10回目のプロポーズ
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グランドライン前半の島々は、通称楽園と呼ばれる。その意味もよくわかる、様々な特色を持つ魅力ある島々、海賊を受け入れ商いをする人々も多く、調達にもさほどの苦労はない。
中にはこのままどこかの島を永住地と決める者もいるだろう。
私もどちらかといえばそれができたら満点だろう。後半の海、新世界は楽園とは真逆の厳しい海、そこに入る前にいい男を見つけたちを見つけられたら人生満点。
しかしそれはないだろうなと思う。私が認める力を持つ男なら多分、永住は選ばない。その手を取るならさっさと海軍さんとの婚活をした方が正解だったろう。
「どう思う、私が海兵と結婚」
「ぶわははは、なに言ってるんでぃ、船長」
「頭下げたってそれは無理ですよ。もう賞金首だから!」
「うるせぇなグローム、オスカー」
「船長そもそも海軍嫌いじゃねぇですか!やっぱ男はロマンっすよ!ルールぶち破る男のが船長にはお似合いだ!」
「ですね」
グロームとオスカー、こいつらはうちの船のトップツーに当たる男だ。なんなら能力抜きにすれば私より強いかもしれん。
こいつらはどういうつもりか、婚活中の私の仲間になった希少人材だ。
「だがなぁ、俺は最近思うよ、船長がマジで結婚しちまったら、この旅は終わりだろう? なら船長には一生独身ていてもらいたいってさ」
「おいおいオスカー! 私に最高の男を見つけてくれるっていうから仲間にしたのにそらゃあないわよ」
「ふっはっは、こりゃ傑作! 安心してくだせえ船長、クルーってのは船長に命預けるもんだ。死んで役目を果たすも、願い叶えて役目果たすも本望よ」
「そりゃあ違いないな」
頼もしい男たちは肩を叩き合って笑う。私はこの愉快な連中が好きだ。オスカーのいうこともわかるが、まあ気ままな旅だ、終わりなんて考えずに進みたいもんだ。
「なんて、婚活話に花を咲かせてる間に前方より敵船だぞ」
「よーし、みんなを集めな、迎え撃つよ!!」
「おお!!」
***
迎え撃った海賊は、ジョリーロジャーに見覚えがあった。確か最近台頭してきたルーキーだ。
大砲は跳ね返され、武器は奪われると噂で聞いた。大砲は打たずにお互い接近していく。
相手の船長が見える、確かにあの手配書通り、悪魔みたいな男だ。
「ユースタス・キッド…!」
「はっ!俺を知っていたか! 利口な女だぜ」
「私はあんたを知ってる、あんたは私を知らない、ひとつ有利だ」
「言っていろ、そんなもんは何の意味もねえ、俺が最強である限りな」
口ばかりの男は嫌いだが、ヤツの自信に根拠があることくらいはわかる。
とはいえ、いくら懸賞金が高くても、弱点は必ずある。
「お前ら、力見せてやれ!」
「いくぞオスカー」
「おうグローム!」
我が海賊団は、飛び技は苦手だが、接近戦が得意だ。船同士に橋をかけ、その上でやり合う。相手の船にはなってはダメといつも口を酸っぱくしている。あくまで橋の上か、自分らの船の上で戦うのが私たちの主義だ。
しかし、さすがルーキーの船、殺戮武人と火を吹く男は脅威だ。
「トニトルス!いけ!」
狙撃手に声をかけさせ、先日の島で拝借した消防用のポンプをマストから発射する。数人の力が必要だが、海水を組み上げて発車している。これは相当な手練れでなければ能力者によく効くのだ。新世界では叶わないかもしれないが、今のうちはこうして頼らないと、なかなか能力者に対応するのは難しい。
火を吹く男はへたり込んだ。
「ちっ、小癪な真似しやがって…”反発”」
「きた、噂の技!」
私の持っているナイフや仲間たちの武器が宙に舞い奪われていく、これが噂の能力…みんなこれにやられてしまう。大砲も弾かれ、奪われた武器は己に牙を剥く。
でも、ならば弾かれる前に本体をへばらせればいい。
鉄を纏うユースタスに、私は顔を向けた。息を吸い込む。
