あなたを鳥にしたい。(連載中)
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「というわけで改めて紹介するが、見習いのカヤだ」
「みなさんチーっす! キッド様の舎弟になるために来ましたカヤです! なんでもします! 一か月後までに見習い脱せるように頑張ります! ついでに一人称もちゃんと「私」に変える決心をしました! いざ尋常に…!!」
「と、こんな様子だ。好きに使えお前ら」
「なんだか使う気にすらなれねぇよ…」
「それから、見習いのうちは戦闘にはださねぇ。だが守ってもやらねぇ、自分の身くらいは何とかしろ」
「もちろんです! 海に落ちない限りは元気に生きます!」
ホーキンスさんの船から離れたところで、改めて一味の皆様方にご挨拶をさせていただいた。みんなうさんくさそーに私を見ているけれど…なじめるか心配だけど…不安もあるけど、そんなことはどうでもいい!
私はこの一か月を、今まで生きたどんな時よりも必死に生きなければならない。倒れても立ち上がる。
「そう! 不死鳥のように…!」
「よしお前ら飯にすんぞ、カヤ、お前も食え。そしてよーく働けよ」
「うほ! キッド様にお名前を呼ばれた! ぬおおおおお!」
「キッドの頭、」
「何も言うな、ワイヤー」
そういえば、あたりはまだ明るいけれどもう夕飯の時間なのだ。この辺りの海域は昼が長い。
今日だけは客人として扱ってやる、とキラーさんが言ってくださったので、言われた席について皆の様子を眺めた。キッド海賊海賊団は長い食堂に全員は入れるくらいの人数で、キッチンに近いテーブルから料理が回されていくというスタイルだった。以外にも誰も勝手に手を付けたりはしない。なぜかと言えば、多分キッド様が手を付けるまで「待て」をしているのだ。
うーむ、そのわんこ精神、なかなか。
全員に料理が回る。私は下っ端だけど今日だけはキッド様のお隣の席を拝借している。キッド様がグラスを掲げ、にやりと笑った。
「よーしお前ら、明日からこき使ってやれよ! 哀れな見習いに乾杯だ!」
「「「「おおおお!いただきまーす!!!」」」」
思わぬ乾杯に、胸いっぱい。
料理に手を付けられない私を見て、好き嫌いはよくないとキラーさんが声をかける。
「いえ! この船のキッチンから出てくるならたとえ人肉でも食えます! 感激が収まりません! 哀れな私へ乾杯してくださる皆さんに乾杯! いただきます!!」
人肉とか言ったけど、お世辞抜きにご飯はめちゃくちゃおいしかった。やっぱり戦闘員だけじゃなくて、コックさんも腕がいい人を選んでいるんだなあ。
「さすがキッド海賊団、なにもかも完璧じゃないか…!」
「あ?」
「キッド様キッド様最高っすね! 天国ですよここ!」
「お前、そうとうイカれてるぜ」
「なにいってんすか~私超普通ですよ!」
「「「そんなわけあるか!!」」」
「んへへ、んへへへ、ぐへへへへ」
「やばいやばい、こいつマジでヤバい」
「てか顔赤くないか?」
「あ、おいこれ酒だぞ」
キッド様のお隣でご飯を食べるなんて、本当に夢みたい。
ふわふわした気持ちだ。ていうか視界がふわふわグラグラしてる。わっつ?なぜ? はっ…まさか…
「もしかして、これは、夢…?」
意識がどこか遠くへ行ってしまいそうだ。人の声も良く聞こえない。目的は果たしたからってまさかの戻る展開とか? そんな裏切り許さないぞホーキンスさん! やだ! まだここにいさせて…!
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「おい、」
「やだ、帰りたく、ない…」
「おい」
「ぐー ぐー」
「…寝やがった…酒も飲めねぇのかこいつは…」