それにあの表情は良いほうだと思う。
何となくだけど。
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