「くらえ! ライトニング・ローア!!」
「なに!?」
ただの雷なら、名のある海賊には避けられるだろう。だが今あいつは電気を通す鉄を身にまといデカイ的となっている。
避ける時間はない、あるとすればその武器を捨てることだけ。
「くそ!!」
「賢い選択だな!!」
ユースタスは鉄をあさっての方向へ捨てた。こちらは狙いを定める時間は与えていない。私は鉄の塊を避けたが、奴からは一瞬私の姿は見えなくなったろう。その隙に奴の懐に潜り込む。
「おらあ!!」
「ぐ、」
ヒールを振り上げて蹴りをかます。ヒールに仕込んだ刃が顎に下に当たった。
その足をユースタスに掴まれるが、逆足で蹴りつけて距離をとる。
「キッド!」
「手ぇだすなキラー。お前、なかなかおもしれぇじゃねえか。真剣勝負と行こうや」
「望むところ…!」
「船長!」
「お前ら引いてな! これは船長同士の勝負だ!」
お互いの目が合う。こいつ、楽しんでるな。でも私も少し、ワクワクしている。何年かぶりだ、自分より格が上の相手に出会ったのは。格上だと認めた上で正面からやろうとは、船長失格かもしれないが、これは私の個人的な闘いだった。
はじめのうちはヤツは私の雷を警戒したのか守備的だった。だが私にその気がないとわかると、遠慮がなくなる。
全身の骨が軋むような見事な拳、内臓が破裂するような蹴り、息をする間があるならそれより攻撃を優先せざるを得ないような闘いだった。
「おらおら、もう終わりか?」
「なめんな、よっ!」
「いいパンチだ、が、生身じゃ俺には勝てねえ!」
本気で心臓が破裂したかと思った。
「船長おお!!」
「、」
息ができない。体が空気を取り込むことを拒否している。痛いなんてありきたりな言葉を超える痛みに立っていることがやっとだった。
それでも、座り込んだり悲鳴をあげることはできなかった。これが私の意地だった。
ユースタス、舐めていた。
ヤツの拳が振り上げられ、今が私の海賊人生の頂点にして終わりかと覚悟した、その時。
「やめろぉおお!!」
「お前…!」
私たちの間に割って入ったグロームの大きな掌が、ユースタスの拳をつかんでいた。
「てめぇ…」
「俺たちの船長はテメェにギタギタにされるために海に出たんじゃねえ! 結婚前の身体に、傷つけてんじゃねぇよおおお!!」
「キッド!」
そこへ、殺戮武人がさらに割って入る。
波の音だけがしていた。
グロームと殺戮武人の拳がぶつかり合い、血が吹き出た。
「やめろ、グローム」
「だけど船長!」
「バカだなお前は…海に出たんだ。私はもう、白馬の王子夢見る女じゃないよ、お前らには真面目に話したことなかったけど、私の今の夢は、ひとつなぎの大秘宝、お前らとそれを見つけることさ」
だがそれも終わりか。
バカな私に付き合ってくれたやつらだけでも逃がさなきゃならない。
「お前ら引け!私は置いて行け!」
「な、バカ言うなよ! グローム絶対に引くな!」
「オスカー、お前は船長を連れて行け!」
「グローム!」
「…その必要はねえ」
言い合う時間すらこの男には余裕を与えただけだろう。顔を上げユースタスを見る。だがそこには、敵意はなかった。どう言うことだろう、キッド海賊団は、もう武器を下ろしていたのだ。
「おい、そこのお前、てめぇらの船長しっかり連れて帰れ」
「は…?」
「お前らと戦うのはやめたんだ」
「殺す価値もないってか」
「ちげえ、その逆だ」
ユースタスはにやりと笑みをうかべた。
「てめぇに惚れた、いずれ俺の女にしてやる。だから生かすんだ」
「!?」
「あばよ、未来のヨメさん、また会おうぜ」
あまりの侮辱に血が上ったせいか、意識がぼんやりしてきた。
だが一言言わなきゃ気が済まない。
音になっていたか定かじゃないが、私は言った。
「あんたはタイプじゃないからお断りだ…!」
一回目、戦闘の後にて。
◆クルー紹介という名のメモ
グローム トップツーの一人 話し方が田舎臭い
オスカー トップツーの一人 ちょっとクール系
トニトルス 狙撃手
プティル 船医(まだ出てきてません)
全員いろんな国の言葉で雷を意味している、はず
中にはこのままどこかの島を永住地と決める者もいるだろう。
私もどちらかといえばそれができたら満点だろう。後半の海、新世界は楽園とは真逆の厳しい海、そこに入る前にいい男を見つけたちを見つけられたら人生満点。
しかしそれはないだろうなと思う。私が認める力を持つ男なら多分、永住は選ばない。その手を取るならさっさと海軍さんとの婚活をした方が正解だったろう。
「どう思う、私が海兵と結婚」
「ぶわははは、なに言ってるんでぃ、船長」
「頭下げたってそれは無理ですよ。もう賞金首だから!」
「うるせぇなグローム、オスカー」
「船長そもそも海軍嫌いじゃねぇですか!やっぱ男はロマンっすよ!ルールぶち破る男のが船長にはお似合いだ!」
「ですね」
グロームとオスカー、こいつらはうちの船のトップツーに当たる男だ。なんなら能力抜きにすれば私より強いかもしれん。
こいつらはどういうつもりか、婚活中の私の仲間になった希少人材だ。
「だがなぁ、俺は最近思うよ、船長がマジで結婚しちまったら、この旅は終わりだろう? なら船長には一生独身ていてもらいたいってさ」
「おいおいオスカー! 私に最高の男を見つけてくれるっていうから仲間にしたのにそらゃあないわよ」
「ふっはっは、こりゃ傑作! 安心してくだせえ船長、クルーってのは船長に命預けるもんだ。死んで役目を果たすも、願い叶えて役目果たすも本望よ」
「そりゃあ違いないな」
頼もしい男たちは肩を叩き合って笑う。私はこの愉快な連中が好きだ。オスカーのいうこともわかるが、まあ気ままな旅だ、終わりなんて考えずに進みたいもんだ。
「なんて、婚活話に花を咲かせてる間に前方より敵船だぞ」
「よーし、みんなを集めな、迎え撃つよ!!」
「おお!!」
***
迎え撃った海賊は、ジョリーロジャーに見覚えがあった。確か最近台頭してきたルーキーだ。
大砲は跳ね返され、武器は奪われると噂で聞いた。大砲は打たずにお互い接近していく。
相手の船長が見える、確かにあの手配書通り、悪魔みたいな男だ。
「ユースタス・キッド…!」
「はっ!俺を知っていたか! 利口な女だぜ」
「私はあんたを知ってる、あんたは私を知らない、ひとつ有利だ」
「言っていろ、そんなもんは何の意味もねえ、俺が最強である限りな」
口ばかりの男は嫌いだが、ヤツの自信に根拠があることくらいはわかる。
とはいえ、いくら懸賞金が高くても、弱点は必ずある。
「お前ら、力見せてやれ!」
「いくぞオスカー」
「おうグローム!」
我が海賊団は、飛び技は苦手だが、接近戦が得意だ。船同士に橋をかけ、その上でやり合う。相手の船にはなってはダメといつも口を酸っぱくしている。あくまで橋の上か、自分らの船の上で戦うのが私たちの主義だ。
しかし、さすがルーキーの船、殺戮武人と火を吹く男は脅威だ。
「トニトルス!いけ!」
狙撃手に声をかけさせ、先日の島で拝借した消防用のポンプをマストから発射する。数人の力が必要だが、海水を組み上げて発車している。これは相当な手練れでなければ能力者によく効くのだ。新世界では叶わないかもしれないが、今のうちはこうして頼らないと、なかなか能力者に対応するのは難しい。
火を吹く男はへたり込んだ。
「ちっ、小癪な真似しやがって…”反発”」
「きた、噂の技!」
私の持っているナイフや仲間たちの武器が宙に舞い奪われていく、これが噂の能力…みんなこれにやられてしまう。大砲も弾かれ、奪われた武器は己に牙を剥く。
でも、ならば弾かれる前に本体をへばらせればいい。
鉄を纏うユースタスに、私は顔を向けた。息を吸い込む。
「くらえ! ライトニング・ローア!!」
「なに!?」
ただの雷なら、名のある海賊には避けられるだろう。だが今あいつは電気を通す鉄を身にまといデカイ的となっている。
避ける時間はない、あるとすればその武器を捨てることだけ。
「くそ!!」
「賢い選択だな!!」
ユースタスは鉄をあさっての方向へ捨てた。こちらは狙いを定める時間は与えていない。私は鉄の塊を避けたが、奴からは一瞬私の姿は見えなくなったろう。その隙に奴の懐に潜り込む。
「おらあ!!」
「ぐ、」
ヒールを振り上げて蹴りをかます。ヒールに仕込んだ刃が顎に下に当たった。
その足をユースタスに掴まれるが、逆足で蹴りつけて距離をとる。
「キッド!」
「手ぇだすなキラー。お前、なかなかおもしれぇじゃねえか。真剣勝負と行こうや」
「望むところ…!」
「船長!」
「お前ら引いてな! これは船長同士の勝負だ!」
お互いの目が合う。こいつ、楽しんでるな。でも私も少し、ワクワクしている。何年かぶりだ、自分より格が上の相手に出会ったのは。格上だと認めた上で正面からやろうとは、船長失格かもしれないが、これは私の個人的な闘いだった。
はじめのうちはヤツは私の雷を警戒したのか守備的だった。だが私にその気がないとわかると、遠慮がなくなる。
全身の骨が軋むような見事な拳、内臓が破裂するような蹴り、息をする間があるならそれより攻撃を優先せざるを得ないような闘いだった。
「おらおら、もう終わりか?」
「なめんな、よっ!」
「いいパンチだ、が、生身じゃ俺には勝てねえ!」
本気で心臓が破裂したかと思った。
「船長おお!!」
「、」
息ができない。体が空気を取り込むことを拒否している。痛いなんてありきたりな言葉を超える痛みに立っていることがやっとだった。
それでも、座り込んだり悲鳴をあげることはできなかった。これが私の意地だった。
ユースタス、舐めていた。
ヤツの拳が振り上げられ、今が私の海賊人生の頂点にして終わりかと覚悟した、その時。
「やめろぉおお!!」
「お前…!」
私たちの間に割って入ったグロームの大きな掌が、ユースタスの拳をつかんでいた。
「てめぇ…」
「俺たちの船長はテメェにギタギタにされるために海に出たんじゃねえ! 結婚前の身体に、傷つけてんじゃねぇよおおお!!」
「キッド!」
そこへ、殺戮武人がさらに割って入る。
波の音だけがしていた。
グロームと殺戮武人の拳がぶつかり合い、血が吹き出た。
「やめろ、グローム」
「だけど船長!」
「バカだなお前は…海に出たんだ。私はもう、白馬の王子夢見る女じゃないよ、お前らには真面目に話したことなかったけど、私の今の夢は、ひとつなぎの大秘宝、お前らとそれを見つけることさ」
だがそれも終わりか。
バカな私に付き合ってくれたやつらだけでも逃がさなきゃならない。
「お前ら引け!私は置いて行け!」
「な、バカ言うなよ! グローム絶対に引くな!」
「オスカー、お前は船長を連れて行け!」
「グローム!」
「…その必要はねえ」
言い合う時間すらこの男には余裕を与えただけだろう。顔を上げユースタスを見る。だがそこには、敵意はなかった。どう言うことだろう、キッド海賊団は、もう武器を下ろしていたのだ。
「おい、そこのお前、てめぇらの船長しっかり連れて帰れ」
「は…?」
「お前らと戦うのはやめたんだ」
「殺す価値もないってか」
「ちげえ、その逆だ」
ユースタスはにやりと笑みをうかべた。
「てめぇに惚れた、いずれ俺の女にしてやる。だから生かすんだ」
「!?」
「あばよ、未来のヨメさん、また会おうぜ」
あまりの侮辱に血が上ったせいか、意識がぼんやりしてきた。
だが一言言わなきゃ気が済まない。
音になっていたか定かじゃないが、私は言った。
「あんたはタイプじゃないからお断りだ…!」
一回目、戦闘の後にて。
◆クルー紹介という名のメモ
グローム トップツーの一人 話し方が田舎臭い
オスカー トップツーの一人 ちょっとクール系
トニトルス 狙撃手
プティル 船医(まだ出てきてません)
全員いろんな国の言葉で雷を意味している、はず